荒川第三堰堤とは

荒川第三堰堤は、福島県福島市土湯温泉町字沢折場の荒川に昭和15年(1940年)に築かれた重力式コンクリート造の砂防堰堤で、平成20年(2008年)3月7日に国の登録有形文化財(建造物)に登録された。堤長47メートル、堤高15メートルで、福島市の文化財一覧は所有者を国土交通省としている。

荒川砂防堰堤群として登録された15基のうちの1基で、荒川本川では荒川第八堰堤の約1,200メートル上流にあり、本川の登録堰堤のなかで最も上流に位置する。登録番号は07-0092、登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。

戦前の荒川で最も背の高い堰堤

文化庁は荒川第三堰堤を、荒川で戦前に造られた堰堤のうち最大の堤高を持つものとしている。国の直轄砂防は昭和11年(1936年)に始まり、昭和12年(1937年)の荒川第一堰堤、昭和13年(1938年)の荒川第二堰堤に続いて、3基目にあたるこの堰堤が昭和15年(1940年)に完成した。下流の2基が堤高10メートル、13メートルであるのに対し、荒川第三堰堤は15メートルに達する。

上流の堰堤ほど背が高くなるのは、谷の形と結びついている。荒川は吾妻連峰から丘陵を深く削って流れ下る川で、上流へ行くほど両岸が迫る。土砂を受け止める容量を確保するには、横に広げられない分を高さで補う形になったと考えられる。

狭い谷に合わせた形

文化庁の解説は、荒川第三堰堤を、縦侵食によってできた狭い谷に築かれた堰堤で、地形の条件を躯体の形によく表していると評価する。縦侵食は川が川底を下へ下へと削っていく働きで、これが続くと両岸の切り立った深い谷ができる。

数字を並べると、その形がはっきりする。荒川第三堰堤は堤長47メートルに対して堤高15メートルで、長さは高さの約3倍にとどまる。下流の荒川第五堰堤は堤長150メートル、堤高12メートルで長さが高さの12倍を超え、同じ荒川の堰堤でも横長の壁と縦長の壁ほどの違いがある。表面は石積で仕上げられている。

荒川第三堰堤の所在地は、文化庁のデータベースでは「字沢折場」、福島市の文化財一覧では「字折場」と書かれており、表記がそろっていない。本稿は文化庁の表記に従った。

荒川第三堰堤の見どころと見学

荒川第三堰堤は現役の砂防施設で、見学料はなく、周辺から外観を眺める形になる。堤体に登ることや河床に降りることはできない。

見どころは、谷幅いっぱいに立ちはだかる縦長の堤体そのものである。両岸が迫る谷幅に合わせて造られたことが、短く背の高い形から読み取れる。下流の堰堤を順に見てきた後なら、谷が狭まるにつれて堰堤の姿が変わっていく流れの終点として見ることができる。

本川の最上流にあるため、土湯温泉から歩いて向かう場合は、山道を行く軽登山の装備が必要になる。福島県も、施設によっては往復2時間以上の歩行や軽登山としての見学になると案内している。雨の後は増水するので谷に入らないようにしたい。堰堤群への行き方は荒川砂防堰堤群のページにまとめてある。

Q&A

Q荒川第三堰堤はいつ造られましたか?
A昭和15年(1940年)です。荒川で国が築いた3基目の砂防堰堤で、平成20年(2008年)3月7日に登録有形文化財に登録されました。
Q荒川第三堰堤の高さはどのくらいですか?
A堤高15メートル、堤長47メートルです。荒川で戦前に造られた堰堤のなかで最も背が高いとされています。
Q荒川第三堰堤はなぜ縦長の形なのですか?
A川が川底を削り込んでできた狭い谷に築かれたためです。文化庁の解説は、地形の条件が躯体の形によく表れている堰堤と評価しています。
Q荒川第三堰堤は荒川のどこにありますか?
A福島市土湯温泉町の荒川上流で、荒川第八堰堤の約1,200メートル上流です。登録された本川の堰堤のなかで最も上流にあります。
Q荒川第三堰堤まで歩いて行けますか?
A土湯温泉から山道を歩くことになり、軽登山の装備が必要です。見学料はかかりませんが、堤体には登れません。雨の後は谷に入らないでください。

基本情報

名称荒川第三堰堤(あらかわだいさんえんてい)
所在地福島県福島市土湯温泉町字沢折場
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成20年(2008年)登録
員数1基
寸法堤長47メートル、堤高15メートル(重力式コンクリート造)
所有者国(国土交通省)
公開状況屋外の砂防施設。周辺から外観を見学できる(見学料なし)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)荒川第三堰堤
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006780
文化遺産オンライン 荒川第三堰堤
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/172082
福島市の文化財 【国登録】荒川第三堰堤
https://www.city.fukushima.fukushima.jp/kanko-bunka-sports/rekishi-bunkazai/1/4/11514.html
国土交通省東北地方整備局福島河川国道事務所 荒川流域の砂防事業
https://www.thr.mlit.go.jp/fukushima/sabo/100/110.html
ふくしまインフラツーリズム(福島県)荒川砂防堰堤群(土木遺産)
https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/infra/arakawa.html

最終更新日: 2026.10.02