水切とは

水切は、外壁の途中に水平に突き出して廻らす帯状の部分である。壁の表面を伝い落ちる雨水を、その出っ張りで外へ切り離して落とし、下の壁を濡らさないようにする。土の壁を漆喰で仕上げる土蔵造の蔵に多く、記録では「水切と鉢巻を廻らす」という形で書かれることが多い。

位置は、壁の仕上げが切り替わる高さに来ることが多い。大阪府羽曳野市の松村家住宅土蔵二(江戸末期)は、腰を竪板張、上部を白漆喰塗とし、文化庁の解説は「境に水切」を廻すと記す。上の漆喰壁を流れてきた雨水を、腰板の手前で落とす配置である。大阪府島本町の水無瀬神宮神庫(大正期)は外壁を漆喰塗とし、「水切一段を廻らせる」と記録される。

材料はさまざまで、漆喰を段状に塗り出したもの、板や金属板で覆ったもの、瓦を並べたものがある。瓦を一段から数段並べたものは水切瓦と呼ばれ、高知県の蔵に多い。

見るときの手がかり

蔵の壁を下から見上げ、壁の途中に細い庇のような段が水平に一周していれば水切である。軒のすぐ下で壁の上端を太く塗り出した帯は鉢巻で、位置で区別できる。秋田市の新政酒造吟醸蔵(明治中期)や長野県千曲市の長野銘醸文庫蔵(明治前期)の記録は、両者を並べて「水切と鉢巻を廻らす」と書いている。

段数にも目を向けるとよい。2階建の高い壁では中段と腰の2か所に水切を設ける例があり、白い壁面に何本もの水平線が走って見える。

記事で書くときは、記録が「水切」とだけ書いていれば水切とし、瓦であることが記録や写真で確かめられる場合に限って水切瓦と書く。水切をすべて水切瓦と読み替えると、漆喰で塗り出した水切まで瓦にしてしまう。

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)松村家住宅土蔵二
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005645
国指定文化財等データベース(文化庁)水無瀬神宮神庫
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011158
国指定文化財等データベース(文化庁)新政酒造吟醸蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009879
国指定文化財等データベース(文化庁)長野銘醸文庫蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010299

最終更新: 2026.10.04