鈴木家の家財を納めた土蔵
鈴木酒造店文庫蔵は、秋田県大仙市長野字二日町の造り酒屋・鈴木酒造店に明治29年(1896年)に建てられた土蔵で、令和2年(2020年)4月3日に国の登録有形文化財となった。土蔵造2階建、金属板葺で、建築面積は44平方メートル。昭和61年(1986年)に改修されている。
事務所兼主屋の南東に接続して建ち、鈴木家の家財を納めるために建てられた。酒造りのための蔵が並ぶ屋敷の中で、鈴木酒造店文庫蔵は家の宝物を守る役を担ってきた。蔵元の年表には、昭和61年に資料館の準備として「文庫蔵二棟」を改築したとあり、登録されている文庫蔵は1棟である。
登録の理由 ― 再現の難しい左官仕事
鈴木酒造店文庫蔵には「再現することが容易でないもの」という登録基準が適用された。鈴木酒造店の7棟のうち、この基準で登録されたのは文庫蔵だけである。
理由は左官の技にある。出入口や窓まわりを囲む鳥居型の枠には黒漆喰を用い、絵様を鏝細工で仕上げている。黒漆喰は塗りと磨きに手間のかかる仕上げで、そこに鏝で文様を起こす仕事は、同じ水準で繰り返すことが難しい。
内部にも当地特有の手法が見られる。平面の大きさに比べて柱を密に立て、壁を丁寧に漆喰で仕上げている。外に見える装飾だけでなく、内側の造り込みまで含めて評価された蔵である。
見どころ ― 黒い鳥居型と鏝の絵様
鈴木酒造店文庫蔵を前にしたら、まず出入口と窓の縁取りを見たい。鳥居のような形に組んだ枠が黒漆喰で塗られ、白い壁との対比で開口部が浮き上がる。鏝で描き出された絵様は、光の当たり方で陰影が変わる。
蔵の中では、柱の間隔の詰まり方に注目したい。44平方メートルという小さな平面に対して柱が多く、壁面に縦の線が細かく並ぶ。
現在の鈴木酒造店文庫蔵には、鈴木家に伝わる品が展示されている。蔵元の案内によれば、元禄以来の酒造の記録を書き継いだ古文書「元禄時代以来酒造伝記録」、黒塗角頭兜、嫁入り道具として受け継がれてきた金細工の簪などがあり、蔵元は豊臣秀吉や織田信長からの寄贈品も所蔵すると紹介している。
見学方法
鈴木酒造店文庫蔵は、蔵元の酒蔵見学で案内される建物の一つで、公式の案内も文庫蔵の見学を明記している。見学は予約制・有料で、自由に立ち入ることはできない。展示品の撮影ができるかは、案内の際に確認したい。
位置は事務所兼主屋の南東で、主屋と接している。見学の時間・料金と駅からの行き方は、鈴木酒造店のページにまとめてある。
Q&A
- 鈴木酒造店文庫蔵は見学できますか?
- はい。予約制・有料の酒蔵見学で文庫蔵が案内され、鈴木家の所蔵品を見ることができます。
- 鈴木酒造店文庫蔵には何が展示されていますか?
- 蔵元の案内では、元禄以来の酒造記録の古文書「元禄時代以来酒造伝記録」、黒塗角頭兜、金細工の簪などが紹介されています。
- 鈴木酒造店文庫蔵はいつ建てられましたか?
- 明治29年(1896年)の建築で、昭和61年(1986年)に改修されています。令和2年(2020年)4月3日に登録有形文化財となりました。
- 鈴木酒造店文庫蔵の外観の特徴は何ですか?
- 出入口や窓まわりの鳥居型の枠に黒漆喰を用い、絵様を鏝細工で仕上げた左官仕事です。これが「再現することが容易でないもの」として評価されました。
- 鈴木酒造店文庫蔵はどこにありますか?行き方は?
- 秋田県大仙市長野字二日町9の鈴木酒造店の屋敷内にあり、事務所兼主屋の南東に接続しています。JR田沢湖線の羽後長野駅から徒歩約10分です。
基本情報
| 名称 | 鈴木酒造店文庫蔵(すずきしゅぞうてんぶんこぐら) |
|---|---|
| 所在地 | 秋田県大仙市長野字二日町9 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 令和2年(2020年)4月3日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 土蔵造2階建、金属板葺、建築面積44平方メートル |
| 所有者 | 合名会社鈴木酒造店 |
| 公開状況 | 酒蔵見学(要予約・有料)で内部を公開 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁) 鈴木酒造店文庫蔵
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013210
- 秀よし 鈴木酒造店 酒蔵観光
- https://www.hideyoshi.co.jp/tour/
- 秀よし 鈴木酒造店 秀よしの歴史
- https://www.hideyoshi.co.jp/history/
- 大仙市 国指定・登録文化財(大仙市内指定文化財データベース)
- https://www.city.daisen.lg.jp/archive/contents-1884
最終更新日: 2026.09.26