住吉造とは
住吉造は、大阪市の住吉大社本殿に代表される神社本殿の形式である。切妻造・妻入の建物で、内部を前後の二室に分ける。文化庁の解説は住吉大社本殿について、柱をすべて丸柱として礎石の上に立て、正面と前後二室の中間に大きな板扉を開き、ほかを板壁とすると記し、この前後二室からなる独特の平面を住吉造と呼んでいる。
前の室が外陣、奥の室が内陣にあたる。正面の扉を入り、もう一枚の板扉を隔てて奥の室へ進む構成で、二室を縦に並べるため建物は奥へ長く延びる。
住吉大社の本殿4棟は文化7年(1810年)の造替で、4棟とも同じ形式・同じ規模につくられ、構造欄には「住吉造、檜皮葺」と記される。住吉造は住吉大社だけのものではなく、福岡市博多区の住吉神社本殿(江戸前期、重要文化財)も構造欄に住吉造と記録されている。
近い形式との区別と、記録での書き分け
大社造も切妻造・妻入の古い本殿形式だが、正方形に近い平面を二間四方に割り、中央に太い柱を立てる。住吉造は長方形の平面を前後二室に分ける点で異なる。神明造は同じ切妻造でも平入で、入口が棟と平行な面にあることから区別できる。
住吉大社の境内には、本宮にならってつくられた摂社・末社の社殿が多い。文化庁はこれらを「住吉造に準じた形式」「住吉造に倣った形式」と解説し、構造欄に住吉造とは書かない。摂社船玉神社本殿は、妻飾の豕扠首、本宮本殿と同形式の懸魚、内外陣に分かれる平面をもち、鰹木と千木を載せるが、それでも「準じた」と評される。末社后土社本殿も、妻の豕扠首や見世棚風の外陣などを「住吉造に準じた末社共通の形式」と解説されている。
記事では、構造欄に住吉造とある本殿と、「準じた」「倣った」と評される社殿をはっきり書き分ける。後者を住吉造と言い切ると、記録の評価を一段引き上げることになる。
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)住吉大社本殿 第一殿(国宝)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/2090
- 国指定文化財等データベース(文化庁)住吉神社本殿(福岡県福岡市)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/3464
- 国指定文化財等データベース(文化庁)住吉大社摂社船玉神社本殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012394
- 国指定文化財等データベース(文化庁)住吉大社末社后土社本殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012402
最終更新: 2026.10.04