内転びとは
内転びは、柱を垂直ではなく内側へわずかに傾けて立てることである。上部が狭まるため、見上げたときに安定した印象を与える。転びとも呼ぶ。
鳥居に用いられる。大分県の春日神社参道鳥居は享保5年の築造で、「石造の明神鳥居で、幅3.1メートル高さ3.8メートル。礎石の上に内転びで円柱を建て、貫と島木、笠木で固める。笠木の両端に強い反りをもたせ、力強い立面を構成する」と解説されている。
同じ境内の西参道鳥居は昭和9年の築造で、「径36センチメートルの円柱を内転びに建て、貫と島木、笠木で固める。嶋木や笠木はほぼ同じせいで、全体に反りをもたせ、安定感のある姿をつくる」と解説されている。安定感という評価が、この技法の目的を示している。
鐘楼にも用いられる。愛知県の如意寺鐘楼は宝暦5年頃の建築で、「境内南寄り、石積基壇上に建つ入母屋造桟瓦葺。沓石に内転び角柱を立て、腰貫、飛貫、頭貫で固め、台輪を廻らす。組物は出三斗、中備は蟇股。妻飾は虹梁大瓶束」と解説されている。
転びを付けない例
記録には転びを付けないことを明示する例もある。大阪府の伴林氏神社若宮八幡宮社殿は昭和15年の建築で、「素木造で木柄太く、棟持柱は転びなく直立する」と解説されている。転びが一般的だからこそ、付けないことが特徴として書かれる。
四本以上の柱で構成する開放的な建物では、内転びが効きやすい。鳥居、鐘楼、高麗門のように壁を持たない構造では、柱の傾きがそのまま外観を決める。
現地では柱を下から見上げるとよい。二本の柱の間隔が上へ行くほど狭まっていれば内転びである。石造の鳥居では、礎石に据えた根元と笠木の下で幅を比べると分かりやすい。
石垣の反りとは別のものである。石垣の反りは面を曲線に立ち上げる手法で、柱の傾きとは対象も原理も違う。
参考文献
- 文化庁 文化財の紹介 国宝・重要文化財(建造物)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/kokuho_bunkazai.html
- 国指定文化財等データベース(文化庁)春日神社参道鳥居/礎石の上に内転びで円柱を建て、貫と島木、笠木で固める
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009095
- 国指定文化財等データベース(文化庁)春日神社西参道鳥居/径36センチメートルの円柱を内転びに建てる
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009096
- 国指定文化財等データベース(文化庁)如意寺鐘楼/沓石に内転び角柱を立て、腰貫、飛貫、頭貫で固める
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009465
- 国指定文化財等データベース(文化庁)伴林氏神社若宮八幡宮社殿/一間社神明造、千木、堅魚木、鞭掛を備え、棟持柱は転びなく直立する
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014272
最終更新: 2026.09.10