貞照寺浄水舎の概要

貞照寺浄水舎(ていしょうじじょうすいしゃ)は、岐阜県各務原市鵜沼宝積寺町の貞照寺で門の南東に建つ昭和8年(1933年)の吹放しの小建築で、平成18年(2006年)8月3日に国の登録有形文化財に登録された。

名前のとおり、参拝の前に身を清める水のための建物で、神社でいう手水舎にあたる。文化庁の記録では木造、瓦葺、面積5.0平方メートル。貞照寺に残る登録文化財7棟のうち、もっとも小さい。

位置は門から南東へ20メートルほど。門や本堂と同じ年に、川上貞奴による創建の一環として建てられた。

貞照寺浄水舎が登録された理由

登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説は、規模は小さいが境内を構成するうえで欠かせない存在だと述べる。門のすぐ脇にあって、入口まわりの景色を門とともにつくっている点が評価の核といえる。

小さな建物でも省略をしていない。柱の傾け方、横材の固め方、妻の飾りまで、本格的な社寺建築と同じ部材と手順で組まれており、貞照寺浄水舎を近くで見ると、伽藍全体に通じる施工の水準が読み取れる。

貞照寺浄水舎の見どころ

内転びの4本の角柱

貞照寺浄水舎は壁を設けない吹放し形式で、平面は横に長い。四隅に角柱を立て、柱の上部をわずかに内側へ寄せる内転びとする。正面に立つと、柱が上へ行くほど互いに近づいているのが分かる。背の低い建物にどっしりした安定感を与える手法で、鳥居などにも用いられる。

内法貫と舟肘木

4本の柱は内法貫でつないで固め、柱の上に舟肘木を載せて桁を受ける。組物を使わない簡潔な納まりである。屋根は東西に棟を通す切妻造の桟瓦葺で、軒は垂木一段の一軒とする。

妻飾りの蟇股と絵様肘木

装飾が集まるのは東西の妻である。妻飾に蟇股を置き、その上に表面へ文様を彫った絵様肘木を載せて棟木を受ける。全体が簡素なぶん、屋根の三角形の中だけが細やかに仕上げられているのが目を引く。

貞照寺浄水舎の見学方法

貞照寺浄水舎は門の南東、境内の入口近くにあり、開堂時間内は自由に近づいて見られる。吹放しなので、柱と貫の組み方は外からそのまま見通せる。妻飾は棟の両端にあるため、建物の東か西へ回ると蟇股と絵様肘木を正面から見上げられる。

水の有無など現在の使われ方は、公表資料に記載がない。撮影の決まりも案内されていないので、迷ったら寺に確かめたい。交通と開堂時間は貞照寺のページにまとめてある。

Q&A

Q貞照寺浄水舎は境内のどこにありますか?
A門の南東にあります。文化庁データベースの地図座標で測ると、門からおよそ20メートルの位置です。
Q貞照寺浄水舎はいつ建てられ、いつ登録有形文化財になりましたか?
A昭和8年(1933年)に貞照寺の創建とともに建てられ、平成18年(2006年)8月3日に国の登録有形文化財に登録されました。
Q貞照寺浄水舎はどれくらいの大きさですか?
A文化庁の記録では面積5.0平方メートルで、木造、瓦葺です。貞照寺の登録文化財7棟のなかでもっとも小さな建物です。
Q貞照寺浄水舎の柱が傾いて見えるのはなぜですか?
A四隅の角柱を、上部がわずかに内側へ寄るように立てる「内転び」という手法で建てているためです。低い建物に安定した印象を与えます。
Q貞照寺浄水舎で装飾が施されているのはどこですか?
A東西の妻です。蟇股の上に文様を彫った絵様肘木を載せて棟木を受けています。建物の東側か西側から見上げるとよく見えます。

基本情報

名称貞照寺浄水舎(ていしょうじじょうすいしゃ)
所在地岐阜県各務原市鵜沼宝積寺町5-189
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成18年(2006年)8月3日登録
員数1棟
寸法面積5.0平方メートル(木造、瓦葺、吹放し)
所有者成田山貞照寺
公開状況開堂時間内は境内から外観を見学可

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「貞照寺浄水舎」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005614
成田山貞照寺 公式サイト
https://naritasan-teishoji.com/
各務原市「登録有形文化財」
https://www.city.kakamigahara.lg.jp/kankobunka/bunkazai/1005182.html

最終更新日: 2026.09.17