国立天文台三鷹キャンパスとは
国立天文台三鷹キャンパスは、東京都三鷹市大沢にある天文学研究の拠点で、大正10年(1921年)から昭和5年(1930年)にかけて建てられた10件の建造物が、平成10年(1998年)から平成26年(2014年)までに国の登録有形文化財となっている。武蔵野の雑木林を残した広い敷地に、ドームを載せた観測用の建物、機器を守る小さな箱のような建物、門と門衛所が点在する。
ここに並ぶのは、望遠鏡を納めるためだけに設計された建物である。天体の位置を精密に測るには、望遠鏡が床の振動を拾わないこと、屋根が観測時に開くこと、建物が南北の軸に正確に据えられていることが要る。大赤道儀室の観測床がエレベーターのように上下したのも、子午線標室が子午環室の南北ちょうど100メートルに置かれたのも、観測の都合から出た形である。
10件は登録の時期が三度に分かれている。太陽分光写真儀室が平成10年(1998年)、第一赤道儀室と大赤道儀室が平成14年(2002年)、残る7件が平成26年(2014年)に登録有形文化財となった。
麻布飯倉から三鷹へ
国立天文台の前身は、明治21年(1888年)に東京大学天象台・海軍観象台・内務省地理局の3者を統合して麻布飯倉に置かれた東京天文台である。市街地の空は次第に明るくなり、敷地も狭かった。北多摩郡三鷹村への移転計画が進むものの用地を得たのは明治42年(1909年)で、移転作業が始まったのは大正3年(1914年)頃だった。
作業を一気に進めたのは災害である。大正12年(1923年)9月1日の関東大震災で麻布飯倉の東京天文台は壊滅的な被害を受けた。梱包を終えていた観測機器は難を逃れ、三鷹への移転はここから加速する。国立天文台三鷹キャンパスに残る登録有形文化財のうち9件が大正10年(1921年)から大正15年(1926年)に集中しているのは、この事情による。
現在この敷地は大学共同利用機関法人自然科学研究機構が所有し、国立天文台の本部が置かれている。観測の第一線は他の場所へ移り、構内の古い建物は静態保存や資料館として第二の役目を負っている。
構内の歩き方
敷地の東面に開くのが表門で、正門としていまも使われている。門をくぐって北側に建つ木造の門衛所が見学者受付にあたり、来訪者はまずここに立ち寄る。
受付から西へ、構内をまっすぐ貫く道が延びる。この道を挟んで向かい合うのが第一赤道儀室と大赤道儀室で、前者は直径6メートルに満たない小さなドーム、後者は総高19.5メートルの大きなドームを載せる。さらに西へ進むと太陽分光写真儀室(太陽塔望遠鏡)が塔状の姿を見せ、北西の一帯に旧図庫及び倉庫、レプソルド子午儀室、ゴーチェ子午環室が続く。
第一子午線標室と第二子午線標室は、ゴーチェ子午環室の南北それぞれ約100メートルの位置にある。この2棟は公開施設に含まれず、見学コースから外れる。国立天文台三鷹キャンパスでは見学コース以外の場所や建物、草むらへの立ち入りが禁じられているため、遠望にとどめたい。
見学の方法
国立天文台三鷹キャンパスの公開時間は、年末年始(12月28日から1月4日)を除く毎日、午前10時から午後5時まで。入場は午後4時30分までで、入場は無料である。自由見学や少人数での訪問なら申し込みは要らない。
正門を入ってすぐの守衛所(門衛所)が見学者受付で、掲示された二次元コードからフォームに入力するか、見学者受付票に記帳する。人数分の見学者シールを受け取り、衣服の見やすい場所に貼って構内を歩く。設備点検や工事、気象警報の発表により公開が中止になる日があるので、遠方から向かう場合は当日の告知を確かめておくとよい。
見学コース内の撮影は私的利用に限り自由。写真や映像を公開する際は、ほかの見学者が特定されないよう配慮が求められる。飲食は休憩室か屋外のベンチに限られる。
第一赤道儀室では晴れた日に太陽観察会が開かれ、係員の操作する20センチメートル屈折望遠鏡で太陽黒点を見ることができる。申し込みは不要で無料だが、熱中症予防のため6月から9月は休止する。
自動車で訪れる場合、見学者用の有料駐車場は北側の裏門から入る(正門から駐車場へは行けない)。料金ははじめの3時間が500円、以降1時間ごとに200円、利用可能時間は8時30分から17時30分、収容54台。自転車とバイクは正門そばの無料駐輪場が使える。
アクセス
最寄りのバス停は「天文台前」で、鉄道各線からバスに乗り継ぐ。JR中央線の武蔵境駅南口3番のりばから小田急バス境91系統で約15分、運賃250円。JR三鷹駅南口5番のりばからは鷹51系統で約20分、250円。京王線調布駅北口14番のりばからは境91・鷹51系統で約15分、250円で、同駅北口13番のりばの京王バス武91系統なら230円。JR武蔵小金井駅南口6番のりばからは武91・武93系統で約20分、300円である。
所在地は東京都三鷹市大沢2-21-1、電話は0422-34-3600。バス停から正門まではすぐで、そこから先の見学は徒歩になる。
登録有形文化財10件
国立天文台三鷹キャンパスで登録されているのは次の10件である。かっこ内は建設年と登録年を示す。
- 国立天文台表門(大正14年/2014年登録)
- 国立天文台門衛所(大正13年/2014年登録)
- 国立天文台第一赤道儀室(大正10年/2002年登録)
- 国立天文台大赤道儀室(大正15年/2002年登録)
- 国立天文台太陽分光写真儀室(昭和5年/1998年登録)
- 国立天文台旧図庫及び倉庫(昭和5年/2014年登録)
- 国立天文台レプソルド子午儀室(大正14年/2014年登録)
- 国立天文台ゴーチェ子午環室(大正13年/2014年登録)
- 国立天文台第一子午線標室(大正14年/2014年登録)
- 国立天文台第二子午線標室(大正14年/2014年登録)
参考文献
- 国指定文化財等データベース 国立天文台太陽分光写真儀室
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000565
- 国指定文化財等データベース 国立天文台大赤道儀室
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002620
- 国指定文化財等データベース 国立天文台第一赤道儀室
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002621
- 国指定文化財等データベース 国立天文台表門
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009921
- 国立天文台 三鷹キャンパス 見学のご案内
- https://www.nao.ac.jp/about-naoj/organization/facilities/mitaka/visit.html
- 国立天文台 三鷹キャンパス アクセス方法
- https://www.nao.ac.jp/about-naoj/organization/facilities/mitaka/access.html
- 国立天文台 三鷹キャンパス 公開施設
- https://www.nao.ac.jp/about-naoj/organization/facilities/mitaka/visit-facilities/
- 国立天文台 子午儀資料館
- https://www.nao.ac.jp/about-naoj/organization/facilities/mitaka/visit-facilities/repsold-transit-instrument.html
最終更新日: 2026.09.12
基本情報
| 名称 | 国立天文台三鷹キャンパス |
|---|---|
| 所在地 | 東京都三鷹市大沢2-1007-1 |
| 所有者 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構 |
| 指定 | 登録有形文化財 10件 |
| 座標 | 35.67471, 139.53700 |