暮らしの勝手口となる門

旧内山家住宅背戸の門は、屋敷の日常的で内向きの出入口である。「背戸」は家の背面、格式ある座敷の裏手にあたる働きの場を指し、ここに構えた門は、客の来訪ではなく、家の者自身の日々の往来に応じていた。

大きな農家では、こうした区別が重んじられた。客や役人は表を通り、家人・奉公人・出入りの職人は背戸を使い、二つの生活の流れが分けられていた。

屋敷の暮らしを伝える全体像

内山家は宮尾の地に約四五〇年続き、富山藩の十村役を務めた。この邸が稀なのは、格の高い屋敷なら失われがちな背戸の門まで含めて、屋敷構え一式を保っている点にある。

平成十年(一九九八)、邸内建物群の一つとして国の登録有形文化財に登録された。千石地主の格式ある正面の裏で、日々の暮らしがどう組み立てられていたかを示す点に意味がある。

見どころ

背戸の門は見過ごしやすい。だからこそ立ち止まる価値がある。ここは家の私的で働きの世界の境であり、格式ある表の参道と対をなす。

邸は平成十七〜二十三年度に修繕された。表門から背戸まで敷地を一巡すれば、働く地主の家がいかに自らの屋敷内を動いていたかが感じ取れる。

よくある質問

Q「背戸」とは何ですか。
A家の背面、格式ある座敷の裏手にあたる働きの場を指す言葉です。背戸の門は家の者の日常的な出入りに用いられました。
Q背戸の門は誰が使ったのですか。
A家人・奉公人・出入りの職人などです。表門を通る客や役人とは分けられ、私的な往来と格式の往来が区別されていました。
Q背戸の門はいつ頃の建物ですか。
A慶応四年(一八六八)を中心とする幕末の造営に属すると伝わります。付属建築のため、主屋ほど厳密には年代を特定しにくい面があります。
Q見学範囲に含まれますか。
Aはい。公開された登録有形文化財の邸の一部です。見学料は二五〇円、九時三十分から十七時、火曜休館です。

基本情報

名称旧内山家住宅背戸の門(きゅううちやまけじゅうたく せどのもん)
所在地富山県富山市宮尾903
指定区分登録有形文化財(国)
登録年月日平成10年(1998年)7月23日
員数1棟
建築年代慶応4年(1868年)を中心とする幕末期と伝わる
所有者富山県
公開状況富山県民会館分館「豪農の館 内山邸」として公開。見学料250円。開館9:30〜17:00、火曜・年末年始休館。

参考文献

最終更新日: 2026.07.04