旧農林省蚕糸試験場新庄支場庁舎とは

旧農林省蚕糸試験場新庄支場庁舎は、山形県新庄市十日町にある昭和9年(1934年)建築の木造平屋建の事務所建築で、平成25年(2013年)3月29日に登録有形文化財(建造物)に登録された。

敷地の南寄り、表門をくぐった正面に建つ。屋根は寄棟造桟瓦葺、建築面積は259平方メートルで、南正面の中央に切妻屋根の玄関ポーチが突き出す。外壁はモルタル塗だが、窓のまわりだけは額縁の形に厚く塗り出されている。

平面は左右対称である。玄関を入ると背面側に廊下が通り、そこから左右に各二室、計四室へ入る。支場長の部屋と事務室、研究室がこの四室に収まっていた。装飾らしい装飾は玄関まわりに限られ、あとは必要な部屋を必要な広さで並べただけの構成になっている。

屋根には南面に2か所、北面に1か所の屋根窓が付く。平屋の建物の小屋裏に光と風を入れるための開口で、遠目には屋根の斜面に小さな箱が載っているように見える。

登録された理由

登録番号は06-0135。同じ日に登録された新庄支場の10件のうち、最初に振られた番号である。適用された登録基準は第一号の「国土の歴史的景観に寄与しているもの」だった。

旧農林省蚕糸試験場新庄支場庁舎が最初の番号を得たのは、この建物が敷地の正面を代表しているからである。表門の正面に据えられ、西隣の蚕種検査及び催青発蛾促進室、東隣の蚕種冷蔵室及び蚕種保護室と屋根の形と外壁の仕上げを揃えることで、南向きの正面景観をひとまとまりに見せている。

評価されたのは意匠の凝りようではない。昭和初期の地方官庁舎の標準的な姿を、平面から外壁の仕上げまで大きく崩さずに保っている点である。モルタル塗の壁に窓額縁を塗り出す手法は当時の官公庁舎に広く使われたが、断熱改修や外壁の張り替えで覆われて消えることが多い。ここではそれが正面に出たまま残っている。

見どころ

まず玄関ポーチを正面から見てほしい。切妻屋根を持つ小さな張り出しで、この建物の左右対称の軸を目に見える形にしている。まっすぐ向き合って立つと、ポーチの棟、玄関の中心、その奥の寄棟屋根の頂点が一直線に並ぶ。

屋根窓は南側の2か所を並べて見ると、大きさも屋根面での位置も揃っているのが分かる。北面の1か所だけは位置が中央寄りで、内部の廊下の上に来ている。

外壁の窓額縁は、離れて見ると平らな壁にしか見えない。近寄ると、モルタルの面から窓の縁だけが数センチ厚く立ち上がっているのが分かる。手で触れられる高さにあるので、指を当ててみると段の深さが実感できる。

内部では展示室が見どころになる。かつての執務室が展示室として使われていて、さまざまな蚕の標本、試験場時代に実際に蚕の飼育へ使った道具、新庄出身の農学博士で新庄市名誉市民でもある平塚英吉に関する資料が並ぶ。道具はいずれも現物で、蚕を飼う作業がどれほど手数のかかるものだったかが伝わる。

見学方法

旧農林省蚕糸試験場新庄支場庁舎の展示室は無料で公開されている。開室は午前9時から午後5時。火曜日と年末年始(12月29日から1月3日)は休みである。

建物にはエコロジーガーデンの事務室も入っていて、敷地内の貸室の受付はここで行う。公開されているのは展示室で、事務室や他の部屋には立ち入れない。

撮影は外観・展示室とも可能だが、事務室側にはカメラを向けないでほしい。外観の全景は正面(南)から表門越しに収まる。南向きの正面なので、窓額縁とポーチの陰影がはっきり出るのは午前から昼にかけての時間帯である。

建物の周囲は歩けるので、北側へ回れば渡廊下が取り付く位置も確認できる。積雪期は北側の通路が除雪の対象外になることがあり、足元に注意したい。

よくある質問

Q旧農林省蚕糸試験場新庄支場庁舎は内部を見学できますか?
A展示室のみ見学できます。開室は午前9時から午後5時、入場は無料です。火曜日と年末年始(12月29日から1月3日)は休みです。事務室など展示室以外の部屋には立ち入れません。
Q庁舎の展示室には何が置かれていますか?
Aさまざまな蚕の標本、試験場時代に蚕の飼育へ実際に使われた道具、新庄出身の農学博士で新庄市名誉市民の平塚英吉に関する資料などが展示されています。
Q旧農林省蚕糸試験場新庄支場庁舎はいつ建てられましたか?
A昭和9年(1934年)の建築です。同じ年に蚕業試験場福島支場新庄出張所として施設が開設されており、庁舎はその中心に建てられました。
Q庁舎の建物はどんな構造ですか?
A木造平屋建で、屋根は寄棟造の桟瓦葺です。建築面積は259平方メートル。外壁はモルタル塗で、窓のまわりを額縁状に塗り出しています。南面2か所、北面1か所に屋根窓が付きます。
Q旧農林省蚕糸試験場新庄支場庁舎の写真は撮れますか?
A外観と展示室内は撮影できます。事務室側にはカメラを向けないでください。正面(南)からは表門越しに建物全体が収まります。

基本データ

名称旧農林省蚕糸試験場新庄支場庁舎
所在地山形県新庄市十日町字上トウメキ6000-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成25年(2013年)3月29日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、桟瓦葺、建築面積259平方メートル
所有者新庄市
公開状況展示室を無料公開(午前9時から午後5時、火曜日および12月29日から1月3日は休園)

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 旧農林省蚕糸試験場新庄支場庁舎
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009415
新庄市 登録有形文化財について
https://www.city.shinjo.yamagata.jp/k001/020/010/030/030/9635.html
新庄市 新庄市エコロジーガーデン「原蚕の杜」
https://www.city.shinjo.yamagata.jp/g/kanko/020/010/010/
新庄市 施設概要
https://www.city.shinjo.yamagata.jp/k001/020/010/030/010/6468.html
道の駅新庄エコロジーガーデン原蚕の杜 施設概要
https://michinoeki-eg.jp/facility/

最終更新日: 2026.09.14