太龍寺六角経蔵とは
太龍寺六角経蔵は、徳島県阿南市加茂町の太龍寺境内の東方に西面して建つ安政3年(1856年)の経蔵で、平成25年(2013年)に登録有形文化財となった。木造平屋建、銅板葺、建築面積は35平方メートル。文化庁の登録名称には「輪蔵付」と明記されている。
経蔵は経典を納める蔵をいう。ここには版木で刷られた一切経、つまり仏教経典の全体が収められている。索道事業者の解説によれば、以前の一切経は三代将軍徳川家光の寄進によるものだったが焼失し、現在の一切経と経蔵はともに安政3年(1856年)にさかのぼる。
六角の外殻に八角の輪蔵
太龍寺六角経蔵の平面は六角形である。ところが内部に据えられた輪蔵は八角形をしている。外殻と内部の回転体で角の数が違うわけで、この不一致がこの建物のいちばんの見どころになっている。
輪蔵は、経典を納めた棚を軸のまわりに回せるようにした装置である。押して一回りさせることで一切経を読んだのと同じ功徳を得るとされてきた。太龍寺六角経蔵の八角輪蔵は禅宗様でまとめられ、二軒の扇垂木を組み、極彩色を施したうえに錺金具を随所に散らす。
外殻の六角形は、各隅に五角柱を立てて受けている。六角形の内角は120度で、二枚の壁面が鈍角に交わる。その交点に角柱を置くと納まりが悪くなるため、断面を五角形にして両方の壁を受けているわけである。柱の一本を近くで見ると、この工夫が分かる。
幕末の彩色がそのまま残る
文化庁の解説は、太龍寺六角経蔵について幕末の華やかな意匠で荘厳された内部空間が印象的だと評している。堂の外観は、腰高に竪板を張った落ち着いた壁面で、背面の三方に棚を張り出す。外から受ける印象と、内部の極彩色との落差が大きい。
安政3年(1856年)は幕末の入口にあたる。太龍寺の九棟のうち、江戸時代の建築は仁王門・本堂・多宝塔とこの経蔵の四棟で、そのなかでも内部意匠がこれだけ濃いのは太龍寺六角経蔵だけである。
山上の湿った空気のなかで、木造の彩色と金具が幕末から残っていること自体が、登録の理由の一部を成している。
太龍寺六角経蔵の見学
太龍寺六角経蔵は境内東方に西を向いて建つので、仁王門から参道を西へ歩いてくると右手に見えてくる。外観は自由に見ることができ、六角形の平面は正面から見るより斜めから見たほうが角の連なりが読める。隅の五角柱を確かめるなら、壁面が折れる位置まで寄りたい。
八角輪蔵と極彩色は内部にあるため、外からは見えない。堂内の公開について公式の案内はなく、輪蔵を回せるかどうかも含めて、太龍寺六角経蔵の拝観条件は現地で尋ねるほかない。撮影に関する掲示も確認できなかった。
参道沿いに立つので、護摩堂や本坊とあわせて境内東方をひと続きに見て回ることになる。境内への行き方と拝観の条件は太龍寺のページにまとめてある。
よくある質問
- 太龍寺六角経蔵にはどのようなものが納められていますか?
- 版木で刷られた一切経が収蔵されています。索道事業者の解説によれば、以前の一切経は三代将軍徳川家光の寄進によるものでしたが焼失し、現在の一切経と経蔵はともに安政3年(1856年)にさかのぼります。
- 太龍寺六角経蔵の輪蔵とは何ですか?
- 経典を納めた棚を軸のまわりに回転させる装置です。押して一回りさせると一切経を読んだのと同じ功徳を得るとされてきました。ここの輪蔵は八角形で、禅宗様でまとめられ、極彩色と錺金具で飾られています。
- 太龍寺六角経蔵はなぜ六角形なのに輪蔵は八角形なのですか?
- 外殻の平面が六角、内部の回転体が八角という組み合わせです。文化庁の記録は形状を伝えていますが、角数を違えた理由までは記していません。
- 太龍寺六角経蔵の内部は見学できますか?
- 堂内の公開について公式の案内はありません。外観は境内から自由に見ることができます。拝観の可否は現地でご確認ください。
- 太龍寺六角経蔵はいつの建築ですか?
- 安政3年(1856年)です。平成25年(2013年)6月21日に登録有形文化財となりました。建築面積は35平方メートルです。
基本データ
| 名称 | 太龍寺六角経蔵 |
|---|---|
| 所在地 | 徳島県阿南市加茂町竜山1他 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成25年(2013年)登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造平屋建、銅板葺、建築面積35平方メートル、輪蔵付 |
| 所有者 | 宗教法人太龍寺 |
| 公開状況 | 境内から外観の見学が可能。堂内の公開についての案内はない |
参考文献
- 太龍寺六角経蔵 国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009671
- 太龍寺 四国霊場第二十一番札所 舎心山(公式サイト)
- https://www.tairyuji21.jp/
- 太龍寺ロープウェイの魅力(四国ケーブル株式会社)
- https://www.shikoku-cable.co.jp/tairyuji/outline/
最終更新日: 2026.09.13