山際に立つ鉄筋コンクリートの灯籠
石土神社の高灯籠(式年祭記念燈)は、愛媛県西条市小松町妙口にある鉄筋コンクリート造の灯籠で、昭和6年(1931年)に建てられ、平成14年(2002年)2月14日に国の登録有形文化財(建造物)に登録された。
高さは9.5メートル。地面に接する部分の直径が約1.5メートルで、そこから上へ細くなっていく。離れて見ると、木の茂った斜面に細い楔を打ち込んだような姿になる。頂部には、日本の献灯にはおなじみの部材が並ぶ。玉ねぎ形の宝珠、その下で広がる笠、そして四面をすべて開け放った火袋である。これらがすべて石ではなくコンクリートで形づくられている。
名称がそのまま建立の理由になっている。式年祭は毎年ではなく一定の年数を置いて行われる祭祀で、この灯籠は石土神社のその祭りを記念して建てられた。文化庁の解説は、町の北西部の山際に位置し、巡礼登山道の途中にあって、周辺の集落から地域のランドマークとして親しまれてきたと記す。
西条市は西日本最高峰の石鎚山系の裾野にあたる。小松町から南へ延びる道は谷を遡って山へ向かい、灯籠はちょうど平地の田畑が尽きて山地が始まる境目に立っている。
なぜ登録されたのか ― 国土の歴史的景観への寄与
この灯籠が載っているのは、平成8年(1996年)に始まった登録の制度である。現に使われている建物や工作物を幅広く保護する仕組みで、古くからある指定の制度とは別の道筋にあたる。石土神社の高灯籠(式年祭記念燈)は指定されたのではなく登録された物件であり、登録番号は38-0023、第32回の登録として平成14年(2002年)3月12日に告示された。
登録には三つの基準があり、この灯籠が満たしたのは「国土の歴史的景観に寄与しているもの」という基準である。単体の造形の優劣ではなく、その場所に置かれた状態を評価する見方だ。ここで認められたのは、およそ一世紀にわたって、この山際の一帯をどう眺めるかを人々に決めさせてきた目印としての働きということになる。
材料にもう一つの見どころがある。昭和6年(1931年)当時、鉄筋コンクリートは愛媛の農村部にとって新しい技術で、橋梁や水利施設で使われることはあっても、神社の献灯に用いられる材料ではなかった。建立にあたった人々は、石灯籠の形式をそのまま踏襲しながら、この地域の石積みではまず届かない寸法に到達している。下部直径わずか1.5メートルの上に、9.5メートルの軸部を立てたのがそれだ。切石を積んで同じ高さを得ようとすれば、はるかに太い断面が要る。地方の初期コンクリート工作物が国のレベルで評価される機会は多くない。この種の登録は、その数少ない経路の一つでもある。
現地で目を向けたいところ
まず比率を見てほしい。9.5メートルは三階建ての住宅ほどの高さで、それを両腕で抱えられそうな太さの基部で支えている。根元まで歩いて、下から軸部の絞りをたどってみるとよい。真っ直ぐな円錐ではなく、下へ向かう広がりは写真で見るよりも緩い。この緩さが、軸部を寸詰まりに見せないでいる。
次に頂部。火袋の開口は四方すべてに向いているので、内部に灯を入れれば、光は一方向ではなく全周へ散る。下の道からも、周囲の田からも読み取れる目印としては理にかなった選択である。その上に載る笠と宝珠は、何百年もかけて花崗岩の加工で練り上げられてきた形を、型枠とモルタルで再現したものだ。型枠の跡、風化した面から覗く骨材、北面に付いた地衣類。いずれも石の灯籠とは違う表情で、表面そのものを一分ほど眺める価値がある。
立つ位置も見どころのうちだ。開けた広場ではなく山を背負って立っているため、斜面が背後にせり上がる北側からの眺めが最もよく全体をとらえる。午後遅い時間の光は西から軸部を横切り、絞りの陰影を浮かび上がらせる。石土神社の社地はすぐ隣にあり、石土神社の高灯籠(式年祭記念燈)は単独の記念碑としてではなく、参道の一部として読まれる位置にある。
使われ方について一つ補足しておく。火袋があることは、この灯籠が灯を入れる前提で造られたことを示している。文化庁の記録も地域の目印として親しまれてきたと述べている。ただし現在も点灯されているのか、点灯するとすればどの時間帯なのかは、一次資料では確認できなかった。夜の姿を目当てに訪ねるなら、事前に石土神社へ問い合わせたほうが確実である。
見学方法とアクセス
石土神社の高灯籠(式年祭記念燈)は社地に立つ屋外の工作物で、内部に入る建物ではない。門も入場券も閉門時刻もなく、外観はいつでも見られる。事前予約も不要である。
外観の撮影に制限はなく、手持ちでの撮影に許可は要らない。ただし前面の道は幅が狭く、地元の生活道路でもあるため、通行を妨げる三脚の据え置きは避けたい。境内に掲示があればそれに従う。
最寄り駅はJR予讃線の伊予小松駅。灯籠は駅の南西およそ2.5キロメートルにあり、徒歩でおよそ35分から40分かかる。大半は平坦で、最後にわずかな上りがある。駅にタクシーの常駐はないので、利用するなら事前に手配しておくとよい。車の場合は松山自動車道いよ小松インターチェンジから約10分。見学者専用の駐車場はないため、神社の駐車場が開いていればそちらを使い、道路上への駐車は控えてほしい。
灯籠だけなら20分ほど。境内をひと回りして合わせても1時間あれば余裕がある。遮るものが少ない場所なので、夏は帽子、冬は風を防ぐ上着があるとよい。
Q&A
- 石土神社の高灯籠(式年祭記念燈)は見学できますか。料金はかかりますか。
- 見学できます。西条市小松町妙口の石土神社の社地に立つ屋外の工作物で、外観はいつでも見ることができます。入場料も受付も決まった開門時間もありません。管理された観光施設ではなく神社の境内ですので、通路を外れないようにし、掲示があればそれに従ってください。
- 石土神社の高灯籠(式年祭記念燈)の高さと材質は何ですか。
- 高さは9.5メートル、下部の直径は約1.5メートルで、昭和6年(1931年)に鉄筋コンクリート造で建てられました。頂部の宝珠、笠、四面を開け放った火袋も、切石ではなくコンクリートで形づくられています。この年代の献灯としては珍しい構法で、国の登録有形文化財となった理由の一つです。
- 石土神社の高灯籠(式年祭記念燈)はいつ、どの制度で登録されたのですか。
- 平成14年(2002年)2月14日に登録有形文化財(建造物)として登録され、同年3月12日に告示されました。登録番号は38-0023です。これは平成8年(1996年)に始まった登録の制度によるもので、古くからある指定の制度とは別の枠組みです。
- 石土神社の高灯籠(式年祭記念燈)へは最寄り駅からどう行きますか。
- 最寄り駅はJR予讃線の伊予小松駅で、灯籠はその南西約2.5キロメートルにあります。徒歩ならおよそ35分から40分、道のりの大半は平坦で最後に短い上りがあります。車では松山自動車道いよ小松インターチェンジから約10分です。駅にタクシーが常駐しているとは限らないため、事前の手配をおすすめします。
- 石土神社の高灯籠(式年祭記念燈)は今も夜に点灯していますか。
- 火袋があることから、灯を入れる前提で造られたことは確かで、文化庁のデータベースも周辺集落の目印として親しまれてきたと記しています。ただし現在も点灯されているかどうか、点灯の時間帯については一次資料で確認できませんでした。夜の見学を予定される場合は、あらかじめ石土神社にお問い合わせください。
基本データ
| 名称 | 石土神社の高灯籠(式年祭記念燈) |
|---|---|
| 所在地 | 愛媛県西条市小松町妙口甲727-2 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) 登録番号38-0023 |
| 指定年 | 平成14年(2002年)2月14日登録、同年3月12日告示 |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 高さ9.5メートル、下部直径約1.5メートル、鉄筋コンクリート造 |
| 所有者 | 石土神社 |
| 公開状況 | 屋外の工作物で、社地から外観をいつでも見学可。入場料・開門時間の設定なし。夜間の点灯の有無は一次資料では未確認。 |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「石土神社の高灯籠(式年祭記念燈)」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00002696
- 文化遺産オンライン「石土神社の高灯籠(式年祭記念燈)」
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/178916
- 西条市「史跡・旧跡・文化財」
- https://www.city.saijo.ehime.jp/life/3/29/128/
最終更新日: 2026.09.04