井川町辻の今宮神社
今宮神社は、徳島県三好市井川町辻にある神社で、大正4年(1915年)に建てられた本殿・拝殿・神門及び瑞垣の3件が、平成28年(2016年)8月1日に登録有形文化財に登録された。
読みは「いまみやじんじゃ」。同じ名の神社は京都市北区紫野などにもあるため、このサイトでは三好市の社を「今宮神社(三好市)」として区別している。文化庁の記録では、所在地は井川町辻316-1、所有者は宗教法人今宮神社である。
境内は、伊予街道の旧道から石段を上がった斜面に構えられている。街道の通りから見上げると、石段の先に社殿の屋根が重なって見える位置関係になる。
刻みたばこの町と今宮神社の社殿
辻は旧井川町の中心となった町で、三好ジオパークの解説によれば、井川町の小さな平地にあるこの町は近世以降、刻みたばこの製造で栄えたことで知られる。
今宮神社の社殿3件は、大正4年に同じ時期に建てられたものである。文化庁の解説は本殿の設計者を徳島県立工業学校の福永嘉吉と記し、この社殿が煙草産業による町の繁栄を伝えていると述べている。地方の小さな神社でありながら、設計者の名と所属が記録に残っている点も見逃せない。
3件の登録番号は36-0130から36-0132までの連番で、登録基準はいずれも「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。拝殿の解説が「近代の社頭景観を構成する」と書くように、文化庁は3件がそろって大正期の神社の正面構えをつくっている点を見ている。
今宮神社の境内と3件の配置
今宮神社の石段を上がると、正面に拝殿が建つ。その奥、拝殿と本殿の間に神門が開き、神門に続く瑞垣が本殿の周りをめぐる。いちばん奥に一間社の本殿が納まる、前後一直線の配置である。
- 今宮神社本殿:一間社流造、木造平屋建、銅板葺、建築面積6.0㎡
- 今宮神社拝殿:方一間、入母屋造・妻入、木造平屋建、銅板葺、建築面積16㎡
- 今宮神社神門及び瑞垣:神門は木造・銅板葺で間口2.7m、瑞垣は木造・鉄板葺で延長48m
3件とも装飾を控えた簡素な造りで統一されている。目を引く飾りといえば、神門の扉の上部と瑞垣の正面側に組まれた菱格子くらいで、どこを飾りどこを抑えるかの配分が社殿全体で揃っている。棟ごとの形式と見どころは、それぞれのページで紹介している。
今宮神社の参拝と行き方
今宮神社の最寄り駅はJR徳島線の辻駅である。神社は駅の南東にあり、地図上の座標から測った直線距離はおよそ700メートル。境内へは伊予街道の旧道から石段を上がって入る。
今宮神社には公式サイトがなく、市の観光案内にも掲載が見当たらないため、参拝できる時間帯、社務所の受付、駐車場の有無は確認できなかった。地域で守られている神社なので、祭事や清掃の妨げにならないよう心がけ、社殿や瑞垣には触れずに外から見学したい。
拝殿は柱の間が吹き放しになっており、石段の上に立つと拝殿越しに神門と瑞垣、その奥の本殿の屋根までが一列に重なって見える。3件の関係をつかむには、まずこの位置から眺めるのがよい。
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁):今宮神社本殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011214
- 文化遺産オンライン:今宮神社本殿
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/241601
- 国指定文化財等データベース(文化庁):今宮神社拝殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011215
- 文化遺産オンライン:今宮神社拝殿
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/269642
- 国指定文化財等データベース(文化庁):今宮神社神門及び瑞垣
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011216
- 文化遺産オンライン:今宮神社神門及び瑞垣
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/284243
- 三好ジオパーク公式サイト:井川・東みよし町エリア
- https://miyoshi-city.jp/geopark/geopark-story/ikawa/
最終更新日: 2026.10.16
基本情報
| 名称 | 今宮神社(三好市) |
|---|---|
| 所在地 | 徳島県三好市井川町辻316-1 |
| 所有者 | 宗教法人今宮神社 |
| 指定 | 登録有形文化財 3件 |
| 座標 | 34.02765, 133.88046 |