安政5年、参詣者が休むための二階建

弘誓寺茶所は、滋賀県東近江市躰光寺町の弘誓寺境内にある江戸時代末期の建物で、安政5年(1858年)に建てられ、平成19年(2007年)に国の登録有形文化財となった。茶所は参詣者や門徒が休息し、茶の接待を受けるための建物で、法要の前後に人が集まる場所でもある。

本堂の前方、表大門の北に隣接して建つ。木造二階建、建築面積120平方メートル。屋根は入母屋造桟瓦葺で、道路側には短い切妻造の屋根を出す。

本堂が儀式のための建物だとすれば、弘誓寺茶所は人が滞在するための建物である。同じ境内にありながら性格がまったく違う。

真宗寺院の茶所の形をとどめる

弘誓寺茶所に適用された登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説は、この建物が「真宗寺院の茶所の形態を伝える」と述べる。茶所は生活に密着した建物であるだけに改造されやすく、江戸末期の姿を保った例はそう多くない。

平成19年(2007年)10月2日に登録された6棟のうち、弘誓寺茶所は境内の道路寄りに並ぶ三棟の南端にあたる。北へ太鼓堂、さらに庫裏門と続き、この並びが通りに面した外壁を作っている。境内の内側から見た姿と、通りから見た姿が違うのはそのためである。

登録有形文化財は平成8年(1996年)に始まった制度で、届出を基本とする仕組みである。文化財保護法にもとづく指定制度とは仕組みが異なる。

土間、板間、そして小屋組

内部は南端に土間を設け、その北側の西寄りに広い板間をとる。板間の天井は竿縁天井で、細い桟を平行に渡して板を受ける仕上げである。履物のまま入れる土間と、上がって座る板間が隣り合う構成は、不特定多数が出入りする建物にふさわしい。

二階には敷などの部屋が間仕切られ、天井を張らずに小屋組を見せる箇所がある。梁や束の組み方がそのまま目に入るので、この建物がどう支えられているかが分かる。

外に出て通りに立つと、印象がまた変わる。入母屋の大きな屋根の手前に短い切妻屋根が突き出し、二段構えの輪郭ができている。境内側からは寺の付属建築に見え、通り側からは町並みの一部に見える。

見学とアクセス

弘誓寺茶所の内部は公開されていない。弘誓寺は地域の門徒が用いる寺院であり、観光寺院としての公開制度はなく、拝観時間や拝観料の設定は、文化庁のデータベースにも東近江市の文化財案内にも記載がない。令和8年(2026年)9月時点で公表された拝観制度は確認できなかった。外観は境内からも、通りからも眺められる。

撮影についての公表された規則もない。通りからの外観撮影は妨げられていないが、建物のすぐ前は生活道路なので、通行の妨げにならないよう気をつけたい。

最寄り駅はJR琵琶湖線の能登川駅で、駅から徒歩10分ほど。京都駅からは新快速と普通列車を乗り継いで50分前後である。車では名神高速道路の八日市インターチェンジまたは竜王インターチェンジから30分程度かかる。

Q&A

Q弘誓寺茶所とはどのような建物ですか。
A参詣者や門徒が休息し、茶の接待を受けるための建物です。安政5年(1858年)の建立で、木造二階建、建築面積は120平方メートルあります。
Q弘誓寺茶所の内部は見学できますか。
A内部の公開は行われていません。外観は境内からも通りからも見られます。拝観時間や拝観料は公表されていません(令和8年/2026年9月確認)。
Q弘誓寺茶所は境内のどこにありますか。
A本堂の前方、表大門の北に隣接しています。北隣が太鼓堂、その先が庫裏門で、三棟が通りに面して並びます。
Q弘誓寺茶所はいつ登録有形文化財になりましたか。
A平成19年(2007年)10月2日です。同じ日に本堂・鐘楼・経蔵・太鼓堂・庫裏門も登録されました。
Q弘誓寺茶所へのアクセスと最寄り駅を教えてください。
AJR琵琶湖線の能登川駅が最寄りで、駅から徒歩10分ほどです。車では名神高速道路の八日市インターチェンジまたは竜王インターチェンジから30分程度です。

基本データ

名称弘誓寺茶所(ぐせいじちゃじょ)
所在地滋賀県東近江市躰光寺町979
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成19年(2007年)10月2日登録
員数1棟
寸法木造二階建、建築面積120平方メートル
所有者宗教法人弘誓寺
公開状況内部非公開。外観の見学可。拝観時間・拝観料の公表なし

参考文献

最終更新日: 2026.09.07