旧九州帝国大学正門及び塀とは

旧九州帝国大学正門及び塀は、福岡県福岡市東区箱崎の九州大学箱崎サテライトにある大正3年(1914年)建設の煉瓦造の門柱とその両脇に続く塀で、令和6年(2024年)8月15日に登録有形文化財に登録された。

文化庁のデータベースによると、門柱は煉瓦造で間口4.5m、左右に脇門が付く。塀はコンクリートブロック造と煉瓦造で、総延長は41mある。施工は鴻池組で、設計は当時の建築課長倉田謙による可能性が高いとされている。九州大学の説明では「九州大学正門」とも呼ばれ、看板を「九州帝国大学」から「九州大学」へ掛け替えながら、100年あまり大学の正門として使われ続けてきた。

旧九州帝国大学正門及び塀が登録された理由

旧九州帝国大学正門及び塀の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。同じ箱崎サテライトの4棟が「造形の規範となっているもの」として登録されたのに対し、正門及び塀だけは、街並みの中で長く目印になってきたことが評価の軸になっている。

九州大学によると、正門は門衛所とともに箱崎サテライトでもっとも古い大正3年(1914年)の建造物で、入学や卒業の記念写真を撮る学生や同窓生が今も多い。大学は登録にあたり、かつての大学の「顔」としてだけでなく、再開発で生まれる箱崎の新しい街の玄関になることへの期待を示している。

旧九州帝国大学正門及び塀の門柱を細かく見る

旧九州帝国大学正門及び塀の主柱は、白い御影石の礎石の上に赤煉瓦の角柱を立てたものである。柱の途中には白い御影石の帯が2本回り、柱身を三つに区切っている。頂部は花崗岩の笠木で、その下の四面に一対ずつ帯状の飾りが付き、上には軒のように張り出したえぐり形が重なる。さらに四角い台座を載せ、青銅の金具で球形の灯火を支える構成で、文化庁の解説は頂部の意匠を古典主義的と評している。

主柱の左右には控柱が立ち、通用口を兼ねた脇門になっている。脇門の柱は主柱を簡略にした形で、帯状の飾りも灯火の台座も持たない。主と従の差をはっきりつけた組み立てである。

向かって右の主柱には「九州大学」の文字を浮彫りにした縦長の銅板がはめ込まれている。左の主柱の中ほどより上にはアンカーボルトの跡が残っていて、大学の調査は、かつて左にも何かのプレートが掛かっていたと推定している。塀のほうはコンクリートブロックの壁体に石の笠木を置き、煉瓦造の柵柱を一定の間隔で立てた造りである。

旧九州帝国大学正門及び塀の移築と耐震補強

旧九州帝国大学正門及び塀は、最初からいまの場所にあったわけではない。キャンパスの用地が南へ広がったことに伴い、大正13年(1924年)に門衛所とともに現在地へ移された。門の位置と向きは移築で変わったが、その後は同じ場所で正門の役を果たしてきた。九州大学は、移築された建造物ではあるものの、九州帝国大学の創設以来の正門と推定している。

近年では門柱の耐震補強工事が行われた。福岡市の文化財ページによると、令和4年度(2022年度)の工事の際に、柱頭の照明器具と塀の鉄柵が新しいものに取り替えられ、この2つは登録の範囲に含まれていない。文化庁のデータベースは、この改修を令和5年(2023年)の改修として記録している。

旧九州帝国大学正門及び塀の見学方法

旧九州帝国大学正門及び塀は通りに面して建ち、外観は道路側から見ることができる。門は箱崎サテライトへの歩行者の出入口にもなっていて、JR箱崎駅の西口から歩くと、九大正門入口の交差点を経てこの門に着く。

見るときは、灯火と鉄柵が取り替えられた部分だと知っておくとよい。登録された当初の材料を味わうなら、御影石の礎石と帯、煉瓦の目地、笠木の彫り込みに目を向けたい。主柱と脇門の柱を並べて見比べると、飾りの差し引きがよく分かる。箱崎サテライト全体への行き方と構内の通行の決まりは、旧九州帝国大学のページにまとめてある。

Q&A

Q旧九州帝国大学正門及び塀はいつ建てられ、いつ登録有形文化財になりましたか?
A大正3年(1914年)に建てられ、大正13年(1924年)に現在地へ移築されました。登録有形文化財への登録は令和6年(2024年)8月15日です。
Q旧九州帝国大学正門及び塀の大きさはどのくらいですか?
A門柱は間口4.5mで左右に脇門が付き、塀は総延長41mです(文化庁データベース)。
Q旧九州帝国大学正門及び塀の登録基準は、ほかの4棟とどう違いますか?
A工学部本館など4棟は「造形の規範となっているもの」ですが、正門及び塀は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録されています。
Q旧九州帝国大学正門及び塀の照明や鉄柵は建設当時のものですか?
Aいいえ。柱頭の照明器具と塀の鉄柵は令和4年度(2022年度)の耐震補強工事で取り替えられたもので、登録の範囲外です。
Q旧九州帝国大学正門及び塀は誰が設計しましたか?
A九州大学と福岡市は、当時の建築課長倉田謙の設計である可能性が高いとしています。施工は鴻池組です。

基本情報

名称旧九州帝国大学正門及び塀
所在地福岡県福岡市東区箱崎6丁目10-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年令和6年(2024年)8月15日登録
員数1基
寸法門柱 間口4.5m、塀 総延長41m
所有者国立大学法人九州大学
公開状況外観は通りから見学可

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「旧九州帝国大学正門及び塀」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00015103
文化遺産オンライン「旧九州帝国大学正門及び塀」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/565661
福岡市の文化財「旧九州帝国大学正門及び塀」
https://bunkazai.city.fukuoka.lg.jp/cultural_properties/detail/777
九州大学「箱崎に残る全ての近代建築物群が国の登録有形文化財に」
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/topics/view/2058/
九州大学「箱崎の近代建築物 正門」
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/university/campus/hakozaki-campus/hakozaki_buildings/buildings/seimon/
九州大学「旧九州帝国大学(現国立大学法人九州大学箱崎サテライト)近代建造物群について」(PDF)
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/50488/20221116hakozaki.pdf

最終更新日: 2026.09.30