太刀〈銘吉房〉とは

太刀〈銘吉房〉は、鎌倉時代(13世紀)に福岡一文字派の刀工吉房が作った太刀で、広島県福山市西町のふくやま美術館が所蔵し、昭和30年(1955年)2月2日に国宝に指定された。刃長は73.9センチメートル、茎長は20.8センチメートルである(ふくやま美術館)。

ふくやま美術館によれば、吉房は備前長船に隣接する福岡庄(現在の岡山県瀬戸内市長船町)に住んだ福岡一文字派の刀工である。鎌倉時代初期の福岡一文字派は直刃を主調とした地味な作風だったが、鎌倉時代中期から華やかな丁子乱れを焼くようになり、その代表的な刀工が吉房、則房、助真である。昭和6年(1931年)に旧法で指定され、文化財保護法のもとで国宝となった。

小松安弘コレクションは、福山市に本社を置く株式会社エフピコの創業者、故小松安弘氏が収集した国宝7口、重要文化財6口、特別重要刀剣1口の計14口の日本刀で、2018年(平成30年)11月に小松啓子氏から福山市に寄贈された(ふくやま美術館)。

国宝に指定された理由

美術館の解説によれば、本作は生ぶ茎で、当初の豪壮な姿をよく残している。袋丁子、重花丁子の刃文も破綻がなく、同じ吉房の銘をもつ作のなかでも際立った出来ばえを示す。

磨上げられていない茎は、作られた当時の長さと姿をそのまま伝えている。華やかな刃文と当初の姿がそろって残ることが、この太刀の価値を高めている。

見どころ

刃文の袋丁子と重花丁子に注目したい。袋のようにふくらんだ丁子と、花を重ねたような丁子が破綻なく連なる。

伝来も明らかである。ふくやま美術館によれば、徳川将軍家に伝わった一口で、延宝4年(1676年)、甲府の徳川綱豊(のちの6代将軍家宣)の元服に際して4代将軍家綱が贈ったものであることが鞘書から分かる。黒塗打刀拵が付属している。

鑑賞について

ふくやま美術館では、小松安弘コレクションの刀剣を所蔵品展や特別展で入れ替えながら展示している。常設展示ではないので、展示の予定は美術館の「小松安弘コレクション展示情報」で確かめたい。

開館時間は午前9時30分から午後5時、休館日は月曜日(祝休日の場合は翌日)と年末年始。所蔵品展の観覧料は一般310円で、高校生以下は無料である。展覧会場内での撮影はできない。美術館はJR福山駅北口から西へ約400メートル、所在地は広島県福山市西町二丁目4番3号(電話084-932-2345)。

Q&A

Q太刀〈銘吉房〉はいつ作られましたか?
A鎌倉時代(13世紀)の作です。
Q太刀〈銘吉房〉はいつ国宝に指定されましたか?
A昭和30年(1955年)2月2日に国宝に指定されました。
Q「生ぶ茎」とは何ですか?
A磨上げられておらず、作られた当時のままの茎のことです。本作は当初の豪壮な姿をよく残しています。
Q太刀〈銘吉房〉の刃文の特徴は?
A袋丁子と重花丁子が破綻なく連なる華やかな丁子乱れです。
Q太刀〈銘吉房〉の伝来は?
A徳川将軍家に伝わり、延宝4年(1676年)に4代将軍家綱が徳川綱豊(のちの家宣)の元服に際して贈りました。

基本情報

名称太刀〈銘吉房〉(たち〈めい よしふさ〉)
所在地広島県福山市西町2-4-3(ふくやま美術館)
指定区分国宝(美術工芸品・工芸品)
指定年昭和30年(1955年)2月2日国宝指定(昭和6年(1931年)12月14日旧法指定)
員数1口
寸法刃長73.9センチメートル、茎長20.8センチメートル
所有者福山市
公開状況ふくやま美術館の所蔵品展・特別展で随時展示(常設ではない)

参考文献

小松安弘コレクションについて(ふくやま美術館)
https://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/site/fukuyama-museum/194068.html
小松安弘コレクション展示情報(ふくやま美術館)
https://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/site/fukuyama-museum/201121.html
施設利用案内(ふくやま美術館)
https://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/site/fukuyama-museum/2912.html

最終更新日: 2026.10.04