照林坊山門とは
照林坊山門は、広島県三次市三次町の照林坊で本堂の前方に建つ寛文5年(1665年)の四脚門で、平成23年(2011年)7月25日に登録有形文化財(建造物)となった。
照林坊の境内への入口にあたり、門をくぐると正面に東を向いた本堂が現れる。間口は3.3メートル。木造で、屋根は銅板葺とする。昭和中期に改修を受けている。
寛文5年は、照林坊で登録された8棟のなかでもっとも古い年代である。嘉永5年(1852年)の現在の本堂より187年早く、境内の建物が建て替わっていくあいだも、照林坊山門は同じ場所で参拝者を迎え続けてきた。
登録の理由と価値
照林坊山門は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」という基準で登録された。寺の正面に立つ門は、境内の外から見える寺の顔であり、三次町の町並みのなかで照林坊の存在を示す建物でもある。
文化庁の解説は、照林坊山門の繰形が複雑で、絵様も繊細で手が込んでいると評価している。繰形は部材の端を曲線で削り出した装飾、絵様は部材の表面に彫り込んだ渦や若葉の文様を指す。17世紀後半の門でありながら、細部の装飾にまで手を抜かない仕事が見られる点が、この門の値打ちである。
四脚門としての構えに、軒唐破風や詰組といった格の高い意匠を重ねている点も見逃せない。門の規模は大きくないが、意匠の密度は照林坊の8棟のなかでも高い。
構造と見どころ
四脚門の構え
四脚門は、門扉を吊る2本の本柱の前後に、それぞれ2本ずつ計4本の控柱を立てる形式である。照林坊山門もこの形をとり、本柱の間に両開きの板戸を立てる。
切妻造の屋根と軒唐破風
屋根は切妻造で銅板葺とし、正面と背面の軒先に軒唐破風を付ける。軒唐破風は軒の中央を弓なりに持ち上げた曲線の破風で、門の正面に柔らかな山形の輪郭をつくる。境内の外から見ても内から見ても、同じ顔を見せる門である。
支輪付の出組と詰組
軒を支える組物は、支輪を付けた出組である。出組は柱の上の組物を一段前へせり出させる形式で、支輪は組物と軒の間に張る湾曲した板を指す。正面と背面では、柱の上だけでなく柱の間にも組物を並べる詰組とし、軒下を組物がびっしりと埋める。軒は垂木を二段に重ねた二軒繁垂木である。
妻の虹梁大瓶束と格天井
側面の妻には、弓なりに反った虹梁の上に大瓶束を立てる。大瓶束は瓶のようにふくらんだ形の束で、妻飾りの定番の一つである。門の下に入って見上げると、天井は格天井で、格子に組んだ木の枠が整然と並ぶ。
見学について
照林坊山門は境内の入口に建つため、通りの側からも境内の側からも外観を見ることができる。正面の軒唐破風と詰組は門の前から、妻の虹梁大瓶束は門の側面へ回ると確かめやすい。門の下に立てば格天井も見上げられる。
門扉が開いている時間帯は公表されておらず、2026年10月時点で開門時間の案内は確認できなかった。夜間や法要の時間帯は門の前から静かに眺めるにとどめたい。
Q&A
- 照林坊山門はいつ建てられましたか?
- 寛文5年(1665年)の建立で、照林坊で登録された8棟のなかでもっとも古い建物です。昭和中期に改修を受けています。
- 照林坊山門はどのような形式の門ですか?
- 2本の本柱の前後に4本の控柱を立てる四脚門です。屋根は切妻造銅板葺で、正面と背面に軒唐破風を付け、間口は3.3メートルです。
- 照林坊山門の見どころはどこですか?
- 支輪付の出組と、正面・背面の柱の間にも組物を並べた詰組、妻の虹梁大瓶束、門の下の格天井です。文化庁は繰形の複雑さと絵様の繊細さを評価しています。
- 照林坊山門はなぜ登録有形文化財になったのですか?
- 「国土の歴史的景観に寄与しているもの」という基準で、平成23年(2011年)7月25日に登録されました。
- 照林坊山門は自由に見学できますか?
- 照林坊山門は境内の入口に建ち、外観は通りの側からも境内からも見られます。開門時間は公表されていないため、門をくぐって境内に入る場合は日中の訪問が無難です。
基本情報
| 名称 | 照林坊山門(しょうりんぼうさんもん) |
|---|---|
| 所在地 | 広島県三次市三次町1280 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成23年(2011年)7月25日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造、銅板葺、間口3.3メートル |
| 所有者 | 宗教法人照林坊 |
| 公開状況 | 外観は見学可(開門時間の公表なし) |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「照林坊山門」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008782
- 文化遺産オンライン「照林坊山門」
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/228423
最終更新日: 2026.10.07