琉球石灰岩とは
琉球石灰岩は、琉球列島に広く分布する石灰岩で、更新世のサンゴ礁がもとになっている。国の天然記念物「宮古島保良の石灰華段丘」の解説は、宮古島の地質を、砂や泥からなる島尻層群を基盤とし、その上を厚さ約10〜50メートルの琉球石灰岩(更新世の珊瑚礁)が不整合で覆う構造と説明している。
石灰岩は雨水に溶けやすく、すき間の多い岩盤は水を通す。宮古島では、琉球石灰岩にしみ込んだ雨水が下の島尻層群の上面を伝って流れ、崖の境目から湧き出す。この湧水に含まれる炭酸カルシウムが沈殿してできたのが保良の石灰華段丘である。侵食や陥没も独特の地形を生み、沖縄県八重瀬町の天然記念物ハナンダーは、琉球石灰岩の侵食や陥没によってできた長さ約30メートルの自然の橋である。
文化庁の記録では「珊瑚石灰岩」と書かれることもあり、同じ石を指している。
石垣・石造物での使われ方
沖縄の屋敷囲いや石造物の多くはこの石でつくられる。八重瀬町の屋宜家住宅(昭和27年)では、門と主屋の間に立てる目隠しの塀であるヒンプンと、屋敷を囲む石垣に、町内の港川で採れた琉球石灰岩を切石積にしている。ヒンプンは長さ3.6メートル、高さ1.6メートルで、3メートル近い長い石材も使われる。石垣の解説は、その石の風合いを「粟石」と表している。
岩盤そのものを加工した例もある。那覇市の名勝伊江殿内庭園は、琉球石灰岩の岩盤を掘りくぼめて水盤状の池や石造の橋をつくっており、日本本土の庭園とは異なる構成をとる。
沖縄の城跡(グスク)の石垣を見るときは、石材の違いに目を向けるとよい。久米島の史跡宇江城城跡では、珊瑚石灰岩の切石は一の郭の虎口まわりに限られ、ほかは周辺で採れる板状の輝石安山岩を積んでいる。石の種類が城跡ごと、場所ごとに異なることが、記録から読み取れる。
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)宮古島保良の石灰華段丘
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/401/00003959
- 国指定文化財等データベース(文化庁)ハナンダー(自然橋)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/411/00004137
- 国指定文化財等データベース(文化庁)屋宜家住宅ヒンプン
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007950
- 国指定文化財等データベース(文化庁)屋宜家住宅石垣
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007951
- 文化遺産オンライン(文化庁)伊江殿内庭園
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/211740
- 文化遺産オンライン(文化庁)宇江城城跡
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/140627
最終更新: 2026.10.04