珍しい肌をもつ小さな蔵

北土蔵は、旧藤井家の屋敷に建つ小規模な二階建て土蔵である。切石積の基礎の上に立ち、屋根は土蔵本体と分けて架ける置屋根形式とする。外壁は漆喰仕上げだが、腰下に和船の舟板を横に張る点が目を引く。商家の土蔵としては珍しい意匠である。

屋敷を整えたのは、糸と毛糸を商った近江商人・藤井彦四郎(1876〜1956年)である。土蔵は商品や家財を納める建物で、火に耐える厚い漆喰壁を備える。この北土蔵は主屋とともに昭和9年(1934年)頃、現在地へ移されたと伝わる。

登録と価値

北土蔵は平成9年(1997年)11月5日、登録番号25-0012として登録された。単体の記念物としてではなく、屋敷全体を構成する一要素として保存されている。

専門家が注目するのは舟板の再用である。良材を無駄にせず用いる倹約の姿勢がうかがえ、一般的な土蔵とは異なる表情を与えている。

見どころ

ここでは上より下に目を向けたい。漆喰の上壁は端正だが定型的で、腰下の舟板張りこそ近寄って確かめたい細部である。建築面積は21㎡と小さく、表門脇のやや大きい南土蔵と見比べると、屋敷内で質素な土蔵に変化をもたせた工夫が分かる。

Q&A

Q土蔵とは何ですか。
A火に耐えるよう厚い漆喰で仕上げた蔵で、商品や家財を納めるために使われました。
Qこの土蔵の珍しい点は。
A漆喰壁の腰下に、和船の舟板を横張りしている点です。
Q大きさは。
A二階建てで建築面積約21㎡の小規模な蔵です。
Qいつ登録されましたか。
A平成9年(1997年)11月5日、登録番号25-0012として登録されました。
Q見学できますか。
A資料館の敷地内にあり、開館時間中に外観を見学できます。

基本データ

名称五個荘町歴史民俗資料館(旧藤井家住宅)北土蔵
所在地滋賀県東近江市宮荘町681
指定区分登録有形文化財(建造物)/登録 平成9年11月5日・登録番号25-0012
構造土蔵造2階建、瓦葺、建築面積21㎡
年代明治32年(1899年)頃/主屋とともに移築
所有者東近江市
公開資料館敷地内、開館10時〜16時30分(月曜ほか休館)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁) — 五個荘町歴史民俗資料館(旧藤井家住宅)北土蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000352
東近江市観光協会 — 五個荘近江商人屋敷 藤井彦四郎邸
https://www.higashiomi.net/media/miru/a150
滋賀県観光情報 — 五個荘近江商人屋敷(藤井彦四郎邸)
https://www.biwako-visitors.jp/spot/detail/1011/

最終更新日: 2026.07.04