山﨑家住宅主屋とは

山﨑家住宅主屋は、和歌山県紀の川市粉河にある大正6年(1917年)上棟の近代和風住宅で、令和3年(2021年)2月4日に登録有形文化財(建造物)に登録された。JR和歌山線粉河駅のすぐ北に屋敷を構え、地元では「山﨑邸」の呼び名でも通っている。

建て主は、和歌山市内で綿ネルの製造を営んだ山﨑家である。山﨑家住宅主屋は屋敷の中央に建ち、街路側の南蔵、背面の北蔵、外周の煉瓦塀とともに一つの屋敷構えをつくっている。

和歌山県教育委員会の解説によると、上棟は大正6年5月30日で、施主は山﨑栄助。上棟の際の棟札には、和歌山市の大工と高野山の大工が関わったことが書き留められている。文化庁のデータベースは、平成25年(2013年)に改修を受けたことも記録している。

入母屋造の本体に大広間と家政棟が連なる

山﨑家住宅主屋は木造2階建、瓦葺で、建築面積は462平方メートルある。屋根は入母屋造とし、南側の妻には同じく入母屋造の玄関を突き出す。東には大広間の棟が、西には中庭を挟んで家政棟が接続する。客を迎える棟と家事を回す棟を、本体の左右に振り分けた構成である。

2階建部分の南に玄関があり、北へ6畳の次の間、床の間と違い棚を備えた8畳の座敷と続く。東へ折れると大広間で、この部分だけは平屋建になる。南西の勝手口から通り土間を奥へ進むと台所、その東が2階への階段室である。

2階は東側に10畳の主座敷を2間とり、それぞれに次の間を添える。文化庁の解説は、家全体で続き間の座敷が四組あり、組ごとに趣を変えて質の高い造作を見せる点を挙げている。

登録の理由と価値

山﨑家住宅主屋は、令和3年(2021年)2月4日に「国土の歴史的景観に寄与しているもの」の基準で登録された。登録番号は30-0295。同じ日に、敷地内の北蔵・南蔵・塀もそれぞれ別の番号で登録を受けている。

県の解説は価値を二つの面から説明する。一つは、紀州ネルという和歌山の代表的な近代産業に関わった経済人の住まいとして、地域性と時代をよく映していること。もう一つは、伝統的な意匠を土台にしながら形式にとらわれない造作を随所に見せ、洋風も取り入れた、近代和風建築としての質である。

材料にも目が向けられている。目の詰んだ檜の良材を多く使い、改造が少ないまま大正時代の屋敷構えが敷地全体に残っている点も、評価の理由に数えられている。

見どころは大広間と傘天井

山﨑家住宅主屋でいちばん手が込んでいるのは、東の大広間である。15畳の座敷と10畳敷の仏間からなり、一間半の床の間に違い棚と付書院を備える。壁は金唐紙貼り。型押しで文様を浮かせ、金属の光沢を与えた厚手の紙で、座敷全体に重い輝きが加わる。天井は格天井の中央を一段持ち上げた折上格天井で、部屋の格を天井でも示している。

2階北西の8畳は、天井のつくりが珍しい。竿縁を傘の骨のように中心から放射状に配り、天井を傘の形に張った傘天井で、文化庁の解説も主屋の特色として名を挙げている。

階段室も見逃したくない。階段と手すりは直線を基調とした洋風の意匠で、壁には丸窓を開け、天井は格天井とする。和の座敷が連なる家の中で、この一角だけ空気が変わる。

主屋の見学

山﨑家住宅の4件のうち、内部に入れるのは山﨑家住宅主屋だけである。主屋の一角が社会福祉法人一麦会(麦の郷)の運営するカフェ「創-HAJIME-cafe」になっており、営業日にはその席から座敷の造作を間近に見られる。大広間や2階の傘天井の部屋まで案内してもらえるか、室内を撮影してよいかは、その日の催しや利用状況によって変わりうるので、スタッフに尋ねてから動きたい。

外観は、門をくぐった正面に南妻の入母屋造の玄関が見える位置がよい。東へ回ると平屋の大広間の棟が低く伸び、2階建の本体との高さの差がよく分かる。屋敷への行き方とカフェの営業日は、山﨑家住宅のページにまとめてある。

Q&A

Q山﨑家住宅主屋の中に入れますか?
A主屋の一角がカフェとして使われており、営業日にはその範囲に入れます。大広間などほかの部屋を見られるか、撮影してよいかはスタッフに確かめてください。
Q山﨑家住宅主屋はいつ、誰が建てましたか?
A大正6年(1917年)5月30日に上棟しました。施主は和歌山市内で綿ネル業を営んだ山﨑栄助で、棟札には和歌山市と高野山の大工が関わったことが記されています。
Q山﨑家住宅主屋の見どころはどこですか?
A東の大広間です。15畳の座敷と10畳敷の仏間からなり、壁は金唐紙貼り、天井は折上格天井です。2階北西の8畳の傘天井と、丸窓を開けた洋風の階段室も見ておきたい部分です。
Q山﨑家住宅主屋の金唐紙とは何ですか?
A型押しで文様を浮かせ、金属の光沢を与えた厚手の紙で、大広間の壁に貼られています。天井の折上格天井とともに、大広間を最も格式の高い部屋に仕立てています。
Q山﨑家住宅主屋はどのような文化財ですか?
A令和3年(2021年)2月4日に登録有形文化財(建造物)に登録された近代和風住宅です。同じ敷地の北蔵・南蔵・塀も同日に登録されています。

基本情報

名称山﨑家住宅主屋(やまさきけじゅうたくおもや)
所在地和歌山県紀の川市粉河853-3
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年令和3年(2021年)2月4日登録
員数1棟
寸法木造2階建、瓦葺、建築面積462平方メートル
所有者個人
公開状況一角がカフェとして営業(営業日に一部立ち入り可)。住宅としての内部の常時公開はない

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)山﨑家住宅主屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013625
わかやまの文化財(和歌山県教育庁文化遺産課)山﨑家住宅
https://wakayama-bunkazai.jp/bunkazai/bunkazai-spot-1002/
創-HAJIME-cafe 古民家 山﨑邸とは
https://hajime-cafe.jimdofree.com/%E5%8F%A4%E6%B0%91%E5%AE%B6%E5%B1%B1%EF%A8%91%E9%82%B8
創-HAJIME-cafe
https://hajime-cafe.jimdofree.com/

最終更新日: 2026.09.24