山成酒造内蔵

6棟のうち最も小さく、敷地北面の中央に建つのが内蔵で、建築面積はわずか31平方メートルにとどまる。際立つのは大きさではなく、暮らしへのつながり方である。縁が隣の離れ座敷と直に結び、二棟はほとんど一体として使われた。建築は明治後期、1898年から1912年ごろ、昭和中期に改修を受けている。

どんな建物か

これは家財を納める家財蔵で、妻入の2階建切妻造として建つ。外壁は漆喰塗で水切を一段めぐらせ、腰はモルタル洗出し仕上げ。各階に南北2室をとる。

1階は板敷、2階は畳敷として竿縁天井を張る。蔵というより居室にふさわしい仕上げである。ものを納めるための建物に、ふつうにない居心地が与えられている。

登録の理由と価値

令和6年(2024年)3月6日、登録番号33-0363として、歴史的景観に寄与する建物として登録された。ほかの5棟と同じく、国宝や重要文化財の指定ではなく、より軽い登録の枠組みに属する。登録の狙いは、こうした建物を使いながら残すことにある。

目を引くのは2階の畳敷の部屋である。座敷のように仕上げられ、しかも縁で離れ座敷と結ばれた蔵は、この小さな建物を物置ではなく、整えられた居住空間の延長として扱っていたことをうかがわせる。

見どころ

北面の中央に収まり、離れ座敷とつながるため、内蔵は隣の建物とあわせて見るのがよい。その間をつなぐ縁が手がかりになる。水切の一段と洗出しの腰は、これほど小さな建物に施された静かで丁寧な仕上げである。

2階に上がれば、畳と細い竿縁の天井が意外で、ここでは貯蔵にさえ住まいの品が与えられたことがわかる。

Q&A

Qこの蔵はなぜこんなに小さいのですか。
A建築面積31平方メートルと6棟で最小です。仕込みや米のための蔵ではなく、家財を納める蔵のため、広さを必要としませんでした。
Q離れ座敷とはどうつながっていますか。
A縁が二棟を直に結びます。敷地北東で、小さな内蔵と格式ある離れ座敷が、ほとんど一続きの空間として使われました。
Qなぜ蔵に畳の部屋があるのですか。
A2階が畳敷で、細い竿縁の天井を張る、居室にふさわしい仕上げだからです。一家はこの蔵を、整えた住空間の延長として扱っていたようです。
Q見学できますか。
A内部は要事前電話予約の蔵見学で公開され、敷地内に直売所があります。営業時間・料金は事前にご確認ください。
Q指定ですか、登録ですか。
A6棟すべてと同じく登録です。登録は、国宝などの指定と違い、特徴ある古い建物を使いながら守る仕組みです。

Basic Information

名称山成酒造内蔵(やまなりしゅぞううちぐら)
所在地岡山県井原市芳井町簗瀬字見瀬側23
種別登録有形文化財(建造物)
登録令和6年(2024年)3月6日/登録番号 33 - 0363
年代明治後期(1898~1912年)/昭和中期改修
構造及び形式木造2階建、瓦葺、建築面積31㎡
員数1棟
登録基準国土の歴史的景観に寄与しているもの
所有者公開情報に記載なし(山成酒造が使用する現役の建物)
公開蔵見学は要事前電話予約/敷地内に直売所あり(営業時間・料金は変更の可能性があるため事前確認を)

References

文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014942
山成酒造株式会社 公式サイト
https://yamanari.jp/
岡山観光WEB(岡山県観光連盟)
https://www.okayama-kanko.jp/spot/detail_10721.html
井原市観光協会
https://www.ibarakankou.jp/shop/shopping/sake/DJ019.html

最終更新日: 2026.06.25