協会六号酵母の由緒をもつ仕込蔵
新政酒造吟醸蔵は、秋田県秋田市大町の新政酒造の敷地に建つ明治中期(1883〜1897年)の土蔵造平屋建の仕込蔵で、平成26年(2014年)4月25日に国の登録有形文化財に登録された。読みは「あらまさしゅぞうぎんじょうぐら」。
文化庁は新政酒造吟醸蔵を、現在使われている酵母のなかで最も古い品種である「協会六号酵母」発祥の由緒をもつ仕込蔵と解説している。新政酒造の5件のうち、酵母の話が解説文に書き込まれているのはこの蔵だけである。
昭和5年に分離された蔵付きの酵母
大阪大学の紹介によれば、昭和5年(1930年)、醸造試験所の小穴富司雄が新政酒造の蔵付き酵母を分離し、秋田の別の蔵での試験を経て、のちに「きょうかい6号」として全国に頒布された。当時の蔵元は5代目佐藤卯兵衛こと佐藤卯三郎(1895〜1947年)である。秋田県酒造協同組合は、これをいま販売されているきょうかい酵母のなかで最も歴史の古いものと紹介している。
酵母は、もろみの中で糖をアルコールに変える微生物である。蔵に棲みついた酵母が、仕込みを重ねるうちに酒質を左右するようになる。新政酒造吟醸蔵の登録にあたって文化庁が酵母の由緒を書き添えたのは、建物そのものより、そこで起きた発酵の記憶に価値の一端を見たからと読める。
南東の隅に建つ最も小さな蔵
新政酒造吟醸蔵は敷地の南東の隅、事務所の隣に棟を東西に通して建つ。規模は桁行13.5メートル、梁間7メートル、建築面積は94平方メートルで、新政酒造の5件のなかで最も小さい。
屋根は切妻造で、壁から屋根を浮かせて載せる置屋根式の桟瓦葺とする。外壁には水切と鉢巻を廻らし、東の面には漆喰で塗り込めた窓を2か所あける。
登録番号は05-0200で、同じ日に登録された新政酒造の5件のなかで最初の番号にあたる。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。
新政酒造吟醸蔵の見学
新政酒造吟醸蔵は稼働中の酒蔵の敷地内にあり、内部は公開されていない。敷地の南東の隅という位置から、外周の道に近い蔵と考えられるが、敷地の外からどこまで見えるかは確認できなかった。見られるなら、東の面に並ぶ漆喰の窓2か所と、壁の上に載る置屋根の軒の出が目印になる。
撮影は公道からにとどめ、事務所に出入りする人や車の妨げにならないようにしたい。
Q&A
- 新政酒造吟醸蔵と協会六号酵母はどう関係していますか?
- 文化庁は新政酒造吟醸蔵を、現存最古の品種である協会六号酵母発祥の由緒をもつ仕込蔵と解説しています。酵母は昭和5年(1930年)に新政酒造の蔵付き酵母から分離されました。
- 新政酒造吟醸蔵の読み方は?
- 「あらまさしゅぞうぎんじょうぐら」です。
- 新政酒造吟醸蔵はいつ建てられましたか?
- 明治中期(1883〜1897年)とされています。
- 新政酒造吟醸蔵の大きさと構造は?
- 桁行13.5メートル、梁間7メートル、建築面積94平方メートルの土蔵造平屋建で、切妻造・置屋根式の桟瓦葺です。東面に漆喰塗の窓が2か所あります。
- 新政酒造吟醸蔵の中は見学できますか?
- 内部は公開されていません。新政酒造は一般向けの蔵見学を案内していないため、外観を敷地の外から眺めることになります。
基本情報
| 名称 | 新政酒造吟醸蔵(あらまさしゅぞうぎんじょうぐら) |
|---|---|
| 所在地 | 秋田県秋田市大町6-71 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物)、登録番号05-0200 |
| 指定年 | 平成26年(2014年)4月25日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 土蔵造平屋建、切妻造、置屋根式桟瓦葺、桁行13.5メートル・梁間7メートル、建築面積94平方メートル |
| 所有者 | 文化庁データベースに記載なし |
| 公開状況 | 非公開(稼働中の酒蔵の敷地内) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁):新政酒造吟醸蔵
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009879
- 文化遺産オンライン:新政酒造吟醸蔵
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/271256
- 大阪大学:日本酒「緒方洪庵」ストーリー(きょうかい6号酵母)
- https://www.osaka-u.ac.jp/sp/sake-ogatakoan/story04.html
- 秋田県酒造協同組合:酵母の話②
- https://osake.or.jp/secret09/
最終更新日: 2026.09.29