寺の日々を支える瓦屋寺庫裏

瓦屋寺の本堂後方に、南面して境内最大の建物が横たわる。瓦屋寺庫裏である。炊事や来客の応対、僧の起居といった寺の日常を担う建物で、建築面積は約379平方メートルに及び、斜面に散る小堂を大きく上回る。建立は明治4年(1871)。登録された七棟のうち、もっとも新しい。

瓦屋寺は箕作山に営まれた臨済宗妙心寺派の寺院である。開創は聖徳太子の伝承に結びつき、摂津四天王寺のために十万枚を超える瓦を焼かせたことが寺名の由来と伝わる。永禄11年(1568)の兵火で全焼したのち、正保年間から香山祖桂が再興した。庫裏はそれから二世紀を経た明治の初めに建てられており、中興ののちも寺が営みを続けてきたことを示す。

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庫裏は平成30年(2018)3月27日、「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録有形文化財に登録された(登録番号25-416)。参拝者がまず対面するのは正面で、中央に式台玄関を構え、その上に向唐破風を載せる。東側には出入口を二か所開き、腰には海鼠壁を施して風雨と火に備える。

内部は前後二列に七室を配する。奥座敷には床の間・床脇・付書院を設け、良質な意匠をととのえる。土間の上部には壮大な梁組が架かり、これが一棟の屋根で広い間取りを覆う骨格となる。式台玄関の細部意匠と、土間を渡す豪快な梁組。実用と洗練の双方を備える点に、大寺の庫裏らしい性格がよく表れている。

訪ねる際の見どころ

庫裏は、寺の日々の営みをもっとも想像しやすい建物である。式台玄関の前に立てば、向唐破風の曲線が実用の玄関を儀礼の場へと引き上げていることに気づく。客を正式に迎えるときに寺が見せる顔である。内部が開かれていれば、磨かれた奥座敷と土間上部の素朴な梁組との対比が、こうした所帯の営み方を雄弁に語る。

庫裏は他の登録建造物と隣り合うため、開山堂・経堂などとあわせて一巡できる。11月中旬の紅葉を撮りに訪れる人は、庫裏前の道をしばしば挙げる。古い壁と朱の葉がよく調和するからだ。座禅・写経も予約により受け付けている。

Q&A

Q庫裏とは何ですか。
A寺の台所と居住のための建物で、食事の支度や住職らの起居を担います。大寺では境内で最も大きな建物となることが多くあります。
Q庫裏は他の堂と年代がどう違いますか。
A登録七棟のうち最も新しく、明治4年(1871)の建立です。堂のいくつかが17世紀にさかのぼるのと対照的です。
Q玄関上の曲線の破風は何と呼びますか。
A向唐破風です。式台玄関の上に載せる曲線の装飾破風で、正式な応対の場であることを示します。
Q海鼠壁とはどのような壁ですか。
A方形の瓦を並べ、目地に漆喰をかまぼこ状に盛り上げた壁です。腰壁に用いられ、風雨や火に強い仕上げとなります。
Q庫裏の中に入れますか。
A現に寺で使われているため内部の拝観は限られます。見学の可否は寺務所へご確認ください。

基本データ

名称瓦屋寺庫裏
所在地滋賀県東近江市建部瓦屋寺町436
指定区分登録有形文化財(平成30年3月27日登録/登録番号25-416)
年代明治4年(1871)
構造1棟 木造平屋建、瓦葺、建築面積約379㎡
所有者宗教法人瓦屋寺
交通近江鉄道八日市駅から車で約15分

参考文献

文化庁 — 国指定文化財等データベース 瓦屋寺庫裏
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012178
東近江市観光Web — 瓦屋禅寺
https://www.higashiomi.net/media/miru/kawarayazenji
ウィキペディア — 瓦屋寺
https://ja.wikipedia.org/wiki/瓦屋寺

最終更新日: 2026.07.05