自給の屋敷に営まれた養鶏
旧内山家住宅にわとり小屋は、登録建物のうち最も慎ましい一棟であり、同時に最も雄弁な一棟でもある。大きな農家が鶏を飼うのは当然のことで、卵や肉のために営まれた。専用の小屋が残ること自体が、内山邸がいかに自給を旨とした屋敷であったかを示す。
この種の小さな建物は、幾世紀も残ることはまれである。格の高い屋敷ほど座敷を残し、小屋を失う。ここではにわとり小屋が残り、屋敷を地主の座であると同時に働く農場たらしめた日常の生産の一部を成している。
屋敷の日々の経済
内山家は宮尾に拓いた田によって富を築き、富山藩の十村役を務めた。その暮らしは自らの敷地の産物の上に成り立っており、にわとり小屋はその家内経済の小さな一片である。
平成十年(一九九八)、邸内建物群の一つとして国の登録有形文化財に登録された。稀に見る、欠けなく残された藩政期の農家屋敷を、なお完全なものにする点に価値がある。
見どころ
にわとり小屋は、来訪者が通り過ぎかねない類の建物である。だがそれは、自給する家の全体像を補って余りある。作業場・井戸・土蔵とあわせて読めば、屋敷が見せるためだけでなく、生産の場であったことが分かる。
邸は平成十七〜二十三年度に修繕された。最も小さな実務の建物までもが、屋敷本来の構えへ戻す丁寧な作業の対象となった。
よくある質問
- なぜにわとり小屋が文化財なのですか。
- 稀少な、欠けのない藩政期の農家屋敷の一部として残るからです。こうした慎ましい建物こそ家の自給ぶりを示しますが、格の高い屋敷ほど失われがちです。
- ここでは何が飼われていたのですか。
- 鶏です。大きな農家では卵や肉のために当然のように飼われ、家自らの食料生産の一部を担いました。
- にわとり小屋はいつ頃の建物ですか。
- 慶応四年(一八六八)を中心とする幕末の造営に属すると伝わります。小さな実務の建物のため、主屋ほど厳密には年代を特定しにくい面があります。
- 見学範囲に含まれますか。
- はい。公開された登録有形文化財の邸の一部です。見学料は二五〇円、九時三十分から十七時、火曜休館です。
基本情報
| 名称 | 旧内山家住宅にわとり小屋(きゅううちやまけじゅうたく にわとりごや) |
|---|---|
| 所在地 | 富山県富山市宮尾903 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(国) |
| 登録年月日 | 平成10年(1998年)7月23日 |
| 員数 | 1棟 |
| 建築年代 | 慶応4年(1868年)を中心とする幕末期と伝わる |
| 所有者 | 富山県 |
| 公開状況 | 富山県民会館分館「豪農の館 内山邸」として公開。見学料250円。開館9:30〜17:00、火曜・年末年始休館。 |
参考文献
- 富山県文化振興財団 — 豪農の館 内山邸(公式)
- https://www.bunka-toyama.jp/uchiyama/index.php
- 富山県文化振興財団 — 内山邸 みどころ
- https://www.bunka-toyama.jp/uchiyama/lookup/index.html
- ウィキペディア — 豪農の館 内山邸
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B1%AA%E8%BE%B2%E3%81%AE%E9%A4%A8_%E5%86%85%E5%B1%B1%E9%82%B8
- 富山県 — 内山邸
- https://www.pref.toyama.jp/1603/kurashi/sportsleisure/leisure/kj00011575/kj00011575-027-01.html
最終更新日: 2026.07.04