森家住宅庭座敷及び塀とは
森家住宅庭座敷及び塀は、愛媛県西条市氷見にある江戸時代末期の座敷棟と木造塀で、令和5年(2023年)8月7日に登録有形文化財(建造物)として登録された。屋号を「住吉屋」と呼ばれた大地主・森家の屋敷にあり、主屋の南西側に接続する。
建築年代は文化庁の登録データで江戸末期、西暦では1830年から1868年の間とされる。昭和後期に改修を受けているが、入母屋造桟瓦葺の平屋という基本の構えは当初の姿を保つ。建築面積は55平方メートル、塀は木造瓦葺で延長11メートルである。
普段使いの客間という位置づけ
森家の屋敷には客を迎える場所がいくつもある。主屋の表棟には床を一段高くした上段の間があり、東の離れには茶室が備わる。そのなかで森家住宅庭座敷及び塀の座敷棟は、いちばん構えの軽い接客の間にあたる。
間取りは床構え付きの八畳と、出格子窓を開いた十二畳の続き座敷。庭に面した側には濡縁を通す。文化庁の解説は、この床構えが簡素であることを根拠に、普段使いの客間だったと判断している。上段の間が藩主のための部屋だとすれば、こちらは日常の来客が通された場所ということになる。
登録の基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。座敷棟だけでなく、これに連なる塀が街道沿いの景観を構成している点も含めての評価である。塀は主屋側から続いて敷地の外周をつくり、通りを歩く人の目に入る屋敷の輪郭を決めている。
見どころ
八畳と十二畳の間に立ってみると、格式の付け方の差がわかる。八畳の床構えは装飾を抑えた造りで、上段の間のような重さがない。客の性格に応じて部屋の格を変える、という考え方が建物のなかで直接比較できる。
十二畳側の出格子窓は、外からの視線をさえぎりながら光と風を通す。座ったままでも庭がよく見える高さに開口が取られている。
庭側の濡縁は、屋根の下ではなく外気に触れる縁側である。雨に濡れることを前提にした板張りで、座敷と庭のあいだの緩衝帯として働く。ここに腰を下ろすと、庭に据えられた手水鉢や水琴窟が視界に入る。
屋外からは塀を見てほしい。森家住宅庭座敷及び塀のうち、来訪者が予約なしに見られるのはこの部分だけである。延長11メートルの塀は瓦を載せた木造で、街道に沿って主屋方向へ続く土塀と一連の景観をつくる。
見学方法
森家住宅庭座敷及び塀は、一般財団法人氷見古民家研究会が「住吉屋」として維持管理している。座敷棟の内部を見られるのは定期の見学会の日に限られ、開館は毎月第2土曜日、8月と10月のみ第1土曜日、時間は午前10時から正午までである。それ以外の日は非公開で、団体や日程外の見学は同会への事前連絡が必要となる。
見学料と撮影の可否は公式サイトに記載がなく、本記事の作成時点では確認できなかった。現地で係の方に尋ねてほしい。落語会や演奏会などの催しが敷地内で開かれる日は、通常の見学会と扱いが異なることがある。
所在地は西条市氷見丙658(上町)。JR予讃線の伊予氷見駅から徒歩約10分、せとうちバス「氷見」停留所からも徒歩約10分。車では松山自動車道いよ小松インターチェンジから国道11号を経て約11分、いよ西条インターチェンジからは約24分で、駐車場がある。
Q&A
- 森家住宅庭座敷及び塀はいつ建てられましたか?
- 文化庁の登録データでは江戸時代末期、西暦1830年から1868年の間の建築とされます。昭和後期に改修を受けています。
- 森家住宅庭座敷及び塀はどんな部屋で構成されていますか?
- 床構え付きの八畳と、出格子窓を開いた十二畳の続き座敷です。庭に面した側には濡縁が通ります。建築面積は55平方メートルです。
- 森家住宅庭座敷及び塀は主屋の上段の間とどう違うのですか?
- 上段の間が藩主を迎えるための部屋であるのに対し、庭座敷は床構えが簡素で、普段使いの客間だったと文化庁の解説は判断しています。
- 森家住宅庭座敷及び塀は見学できますか?
- 毎月第2土曜日(8月と10月は第1土曜日)の午前10時から正午までの見学会で内部を見られます。塀は街道側から外観を見ることができます。
- 森家住宅庭座敷及び塀の塀はどのくらいの長さですか?
- 木造瓦葺で延長11メートルです。街道沿いに続く屋敷の外周をつくり、氷見の歴史的景観の一部となっています。
基本情報
| 名称 | 森家住宅庭座敷及び塀(もりけじゅうたくにわざしきおよびへい) |
|---|---|
| 所在地 | 愛媛県西条市氷見字上町丙658-2 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物)/登録番号 38-0174 |
| 指定年 | 令和5年(2023年)8月7日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 庭座敷 木造平屋建、瓦葺、建築面積55平方メートル/塀 木造、瓦葺、延長11メートル |
| 所有者 | 一般財団法人氷見古民家研究会 |
| 公開状況 | 毎月第2土曜日の午前10時から正午まで公開 |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「森家住宅庭座敷及び塀」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014689
- 愛媛県教育委員会文化財保護課「森家住宅主屋」「旧村上家住宅主屋」など9件が登録有形文化財(建造物)に登録されます(文化審議会答申)
- https://www.pref.ehime.jp/page/3948.html
- 西条市教育委員会社会教育課「森家住宅主屋他4件が国有形文化財(建造物)に登録されました」
- https://www.city.saijo.ehime.jp/soshiki/syakaikyoiku/morikebunkazaitouroku.html
- 一般財団法人氷見古民家研究会「住吉屋とは」
- https://iyo-himikominka.or.jp/sumiyoshiya/
- 一般財団法人氷見古民家研究会「アクセス」
- https://iyo-himikominka.or.jp/accsess/
最終更新日: 2026.09.05