羽前絹練株式会社染色棟とは

羽前絹練株式会社染色棟(旧染色室及び旧汽罐室)は、山形県鶴岡市新海町の絹織物精練工場で精練後の生地を染める作業棟で、昭和4年(1929年)に建てられ、令和6年(2024年)12月3日に登録有形文化財となった。木造平屋建で、建築面積は238平方メートルある。

羽前絹練株式会社染色棟は精練棟の西側に建つ。名称の括弧書きが示すとおり、もとは「染色室」と「汽罐室」という別々の2棟で、いまは両者を一体の染色棟として使っている。汽罐室はボイラー室のことである。

屋根に残る増築の順序

文化庁のデータベースによれば、羽前絹練株式会社染色棟の年代は昭和4年、昭和8年(1933年)ごろ、昭和中期の3段階にわたる。最初に建ったのは西側の旧染色室で、その東に旧汽罐室が増築され、両棟のあいだを鉄板葺の屋根でつないだ。

この順序は屋根の材料で見分けられる。旧染色室は桟瓦葺、旧汽罐室はセメント瓦葺で、2棟をつなぐ部分だけが鉄板葺になっている。1棟の建物に3種類の屋根材が並ぶのは、羽前絹練株式会社染色棟の特徴である。

文化庁は羽前絹練株式会社染色棟を「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録し、増築を重ねた外観が工場の発展を物語ると評価した。精練から出発して染色部門にも進んだ羽前絹練株式会社で、その染色を担ってきたのがこの棟である。

2つの越屋根

羽前絹練株式会社染色棟の2棟は、どちらも内部が一室の土間である。棟の中央にはそれぞれ越屋根が載り、2つの小屋根が並んで見える。

鶴岡市の資料によれば、この越屋根は染料液から立つ蒸気を外へ逃がすためのものである。熱い染料液を扱う作業場では湯気が室内にこもりやすく、屋根の頂から逃がす仕組みが欠かせなかった。

精練棟の越屋根と見比べると、羽前絹練株式会社染色棟の2つの越屋根はそれぞれの棟の中央に1つずつ置かれていて、2棟が別々に建った経緯がそのまま屋根の上に出ている。

羽前絹練株式会社染色棟の見学

羽前絹練株式会社染色棟(旧染色室及び旧汽罐室)は稼働中の工場の作業棟で、内部は公開されていない。一般向けの見学の受付も、同社や鶴岡市の案内では確認できなかった(2026年9月28日時点)。

羽前絹練株式会社染色棟は敷地の内側にあり、外から見える範囲は限られる。見学は敷地に入らず公道から外観を眺める形になり、撮影もその範囲にとどめたい。

Q&A

Q羽前絹練株式会社染色棟とはどんな建物ですか?
A羽前絹練株式会社の工場で、精練を終えた絹の生地を染める作業棟です。旧染色室と旧汽罐室(ボイラー室)の2棟を鉄板葺の屋根でつないで一体に使っています。
Q羽前絹練株式会社染色棟はいつ建てられましたか?
A旧染色室が昭和4年(1929年)の建築で、昭和8年(1933年)ごろに旧汽罐室が増築され、昭和中期にも手が加えられています。
Q羽前絹練株式会社染色棟の屋根にはどんな特徴がありますか?
A旧染色室は桟瓦葺、旧汽罐室はセメント瓦葺、2棟をつなぐ部分は鉄板葺で、増築の順序が屋根材の違いに表れています。それぞれの棟の中央に、蒸気を逃がす越屋根があります。
Q羽前絹練株式会社染色棟が登録有形文化財になったのはいつですか?
A令和6年(2024年)12月3日で、登録番号は06-0224です。増築を重ねた外観が工場の発展を伝える点が評価されました。
Q羽前絹練株式会社染色棟は見学できますか?
A稼働中の工場の作業棟のため、内部は公開されていません。敷地には入らず、公道から外観を眺める形になります。

基本情報

名称羽前絹練株式会社染色棟(旧染色室及び旧汽罐室)
所在地山形県鶴岡市新海町21-5他
指定区分登録有形文化財(建造物)登録番号06-0224
指定年令和6年(2024年)12月3日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺及び鉄板葺、建築面積238平方メートル
所有者羽前絹練株式会社
公開状況非公開(稼働中の工場)

参考文献

国指定文化財等データベース 羽前絹練株式会社染色棟(旧染色室及び旧汽罐室)(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00015134
文化遺産オンライン 羽前絹練株式会社染色棟(旧染色室及び旧汽罐室)(文化庁)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/565338
羽前絹練株式会社と国登録について答申された建造物(鶴岡市、PDF)
https://www.city.tsuruoka.lg.jp/bunka/rekishi/uzenkenren.files/uzenkenren.pdf
羽前絹練株式会社精練棟ほか6件(山形県、PDF)
https://www100.pref.yamagata.jp/documents/19483/touroku_uzen.pdf

最終更新日: 2026.09.28