森家住宅御成門及び塀とは
森家住宅御成門及び塀は、愛媛県西条市氷見にある文久4年(1864年)頃建築の門と塀で、令和5年(2023年)8月7日に登録有形文化財(建造物)として登録された。屋号を「住吉屋」と呼ばれた大地主・森家の屋敷において、藩主だけが通る門として石鎚山へ向かう街道から引き込んで建てられている。
建築年代について、文化庁の登録データは年代欄を文久4年(1864年)頃としながら、時代欄には明治と記す。愛媛県教育委員会の答申資料は文久4年(1864年)頃としており、本記事は年代欄と県資料に従った。
藩主のために建てられた門
森家は伊予西条藩から庄屋格の身分と名字帯刀を許され、最盛期には2,000石を有した。西条藩主のほか、小松藩主や松山城主を迎えた記録が残る。森家住宅御成門及び塀は、その来訪に応じるために設けられた設備である。
門は屋敷の北西に位置し、街道から敷地側へ引き込んで建てられている。通りにそのまま面していないのは、常用の出入口ではなく特別な来客のための門だからである。形式は切妻造桟瓦葺の腕木門で、間口は1.7メートル。柱から腕木を突き出し、その上に屋根を載せる形式をいう。
細部は簡素にすませていない。垂木は間隔を空けた疎垂木として小舞を打ち、束には大瓶束を用いて笈形を添える。梁には繰形を付け、門扉には八双金物を打つ。文化庁の解説は、この本格的な形式が湯殿まわりの格式に対応すると述べている。門と、渡廊下の先にある湯殿とが、同じ一連の設えとして計画されたということである。
塀は街道沿いを主屋まで延び、総延長は25メートル。登録データは木造・瓦葺とし、解説では腰に板を張った土塀と説明する。登録の基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」で、門単体ではなく街道に沿う長い塀を含めた一連の外構が評価された。
見どころ
森家住宅御成門及び塀は、屋敷のなかで予約なしに外から見られる数少ない部分である。街道を歩き、まず塀の長さを確かめてほしい。25メートルにわたって続く塀は、屋敷の規模を通りの側から示している。
門に近づいたら屋根の裏を見上げるとよい。疎垂木の間隔と小舞の打ち方は、外からでも観察できる。間口1.7メートルという寸法は、人が通るには十分だが荷を運ぶには狭い。用途が限られていたことが寸法に表れている。
門扉の八双金物は、板を留める実用の金具でありながら装飾を兼ねる。表面の輪郭が単純な長方形でないことに気づくはずである。
塀の腰板と瓦の取り合いも見どころで、雨がかりの部分を板で守る合理的な納まりになっている。屋敷の内部は見学会の日にしか入れないが、森家住宅御成門及び塀の外観だけなら、街道側からいつでも眺めることができる。
見学方法
森家住宅御成門及び塀は、一般財団法人氷見古民家研究会が「住吉屋」として維持管理している。門と塀は街道に面しているため外観は随時見られるが、門をくぐって敷地内に入れるのは公開日に限られる。開館日は毎月第2土曜日、8月と10月のみ第1土曜日で、時間は午前10時から正午まで。それ以外の日、屋敷の内部は非公開である。
見学料と撮影の可否は公式サイトに記載がなく、本記事の作成時点では確認できなかった。敷地は住宅地のなかにあるため、公開日以外に外観を見る際は近隣の生活に配慮してほしい。団体見学や日程外の希望は氷見古民家研究会への事前連絡が必要である。
所在地は西条市氷見丙658(上町)。JR予讃線の伊予氷見駅から徒歩約10分、せとうちバス「氷見」停留所からも徒歩約10分。車では松山自動車道いよ小松インターチェンジから国道11号を経由して約11分、いよ西条インターチェンジからは約24分で、駐車場が用意されている。
Q&A
- 森家住宅御成門及び塀はいつ建てられましたか?
- 文久4年(1864年)頃の建築とされます。令和5年(2023年)8月7日に登録有形文化財(建造物)として登録されました。
- 森家住宅御成門及び塀の「御成門」とは何ですか?
- 藩主を迎えるための専用の門です。森家の屋敷では北西に位置し、石鎚山へ向かう街道から敷地側へ引き込んで建てられています。
- 森家住宅御成門及び塀はどのような形式ですか?
- 門は切妻造桟瓦葺の腕木門で間口1.7メートル。疎垂木小舞打、大瓶束と笈形、繰形付きの梁、八双金物を打った門扉を備えます。塀は総延長25メートルです。
- 森家住宅御成門及び塀は予約なしで見られますか?
- 門と塀は街道に面しているため、外観は随時見ることができます。敷地内に入れるのは毎月第2土曜日(8月と10月は第1土曜日)午前10時から正午までの見学会の日です。
- 森家住宅御成門及び塀の建築年代に異なる記載があるのはなぜですか?
- 文化庁の登録データは年代欄を文久4年(1864年)頃としつつ、時代欄には明治と記しています。愛媛県の答申資料は文久4年頃としており、本記事はこちらに従いました。
基本情報
| 名称 | 森家住宅御成門及び塀(もりけじゅうたくおなりもんおよびへい) |
|---|---|
| 所在地 | 愛媛県西条市氷見字上町丙658-2 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物)/登録番号 38-0177 |
| 指定年 | 令和5年(2023年)8月7日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 門 木造、瓦葺、間口1.7メートル/塀 木造、瓦葺、総延長25メートル |
| 所有者 | 一般財団法人氷見古民家研究会 |
| 公開状況 | 外観は随時見学可。敷地内は毎月第2土曜日の午前10時から正午まで公開 |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「森家住宅御成門及び塀」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014692
- 愛媛県教育委員会文化財保護課「森家住宅主屋」「旧村上家住宅主屋」など9件が登録有形文化財(建造物)に登録されます(文化審議会答申)
- https://www.pref.ehime.jp/page/3948.html
- 西条市教育委員会社会教育課「森家住宅主屋他4件が国有形文化財(建造物)に登録されました」
- https://www.city.saijo.ehime.jp/soshiki/syakaikyoiku/morikebunkazaitouroku.html
- 一般財団法人氷見古民家研究会「住吉屋とは」
- https://iyo-himikominka.or.jp/sumiyoshiya/
- 一般財団法人氷見古民家研究会「アクセス」
- https://iyo-himikominka.or.jp/accsess/
最終更新日: 2026.09.05