旧藤森家住宅産殿とは

旧藤森家住宅産殿は、兵庫県姫路市船橋町三丁目の藤森家旧邸に建つ、皇族の出産のために使われた木造平屋建の座敷棟で、昭和10年(1935年)頃に建てられ昭和15年(1940年)にこの地へ移築されたもので、令和4年(2022年)に国の登録有形文化財に登録された。読みは「さんでん」。

旧藤森家住宅産殿は本館の北に建つ。屋根は入母屋造の桟瓦葺で、建築面積は69平方メートル。住まいの本館より新しく見えるかもしれないが、実際には本館より数年古く、別の屋敷から運ばれてきた建物である。

旧藤森家住宅産殿の来歴

文化庁の解説によると、旧藤森家住宅産殿はもともと姫路市内の旧濱本家住宅の別邸にあり、賀陽宮恒憲王の妃の出産に当てられた。産殿とは、皇族が出産するときに用意される建物をいう。

管理にあたる旧藤森家住宅を守る会の解説は、もう少し詳しい。賀陽宮恒憲王は昭和10年(1935年)に姫路の陸軍騎兵連隊長として着任し、一家は男山にあった濱本家の別邸に住んだ。妃の敏子はそこで第五王子を産んだという。守る会はさらに、産殿は役目を終えると取り壊すのが慣わしだったと述べ、この建物が残ったのは異例の計らいによるものと見ている。

移築の年は資料によって1年ずれる。文化庁のデータベースは昭和15年(1940年)、守る会の解説は昭和14年(1939年)とし、どちらも藤森家が本館を建てた時期に合わせて移されたとしている。文化庁は旧藤森家住宅産殿を「貴重な産殿の遺構」と評し、「造形の規範となっているもの」として登録した。

旧藤森家住宅産殿の間取りと見どころ

間取りは西から順に、床の間と付書院を備えた八畳、続いて六畳が並ぶ。2室の南には縁があり、東の端には廊下と小さな洋室が付く。和室2間に洋室を添えた構成は、出産と療養のあいだ家族や医師が出入りすることを見込んだものとも読める。

旧藤森家住宅産殿でまず目をとめたいのは南の縁である。外まわりには大判のガラス戸を建て込み、縁の外側には高欄をめぐらせている。昭和初期に大きなガラスを使うのは贅沢で、座敷から庭を明るく見通せるよう配慮した造りといえる。

守る会によると、建物は本館より一段高い位置に据えられている。内部は一部に手が入っており、座敷の押し入れは今では仏間に改められている。

旧藤森家住宅産殿の見学

旧藤森家住宅産殿は、屋敷の一般公開日に見学できる。敷地の奥、本館の北側にあるため、公開日以外に街路から姿を見ることは難しい。

文化庁の写真は南側から撮られており、ガラス戸と高欄の並ぶ縁はこの向きで見るとよく分かる。座敷に上がれるかどうか、撮影ができるかは公式の案内に記載がないので、当日に守る会の係の人にたずねたい。公開日と行き方は旧藤森家住宅のページにまとめてある。

Q&A

Q旧藤森家住宅産殿とはどのような建物ですか?
A皇族の出産のために用意された建物です。もとは姫路市内の旧濱本家住宅の別邸にあり、賀陽宮恒憲王の妃の出産に使われました。
Q旧藤森家住宅産殿はいつ建てられ、いつ移築されましたか?
A昭和10年(1935年)頃の建築で、文化庁のデータベースでは昭和15年(1940年)に現在地へ移築されました。守る会の解説は移築を昭和14年(1939年)としています。
Q旧藤森家住宅産殿の間取りは?
A西から床の間と付書院付きの八畳、六畳が並び、南に縁、東に廊下と洋室が付きます。建築面積は69平方メートルです。
Q旧藤森家住宅産殿の見どころは?
A大判のガラス戸を建て、外側に高欄をめぐらせた南の縁です。入母屋造桟瓦葺の平屋で、本館より一段高い位置に建っています。
Q旧藤森家住宅産殿は見学できますか?
A毎月第2日曜日の午前10時から12時までの一般公開日に見学できます。座敷に上がれるかと撮影の可否は当日の案内に従ってください。

基本情報

名称旧藤森家住宅産殿
所在地兵庫県姫路市船橋町三丁目2
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年令和4年(2022年)登録
員数1棟
寸法建築面積69㎡
所有者姫路市
公開状況毎月第2日曜日 午前10時〜12時に一般公開(荒天時は休止あり)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)旧藤森家住宅産殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014276
文化遺産オンライン 旧藤森家住宅産殿
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/584896
旧藤森家住宅を守る会 旧藤森家住宅
https://sites.google.com/view/https-fujimori-publich-hp
姫路市 旧藤森家住宅の公開
https://www.city.himeji.lg.jp/kanko/0000030546.html

最終更新日: 2026.09.30