旧農林省蚕糸試験場新庄支場蚕種冷蔵室及び蚕種保護室とは

旧農林省蚕糸試験場新庄支場蚕種冷蔵室及び蚕種保護室は、山形県新庄市十日町にある昭和9年(1934年)建築の鉄筋コンクリート造平屋建で、平成25年(2013年)3月29日に登録有形文化財(建造物)に登録された。

敷地の南寄り、庁舎の東隣に建つ。切妻造桟瓦葺で、建築面積は284平方メートル。西側の冷蔵室と東側の保護室という性格の違う二つの部分を、中央の玄関でつないだ構成をとる。

新庄支場の登録10件のうち、鉄筋コンクリート造はこの一棟だけである。他の建物が木造であるなかで、ここだけ材料が変えられたのは、庫内の温度を保ち、断熱材と冷却機の重みを支える必要があったためと考えられる。

冷蔵室の内部は、南北両側に廊下を通し、その間に二列各五室、合わせて10室の冷蔵庫を並べる。西端は機械室である。蚕の卵は冷蔵の期間と温度によって孵化の時期を操作できるため、区画を細かく分けて条件の異なる卵を同時に扱えるようにしてあった。

登録された理由

登録番号は06-0141で、適用された登録基準は第一号の「国土の歴史的景観に寄与しているもの」だった。

旧農林省蚕糸試験場新庄支場蚕種冷蔵室及び蚕種保護室が示しているのは、昭和初期の官庁施設における材料の使い分けである。事務や飼育の建物は木造、温度管理が要る建物は鉄筋コンクリート造。しかも屋根は瓦葺で、小屋組には木造のトラスを架けている。構造体を新しい材料にしながら、外から見える部分は隣の建物と揃えるという判断がそのまま残っている。

外観が庁舎や西隣の蚕種検査及び催青発蛾促進室とよく似ているのはそのためである。素材が違うのに正面景観が乱れないことが、この3棟が並ぶ南面の統一感を支えている。

保護室の内装は後年に貯蔵庫へ改修され、当初の姿は失われている。一方で冷蔵室側の区画は残っており、この棟の中でも部分によって残り方が違う。

見どころ

外から確かめられるのは、まず壁の質感である。庁舎や蚕種検査及び催青発蛾促進室のモルタル塗と比べると、こちらは下地がコンクリートのぶん面が硬く、目地や打ち継ぎの線が浮くことがある。近づいて壁を横から見ると違いが分かる。

屋根は切妻造で、庁舎と蚕種検査及び催青発蛾促進室の寄棟造とは形が違う。棟の両端が壁で切り落とされる切妻と、四方に流れる寄棟が並ぶので、屋根の形を見比べるだけで棟の区別がつく。

中央の玄関は、性格の違う二つの部分をつなぐ役目を持つ。西の冷蔵室と東の保護室では窓の数と大きさが違い、玄関を境に左右非対称になっている。庁舎の左右対称と並べて見ると、用途が形を決めていることが分かりやすい。

小屋組の木造トラスは通常は見えない。瓦葺の屋根の下に木のトラスが隠れているという事実だけでも、この建物が過渡期の産物であることを示している。

見学方法

旧農林省蚕糸試験場新庄支場蚕種冷蔵室及び蚕種保護室は通常非公開である。冷蔵庫の区画も機械室も内部を見ることはできない。見学は外観に限られる。

外観は敷地内から自由に見られ、料金はかからない。庁舎の東側の通路を歩けば南面の全体が視野に入る。撮影も屋外であれば制限はない。

見るのに適しているのは午後である。東向きの面に朝日が当たり、南面は日中から午後にかけて光が回る。壁面の質感を確かめたいなら、光が斜めに当たる時間帯を選ぶとよい。

内部公開の予定は決まっていない。特別公開が行われるかどうかは、新庄市または施設の公式サイトで確認してほしい。

よくある質問

Q旧農林省蚕糸試験場新庄支場蚕種冷蔵室及び蚕種保護室の内部は見学できますか?
A通常は非公開で、内部を見ることはできません。見学は外観に限られます。外観は敷地内から自由に見られ、料金はかかりません。
Qなぜこの建物だけ鉄筋コンクリート造なのですか?
A庫内の温度を保ち、断熱材と冷却機の重みを支える必要があったためと考えられます。新庄支場の登録10件のうち鉄筋コンクリート造はこの一棟だけで、ほかは木造です。
Q蚕種冷蔵室の中はどう仕切られていましたか?
A南北両側に廊下を通し、その間に二列各五室、合わせて10室の冷蔵庫を並べていました。西端は機械室です。条件の異なる卵を同時に扱えるよう細かく区画されています。
Q旧農林省蚕糸試験場新庄支場蚕種冷蔵室及び蚕種保護室の屋根はどうなっていますか?
A切妻造の桟瓦葺です。構造は鉄筋コンクリート造ですが、小屋組には木造のトラスを架けています。屋根の形は、寄棟造の庁舎や蚕種検査及び催青発蛾促進室と見分ける手がかりになります。
Qこの棟のどこが当初のまま残っていますか?
A冷蔵室側の区画が残っています。東側の保護室の内装は後年に貯蔵庫へ改修されており、同じ一棟でも部分によって残り方が異なります。

基本データ

名称旧農林省蚕糸試験場新庄支場蚕種冷蔵室及び蚕種保護室
所在地山形県新庄市十日町字上トウメキ6000-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成25年(2013年)3月29日登録
員数1棟
寸法鉄筋コンクリート造平屋建、桟瓦葺、建築面積284平方メートル
所有者新庄市
公開状況内部は通常非公開。外観のみ見学可(無料)

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 旧農林省蚕糸試験場新庄支場蚕種冷蔵室及び蚕種保護室
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009421
新庄市 登録有形文化財について
https://www.city.shinjo.yamagata.jp/k001/020/010/030/030/9635.html
新庄市 新庄市エコロジーガーデン「原蚕の杜」
https://www.city.shinjo.yamagata.jp/g/kanko/020/010/010/
道の駅新庄エコロジーガーデン原蚕の杜 施設概要
https://michinoeki-eg.jp/facility/

最終更新日: 2026.09.14