太龍寺多宝塔とは
太龍寺多宝塔は、徳島県阿南市加茂町の太龍寺境内、本堂北側の高台に建つ文久元年(1861年)の塔で、平成25年(2013年)に登録有形文化財となった。木造の多宝塔で銅板葺、建築面積は40平方メートル。
多宝塔は、方形の下層の上に円形の上層を載せ、その間に亀腹を挟む形式の塔をいう。太龍寺多宝塔もこの形式にのっとり、下層は方三間で周囲に縁を廻し、上層は円形平面をとる。
下層と上層で組物を変える
太龍寺多宝塔を見るときは、下層と上層の組物の差に目を向けたい。下層は出組とし、軒は二軒の繁垂木で平行に流す。上層は四手先、つまり四段に持ち出す組物で、軒は二軒の扇垂木として隅に向かって放射状に開く。
方形の下層は平行な垂木で水平を強調し、円形の上層は放射する垂木で中心を強調する。平面の形と垂木の並べ方が対応しているわけで、下から見上げると、この切り替わりが軒裏で読める。
組物を四段まで持ち出すのは、上層の軒を大きく振り出すためである。結果として、太龍寺多宝塔は下すぼまりに見えず、腰の据わった輪郭になる。文化庁の解説も安定感のある塔姿と評し、伽藍の景観を引き立てていると記している。
四天柱の内側と、辛酉の年
内部は四天柱の内側を折上格天井とし、虚空蔵菩薩を安置すると文化庁の解説は記す。一方、太龍寺と索道事業者の解説は、法界・金剛・宝光・蓮華・業用の五尊からなる五大虚空蔵菩薩を奉安するとしている。安置される像の数え方について資料に食い違いがあるため、ここでは両論を挙げておく。
五大虚空蔵菩薩は京都の東寺や神護寺、高野山円通律寺にも祀られ、国内でも例が少ないと寺は説明している。功徳は災いを除いて福寿を授けることにあり、とくに60年に一度めぐる辛酉の年の除災に祈願されるという。
建立された文久元年(1861年)は、その辛酉の年にあたる。塔の年代と本尊の性格が噛み合っている点は、太龍寺多宝塔を見るうえで押さえておきたい。
太龍寺多宝塔の見学
太龍寺多宝塔は本堂の北側の一段高い場所に立つので、境内のどこから見上げるかで印象が変わる。本堂の前からだと屋根越しに上層だけが覗く。下層の縁と方三間の割りまで含めて見たいなら、塔の建つ高台まで上がって正面に立つのがよい。上層の四手先と扇垂木は、軒の真下に入って見上げるとかたちが取れる。
塔は上層に登れる構造ではなく、内部の常時公開についても公式の案内はない。折上格天井と安置される像を見られる機会があるかは、太龍寺多宝塔について現地で尋ねるほかない。撮影に関する掲示も確認できなかった。
周囲は杉と桧の高木に囲まれているため、全景を写すなら葉の少ない季節のほうが見通しがきく。境内への行き方と拝観の条件は太龍寺のページにまとめてある。
よくある質問
- 太龍寺多宝塔はいつ建てられましたか?
- 文久元年(1861年)の建立です。この年は60年に一度めぐる辛酉の年にあたります。平成25年(2013年)6月21日に登録有形文化財となりました。
- 太龍寺多宝塔にはどのような像が安置されていますか?
- 文化庁の解説は虚空蔵菩薩を安置するとし、寺と索道事業者の解説は法界・金剛・宝光・蓮華・業用の五尊からなる五大虚空蔵菩薩とします。資料により記述が異なります。
- 太龍寺多宝塔の下層と上層はどう違いますか?
- 下層は方三間で周囲に縁を廻し、組物は出組、軒は二軒の繁垂木です。上層は円形平面で、組物は四手先、軒は二軒の扇垂木として放射状に開きます。
- 太龍寺多宝塔の内部に入れますか?
- 塔に登る構造ではなく、内部の常時公開についての公式な案内もありません。拝観の可否は現地でご確認ください。
- 太龍寺多宝塔は境内のどこにありますか?
- 本堂の北側の高台に立ちます。本堂前から見上げる位置関係で、高台まで上がると正面から全体を見ることができます。
基本データ
| 名称 | 太龍寺多宝塔 |
|---|---|
| 所在地 | 徳島県阿南市加茂町竜山1他 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成25年(2013年)登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造多宝塔、銅板葺、建築面積40平方メートル |
| 所有者 | 宗教法人太龍寺 |
| 公開状況 | 境内から外観の見学が可能。内部の常時公開についての案内はない |
参考文献
- 太龍寺多宝塔 国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009670
- 太龍寺多宝塔 文化遺産オンライン(文化庁)
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/269896
- 太龍寺 四国霊場第二十一番札所 舎心山(公式サイト)
- https://www.tairyuji21.jp/
- 太龍寺ロープウェイの魅力(四国ケーブル株式会社)
- https://www.shikoku-cable.co.jp/tairyuji/outline/
最終更新日: 2026.09.13