コンクリートブロックで組まれた門

旧常滑市立陶芸研究所(とこなめ陶の森陶芸研究所)正門は、愛知県常滑市奥条にあるコンクリートブロック造の門で、昭和36年(1961年)につくられ、2023年(令和5年)8月7日に国の登録有形文化財に登録された。

門扉の間口は5.0メートル、塀まで含めた延長は11メートル。員数は1基で、文化庁の台帳では建築物ではなく「その他工作物」に分類されている。門そのものが独立した文化財として扱われているということである。

設計は堀口捨己(1895年から1984年)。同じ敷地の本館を手がけた建築家で、門も本館と一体の構想として描かれた。堀口は日本建築と茶室の研究者でもあり、露地の門や境界の扱いを長く考えてきた人でもある。焼きもののまちの研究所に、コンクリートブロックという当時の新しい既製材で門を組んだ判断には、その蓄積が働いていると見てよい。

登録有形文化財としての価値

登録番号は23-0588、105回目の登録である。適用された登録基準は「造形の規範となっているもの」で、本館(登録番号23-0587)と同じ日に登録された。常滑市はこの二件をまとめて公表している。

旧常滑市立陶芸研究所(とこなめ陶の森陶芸研究所)正門が単独で登録されたのは、門扉と塀と文字が一組の造形として設計されているからである。門を開けるための金物、敷地の内と外を分ける壁、施設の名前を示す看板は、ふつうは別々の職能が別々に処理する。ここではそれが一度に決められている。

もう一点、素材の選択がある。コンクリートブロックは戦後に普及した工業製品で、安価で施工が早い。装飾のための材ではない。それを寸法の決まった単位として積み上げ、左右対称の壁として立ち上げたところに造形上の判断がある。土と火の産業を支える施設の入口を、土を焼いた瓦や陶板ではなくセメント製のブロックで構成した点も、この門を読むときに引っかかるところである。

見どころ

板から抜かれた七文字

門扉の上に横長の板が渡してある。そこに「常滑陶芸研究所」の七文字が、極太の明朝体で打ち抜かれている。塗ったのでも貼ったのでもない。板から字の形を抜いてあるので、文字の内側は向こう側が見える。極太明朝は縦線と横線の太さの差が大きく、抜き文字にすると細い部分が線として残り、太い部分が空白になる。看板というより、文字の形をした構造物に近い。立ち止まって正面から見上げたい部分である。

左右にスライドする鉄格子戸

門扉は鉄格子でつくられ、左右にスライドして開く。間口は5.0メートル。格子であるから閉じていても中が見え、開いていても枠として残る。閉門時に敷地が壁で完全に切れてしまわないのは、この選択によっている。

矩折に控える塀

門扉の左右からは、コンクリートブロックの塀が矩折に、つまり直角に折れて後ろへ控えている。左右は対称。まっすぐ道路沿いに並べるのではなく一度折り返すことで、門の前に小さな踏みとどまる場所ができ、門扉が奥まって見える。延長11メートルという数字は、この折れた塀まで含めたものである。

門をくぐった先

この門を通ると、正面に紫タイル貼りの本館が現れる。門で一度絞られた視界が開ける組み立てになっており、旧常滑市立陶芸研究所(とこなめ陶の森陶芸研究所)正門は本館への導入部として働いている。門を見てから建物を見る順序で歩くと、設計者が何を用意していたかが分かりやすい。

見学方法とアクセス

旧常滑市立陶芸研究所(とこなめ陶の森陶芸研究所)正門は道路に面しており、敷地の外からいつでも見ることができる。門扉の文字も塀も外から観察できるので、この門だけを目当てにするなら開館日を選ばなくてよい。

門をくぐって敷地内に入り、本館の展示を見る場合は、とこなめ陶の森陶芸研究所の開館時間に合わせる。開館は9:00から17:00まで、入館料は無料。休館日は月曜日で、月曜が祝日にあたるときは翌日が休みになる。年末年始も閉まる。団体での見学や職員の説明を希望する場合は、公式サイトの見学依頼書で事前に予約する。

撮影について、公式サイトに一般来館者向けの明記はない。屋外にある門は敷地外の道路から撮ることができるが、展示室内で撮る場合は受付で確認するのが確実である。

名鉄常滑駅からはタクシーで約5分、徒歩なら約30分。バスは知多半田駅行きに乗り「INAXライブミュージアム前」で下車して徒歩約7分。車では国道247号の新瀬木橋東交差点から3分ほどで、駐車場がある。問い合わせは0569-35-3970。

Q&A

Q旧常滑市立陶芸研究所(とこなめ陶の森陶芸研究所)正門は見学できますか。予約や料金は必要ですか?
A道路に面しているため、敷地の外からいつでも見学できます。予約も料金も不要です。門をくぐって本館の展示を見る場合は、開館時間の9:00から17:00に合わせてください。入館料は無料、休館日は月曜日(祝日の場合は翌日)と年末年始です。
Q旧常滑市立陶芸研究所(とこなめ陶の森陶芸研究所)正門は何でできていますか。大きさは?
Aコンクリートブロック造です。門扉の間口が5.0メートル、塀を含めた延長は11メートルあります。門扉は鉄格子で、左右にスライドして開きます。文化庁の台帳では建築物ではなく「その他工作物」として員数1基で登録されています。
Q旧常滑市立陶芸研究所(とこなめ陶の森陶芸研究所)正門はいつ登録有形文化財になりましたか?
A2023年(令和5年)8月7日です。登録番号は23-0588、105回目の登録にあたります。同じ日に本館も登録番号23-0587で登録されました。登録有形文化財は「指定」ではなく「登録」と呼ぶ制度です。
Q正門に打ち抜かれている文字には何と書かれていますか?
A「常滑陶芸研究所」の七文字です。門扉の上に渡した板に、極太の明朝体で打ち抜かれています。塗装や貼り付けではなく板を抜いてあるため、文字の内側は向こう側が透けて見えます。
Q旧常滑市立陶芸研究所(とこなめ陶の森陶芸研究所)正門を設計したのは誰ですか?
A堀口捨己(1895年から1984年)です。同じ敷地の本館も同じ設計者によるもので、門と建物は一体の構想として描かれました。堀口は日本建築と茶室の研究でも知られた建築家です。

基本情報

名称旧常滑市立陶芸研究所(とこなめ陶の森陶芸研究所)正門
所在地愛知県常滑市奥条7丁目22
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年2023年(令和5年)登録
員数1基
寸法コンクリートブロック造、間口5.0メートル、延長11メートル
所有者常滑市
公開状況敷地外から常時見学可。9:00から17:00、月曜休館

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)旧常滑市立陶芸研究所(とこなめ陶の森陶芸研究所)正門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014615
文化遺産オンライン 旧常滑市立陶芸研究所(とこなめ陶の森陶芸研究所)正門
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/527247
国指定文化財等データベース(文化庁)旧常滑市立陶芸研究所(とこなめ陶の森陶芸研究所)本館
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014614
常滑市 施設案内 とこなめ陶の森陶芸研究所
https://www.city.tokoname.aichi.jp/shisetsu/tounomori/1001160.html
とこなめ陶の森 陶芸研究所
https://www.tokoname-tounomori.jp/togeikenkyujo/
とこなめ陶の森 ご利用案内
https://www.tokoname-tounomori.jp/%E3%81%94%E5%88%A9%E7%94%A8%E6%A1%88%E5%86%85/

最終更新日: 2026.08.31