井戸を覆う小さな切妻屋根

村上家住宅井戸屋形は、広島県福山市今津町にある江戸末期(1830〜1867年)の井戸の覆屋で、平成22年(2010年)9月10日に国の登録有形文化財となった。登録番号は34-0100で、井戸そのものも含めて登録されている。

屋敷の北側、米蔵の東に位置する。桁行2.7メートル、梁間1.4メートル、建築面積3.8平方メートルと、屋敷の8件のなかでいちばん小さい。屋根は切妻造桟瓦葺である。なお福山市の文化財ナビは建築面積を31平方メートルと記すが、この寸法とは合わないため、ここでは文化庁の3.8平方メートルに従う。

登録の理由:近世の暮らしの一端

村上家住宅井戸屋形の骨組みは簡素で、理にかなっている。切石の上に角柱を立て、柱どうしを貫で固め、頂部に梁と桁を架け渡して屋根を受ける。軒は一軒の疎垂木で、垂木の間隔を広くとった軽い納まりである。

中央に井戸を据え、井戸枠は凸形に加工した花崗岩を組み合わせてつくる。周囲には石を敷いた洗い場を設けている。水を汲み、その場で洗い物をするための設備が、ひと続きに残っている。

文化庁の解説は、村上家住宅井戸屋形を近世の生活空間の一端を示すものと評価している。主屋や蔵のような目立つ建物ではないが、屋敷の暮らしを支えた水まわりがそのまま残る例は多くない。

見どころ:花崗岩の井戸枠と石敷の洗い場

村上家住宅井戸屋形でまず目を留めたいのは井戸枠である。凸形の花崗岩を組み合わせた枠は、木の井桁とは違って傷みにくく、この屋敷が水まわりにも石を惜しまなかったことが分かる。

柱の足元が切石の上に据えられている点も見落とせない。濡れやすい井戸端で柱の根元が腐らないよう、地面から木を離している。小さな建物ながら、置かれた場所の条件に合わせたつくりになっている。

見学について

村上家住宅井戸屋形は個人の住宅の敷地内、米蔵の東にあり、公開されていない。2026年9月時点で見学受付の案内は確認できなかった。敷地の奥にある小さな建物で、敷地の外から見ることは難しい。屋敷の配置と道順は村上家住宅のページにまとめてある。

Q&A

Q村上家住宅井戸屋形は見学できますか?
A個人の住宅の敷地内にあり、公開されていません。2026年9月時点で見学受付の案内は確認できませんでした。
Q村上家住宅井戸屋形はいつ建てられましたか?
A文化庁の登録では江戸末期(1830〜1867年)の建築です。
Q村上家住宅井戸屋形の大きさはどれくらいですか?
A桁行2.7メートル、梁間1.4メートル、建築面積3.8平方メートルです。福山市の資料には31平方メートルとありますが、寸法と合わないため文化庁の値に従っています。
Q村上家住宅井戸屋形の井戸はどんなつくりですか?
A凸形の花崗岩を組み合わせた井戸枠を中央に据え、周囲に石敷の洗い場を設けています。
Q村上家住宅井戸屋形はなぜ登録有形文化財になったのですか?
A近世の生活空間の一端を示す水まわりの施設として、屋敷の他の7件とともに平成22年(2010年)9月10日に登録されました。

基本情報

名称村上家住宅井戸屋形
所在地広島県福山市今津町字長波1929
指定区分登録有形文化財(建造物)、登録番号34-0100
指定年平成22年(2010年)9月10日登録
員数1棟
寸法木造、瓦葺、建築面積3.8平方メートル(桁行2.7メートル、梁間1.4メートル)、井戸付
所有者記載なし(文化庁データベース)
公開状況個人の住宅。非公開、一般公開の案内なし

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):村上家住宅井戸屋形
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00008372
ふくやま文化財ナビ(福山市):村上家住宅主屋 ほか7件
https://fukubun.net/ja/collection/692

最終更新日: 2026.09.24