今半本店とは
今半本店(いまはんほんてん)は、東京都台東区浅草一丁目の新仲見世通りに面して明治28年(1895年)から続くすき焼き店で、店の奥に昭和26年(1951年)頃から昭和31年(1956年)頃にかけて建てられた奥座敷3棟が、令和5年(2023年)2月27日にそろって登録有形文化財に登録された。登録されたのは西奥座敷・東奥座敷・北奥座敷の3棟で、登録番号は13-0472から13-0474までの連番である。
3棟はいずれも木造平屋建の座敷棟で、登録の基準は3棟とも「造形の規範となっているもの」である。文化庁は今半本店の3棟を、仲見世通りの東の街区の中ほどに建つ料亭の座敷棟とし、すき焼き料亭に典型的な小座敷で組み立てた数寄屋風の座敷棟と評価している。
今半本店の名前と所在地
浅草には「今半」を名乗る店がほかにもあり、国際通りの浅草今半、浅草二丁目の今半別館、日本橋人形町に本店を置く人形町今半がある。今半本店は、これらはそれぞれ別の会社だと案内している。浅草二丁目の今半別館も平成15年(2003年)に3棟が登録有形文化財となっているが、別の店の別の登録で、このページの3棟には含まれない。
今半本店の3棟の所在地は、文化庁のデータベースでは東京都台東区浅草一丁目2-5と記されている。店が案内する住所は浅草1-19-7で、表記が異なる。
岡山から来た初代と「今半御殿」
店の案内によると、今半本店を開いたのは岡山出身の相澤半太郎で、明治28年(1895年)に東京で割烹を始めた。屋号の「半」は半太郎の名から取られた。「今」の由来には、文明開化の新しさを表す「今様」から来たとする説などいくつかの言い伝えがあり、店も一つに決めていない。大正期には、浅草の仲見世の裏手に店を移している。
大正12年(1923年)の関東大震災で建物は倒れた。昭和に入って建て直された店は、その豪華さから「今半御殿」と呼ばれたという。この建物は昭和20年(1945年)3月10日の東京大空襲で焼けた。
戦後、疎開先の伊豆から戻った二代目の相澤邦雄が、昭和26年(1951年)に有限会社今半本店として商売を再開した。店は、昭和30年(1955年)頃までに奥座敷を含む今の建物が建ったと説明している。文化庁のデータベースでは西奥座敷と東奥座敷が昭和26年(1951年)頃、北奥座敷が昭和31年(1956年)頃の建築とされ、北奥座敷は店の説明より少し遅い年代になっている。
今半本店の奥座敷3棟と登録の理由
文化庁の解説をもとに、今半本店の3棟を建てられた順に並べると次のようになる。
- 西奥座敷は昭和26年(1951年)頃の建築で、建築面積は36平方メートル。北側の片廊下に沿って床の間付きの4畳半を3室並べ、部屋を春日・吉野・神代と名付ける。床を高く上げ、床下を収蔵庫にしている。
- 東奥座敷も昭和26年(1951年)頃の建築で、建築面積は53平方メートルと3棟でいちばん広い。北側に玄関付きの片廊下を設け、6畳を3室並べて松・竹・梅と名付ける。
- 北奥座敷は昭和31年(1956年)頃の建築で、建築面積は35平方メートル。南側の片廊下に沿って、4畳半ほどの座敷を3室並べる。
3棟とも屋根は切妻造で、もとは瓦葺だったが、いまは鉄板で葺かれている。西奥座敷と東奥座敷は平成26年(2014年)に、北奥座敷は平成17年(2005年)と平成26年(2014年)に改修を受けた。
3棟の違いは、どこに手間をかけたかに表れる。文化庁は、東西の奥座敷が部屋の名にちなむ銘木や用材に凝るのに対し、北奥座敷は組子の建具や網代天井といった技法に凝ると述べている。材で見せる座敷と手わざで見せる座敷が一つの店の奥に並んでいることが、今半本店の奥座敷を3棟まとめて見る意味である。
3室ほどの小座敷を廊下で結ぶ間取りは、少人数で鍋を囲むすき焼き料亭の使い方に合わせたものである。食文化研究家の向笠千恵子氏は、入口は大衆食堂のような構えなのに、中庭の奥には風雅な純和風の座敷が控える今半本店のつくりを、羽織の裏地に凝る感覚にたとえている。
今半本店の奥座敷の利用と行き方
今半本店の奥座敷はいまも営業しているすき焼き店の個室として使われており、内部に入れるのは食事をする客に限られる。奥座敷の個室は予約制で、予約は2人から受け付けるが、部屋の指定はできない。どの棟のどの部屋に通されるかは、当日に案内されるまで分からない。奥座敷を使うときは、1人500円のお通し代がかかる。入口近くのホール席は予約を受けず、来た順に案内される。
営業時間は午前11時30分から午後8時30分まで(ラストオーダーは午後8時)で、午後3時から午後5時までは休憩となる。定休日は火曜日だが、浅草の縁日や祝日、年末年始などで変わることがある。店は動画投稿者などによる無断の動画公開を断っており、店内を撮影したいときは先に店の人に確かめたい。3棟は街区の中ほどの中庭や通り庭に面して建つため、通りから外観を見ることはできないとみられる。
今半本店へは、東京メトロ銀座線・都営浅草線・東武線の浅草駅から歩いて約3分、つくばエクスプレスの浅草駅から約7分で着く。店に駐車場はなく、店は近くの雷門地下駐車場を使うよう勧めている。
参考文献
- 国指定文化財等データベース 今半本店西奥座敷(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014456
- 国指定文化財等データベース 今半本店東奥座敷(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014457
- 国指定文化財等データベース 今半本店北奥座敷(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014458
- 文化遺産オンライン 今半本店西奥座敷
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/596180
- 文化遺産オンライン 今半本店東奥座敷
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/548721
- 文化遺産オンライン 今半本店北奥座敷
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/576762
- 台東区 国指定・登録文化財、選定保存技術
- https://www.city.taito.lg.jp/gakushu/shogaigakushu/shakaikyoiku/bunkazai/kunibunkazai.html
- すき焼き 今半本店 トップページ(営業時間・予約)
- https://imahan-honten.co.jp/
- すき焼き 今半本店 歴史
- https://imahan-honten.co.jp/history.html
- すき焼き 今半本店 アクセス
- https://imahan-honten.co.jp/access.html
- すき焼き 今半本店 お品書き
- https://imahan-honten.co.jp/ozashiki.html
最終更新日: 2026.10.02
基本情報
| 名称 | 今半本店 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都台東区浅草一丁目2-5 |
| 指定 | 登録有形文化財 3件 |
| 座標 | 35.71158, 139.79683 |