山成酒造東仕込蔵

店舗兼主屋の西、表通りの裏手に、酒蔵の二つの仕込蔵のうち大きい方が建つ。山成酒造東仕込蔵である。寒い季節に酒を仕込む作業が、代々ここで続けられてきた。建物の主体は明治前期、1868年から1882年ごろにさかのぼり、大正後期に一棟分が増築されて、建築面積は254平方メートルに及ぶ。

どんな建物か

木造2階建、屋根は南北に長い切妻造の桟瓦葺。外壁はモルタル塗の腰の上を漆喰で仕上げ、北妻の西寄りには小さな試験室が張り出す。

一階は広大な土間で、中央上部を吹抜とし、その下に貯蔵タンクが並ぶ。仕込みを担うのは、ふだんは菓子職人やぶどう農家など別の生業を持つ少人数の蔵人たちで、備中杜氏の流れをくむ造り手である。

登録の理由と価値

令和6年(2024年)3月6日、登録番号33-0365として登録有形文化財に登録された。理由は地域の歴史的景観に寄与していることである。登録は、国宝や重要文化財を選ぶ指定とは別の、より軽い枠組みで、おおむね築50年以上の景観的な建物を、使い続けながら守るための制度である。この蔵もその対象で、タンクは今も毎冬満たされる。

登録が認めているのは、造り酒屋の仕込蔵が、広い土間から北妻の試験室まで、働く姿のままおよそ150年を超えて残ってきたことである。

見どころ

通りから見上げる大きな切妻屋根は、ここが住まいではなく酒造りの町の建物であることの目印になる。その大きさは、覆うべきタンクの寸法が決めた。真冬の寒仕込みの時期に訪れると、内部には醪(もろみ)の発酵する匂いが漂う。

中央の吹抜を見上げれば、タンクから立ちのぼる熱と蒸気を抜くために、わざと高く組まれた構造がわかる。北妻の試験室は見落としやすいが、酒造りの数値を確かめた小部屋として一見の価値がある。

Q&A

Q今もここで酒を造っていますか。
A造っています。東仕込蔵は現役の仕込蔵で、毎冬の寒仕込みの時期にタンクが満たされます。登録という制度がこの建物に合うのも、使い続けながら守る仕組みだからです。
Q仕込みの様子を見られますか。
A見学は要事前電話予約で、直売所もあります。仕込みの時期かどうかは季節によるので、事前に電話で営業時間・料金とあわせてご確認ください。
Q北妻にある小さな部屋は何ですか。
A壁から張り出した試験室で、仕込みの進み具合を確かめるために使われました。小さく、外からは見落としやすい部屋です。
Qこの建物はどのくらい古いのですか。
A主体は明治前期、1868年から1882年ごろの建築で、酒蔵のなかでも早い時期の一棟です。大正後期に一棟分が増築されています。
Q屋根の中央の吹抜は何のためですか。
A下の発酵タンクから立ちのぼる熱と蒸気を抜くためです。そのために蔵は高く建てられ、通りから屋根が大きく見えるのもこの理由によります。

Basic Information

名称山成酒造東仕込蔵(やまなりしゅぞうひがししこみぐら)
所在地岡山県井原市芳井町簗瀬字見瀬側23
種別登録有形文化財(建造物)
登録令和6年(2024年)3月6日/登録番号 33 - 0365
年代明治前期(1868~1882年)/大正後期増築
構造及び形式木造2階建、瓦葺、建築面積254㎡
員数1棟
登録基準国土の歴史的景観に寄与しているもの
所有者公開情報に記載なし(山成酒造が使用する現役の建物)
公開蔵見学は要事前電話予約/敷地内に直売所あり(営業時間・料金は変更の可能性があるため事前確認を)

References

文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014944
山成酒造株式会社 公式サイト
https://yamanari.jp/
岡山観光WEB(岡山県観光連盟)
https://www.okayama-kanko.jp/spot/detail_10721.html
井原市観光協会
https://www.ibarakankou.jp/shop/shopping/sake/DJ019.html

最終更新日: 2026.06.25