窯のある広場・資料館煙突とは
窯のある広場・資料館煙突は、愛知県常滑市奥栄町に立つ大正10年(1921年)建造の煉瓦造煙突で、平成9年(1997年)6月12日に登録有形文化財として登録された。文化庁の記録では高さ21メートル、根元は2.2メートル四方で、上へゆくにしたがってわずかに細くなる。
この煙突は独立した記念物ではない。土管を焼くための角窯に付属する排煙設備で、窯の床下を通る煙道がここへつながっている。倒焔式の窯は炎を天井で反転させて床下へ引き込む方式をとるため、その煙を最後に空へ逃がす煙突がなければ焼成そのものが成り立たない。窯と煙突は、機能の上では一つの装置である。
員数は1基。文化庁の分類では種別が「その他工作物」となっており、同じ敷地の角窯と上屋が「建築物」として別途登録されているのと対をなす。
なお高さについては、所有者であるINAXライブミュージアムが約22メートルと案内している。本記事では一次資料である文化庁の登録記録に従って21メートルと記したが、実測の基準点の取り方によって差が生じている可能性がある。
登録有形文化財としての価値
窯のある広場・資料館煙突が満たしている登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」で、登録番号は23-0007、告示は平成9年(1997年)6月24日に出された。
文化庁の解説は、この煙突の価値を常滑という町の変化のなかに置いて説明している。かつて市内には同じような煙突が数多く立っていたが、その多くはすでに失われた。残ったものが常滑のランドマークとして親しまれている、という書き方である。つまりここで登録されているのは一本の煙突の造形だけではなく、それが単独で背負うことになった風景の記憶でもある。
煉瓦造の煙突は地震に弱い。細長い塊が自重だけで立っている構造であり、日本各地の窯業地や紡績地で、震災や老朽化を理由に上部を切り詰めたり全体を解体したりする例が続いてきた。創建時の高さを保ったまま現役の景観要素であり続けている窯のある広場・資料館煙突は、その意味で残りにくい種類の遺構にあたる。
平成19年(2007年)11月には、この煉瓦煙突が同じ敷地の石炭窯とともに経済産業省の近代化産業遺産に認定された。
見どころ―芝生の広場から見上げる
窯のある広場・資料館煙突は、名前のとおり広場に立っている。芝生の前庭からは遮るものがなく、根元から先端までひと続きに見通せる。真下に近づいてから見上げると、2.2メートル四方の基部が上へ向かって絞られていく輪郭が実感できる。
煉瓦の一段ごとの積み方に注目したい。逓減する円筒や角錐を煉瓦で組むには、段ごとに寸法を詰めながら目地を通していく手間がかかる。表面の色は焼きの個体差でわずかに揺らぎ、日が傾く時間帯には陰影がはっきり出る。
広場の一角には煙突テラスと呼ばれる休憩スペースが設けられており、屋根の下から煙突を眺めながら休むことができる。
平成28年(2016年)から3年をかけた保全工事では、耐震補強も併せて行われた。所有者は、工事を経た現在も窯のある広場・資料館煙突が創建当時と変わらない姿で立っていると説明している。
常滑のやきもの散歩道を歩けば、路地の奥や屋根の向こうに煉瓦煙突がいくつも顔を出す。ただし多くは切り詰められ、あるいは工場が失われて煙突だけが取り残されている。窯と上屋と煙突が揃ったまま残る例として見比べると、この一基の位置がはっきりする。
見学方法(入館料・撮影・アクセス)
窯のある広場・資料館煙突はINAXライブミュージアムの敷地内に立ち、外観を間近から見学できる。煙突の内部は非公開で、登る設備もない。開館時間は10時から17時まで、入館の受付は16時30分まで。休館日は水曜日(祝日の場合は開館)と年末年始である。
入館券は全館共通で、大人1,000円、学生800円、中高生500円、小学生250円、70歳以上900円。未就学児と障害者手帳などの所持者本人および介助者1名は無料である。所有者が入館券なしで利用できると案内しているのはミュージアムショップとレストランのみで、煙突の立つ広場を含む館内の見学には入館券が必要になる。券は同じ敷地の窯のある広場・資料館に置かれた総合受付で求める。
撮影は可能で、SNSへの投稿も認められている。展示室内での三脚・一脚・自撮り棒の使用とフラッシュ撮影は控えるよう求められており、取材や営利目的の撮影には事前の許可がいる。背が高いので、敷地の外の通りからも上部は目に入るが、根元から見上げられるのは入館してからになる。
最寄り駅は名鉄常滑線の常滑駅で、知多バスに乗り換えて「INAXライブミュージアム前」で降りれば徒歩2分ほど。やきもの散歩道の常滑市陶磁器会館からは徒歩約20分、登窯(陶栄窯)からは約15分が目安になる。車なら知多横断道路の常滑インターチェンジから約7分、無料駐車場は普通車80台分ある。
料金と開館時間は変わることがある。ここに書いた内容は2026年8月30日時点のもので、訪問前に公式サイトで確かめてほしい。
Q&A
- 窯のある広場・資料館煙突の高さは何メートルですか?
- 文化庁の登録記録では高さ21メートル、根元は2.2メートル四方です。所有者のINAXライブミュージアムは約22メートルと案内しており、資料によって1メートルほどの差があります。
- 窯のある広場・資料館煙突は見学できますか。入館料と開館時間は?
- 敷地内から外観を見学できます。開館は10時から17時(入館は16時30分まで)、休館日は水曜日(祝日は開館)と年末年始です。入館券は全館共通で大人1,000円、学生800円、中高生500円、小学生250円、70歳以上900円です。
- 窯のある広場・資料館煙突の内部に入ったり登ったりできますか?
- できません。煙突は排煙のための工作物で、内部は非公開です。見学は外観のみになります。広場の煙突テラスからは、屋根の下で休みながら眺めることができます。
- 窯のある広場・資料館煙突は写真撮影できますか?
- 撮影できます。SNSへの投稿も認められています。展示室内での三脚・一脚・自撮り棒とフラッシュ撮影は控えてください。取材や営利目的の撮影には事前許可が必要です。
- 窯のある広場・資料館煙突へは常滑駅からどう行きますか?
- 名鉄常滑線の常滑駅で知多バスに乗り換え、「INAXライブミュージアム前」で下車して徒歩2分です。やきもの散歩道の常滑市陶磁器会館からは徒歩約20分。車なら常滑インターチェンジから約7分で、無料駐車場があります。
基本データ
| 名称 | 窯のある広場・資料館煙突 |
|---|---|
| 所在地 | 愛知県常滑市奥栄町一丁目112 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物)/登録番号 23-0007 |
| 指定年 | 1997年6月12日登録(平成9年)/告示 1997年6月24日 |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 煉瓦造、高さ21メートル、基部2.2メートル四方(所有者は約22メートルと案内) |
| 所有者 | 株式会社LIXIL |
| 公開状況 | INAXライブミュージアム内で外観を公開(有料・水曜休館、内部は非公開) |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「窯のある広場・資料館煙突」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00000216
- 文化庁 国指定文化財等データベース「窯のある広場・資料館(倒焔式角窯)」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00000215
- INAXライブミュージアム「窯のある広場・資料館」
- https://livingculture.lixil.com/ilm/facility/kiln/
- INAXライブミュージアム「窯のある広場・資料館について」
- https://livingculture.lixil.com/ilm/facility/kiln/kiln_about/
- INAXライブミュージアム「利用案内」
- https://livingculture.lixil.com/ilm/guide/
- INAXライブミュージアム「お客様へのお願い」
- https://livingculture.lixil.com/ilm/guidelines/
- 愛知県公式観光サイト Aichi Now「INAXライブミュージアム」
- https://aichinow.pref.aichi.jp/spots/detail/32/
- とこなめ観光ナビ「INAXライブミュージアム」
- https://www.tokoname-kankou.net/spot/detail/13/
最終更新日: 2026.08.29