旧下館街道に面して建つ昭和3年の店

小林商店店舗は、茨城県桜川市真壁町飯塚にある昭和3年(1928年)建築の木造平屋建の店舗で、平成15年(2003年)7月1日に登録有形文化財となった。旧下館街道に面して建ち、登録番号は08-0100である。

街路側は寄棟造平入で、正面に下屋が付く。その背後に座敷部分が延び、こちらも寄棟造で下屋を伴う。屋根はすべて桟瓦葺。登録上の建築面積は93平方メートルである。

内部の構えは、この地方の商家が長く使ってきた形をそのまま受け継いでいる。帳簿を扱う帳場があり、そこにL字型の土間がつながる。荷も客も、板の間に上がらないまま家の働く側を通り抜けられる。

意匠が時代を語るのは建具である。店先はガラス戸で閉じられ、雨戸は両端の戸袋に収まる。昭和3年(1928年)の在郷町でガラスの店先はまだ新しいもので、文化庁のデータベースも、保守的なつくりの中でこの部分に昭和初期の意匠がうかがえると記している。

登録の理由

小林商店店舗に適用された登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。この文言は読み流せない。評価されたのは珍しい技法でも設計者の名でもなく、街路が街路として読める状態を保つうえでこの店舗が果たしている役割だった。

登録は登録有形文化財制度の第37回にあたり、官報告示は2003年7月17日である。同じ敷地の南に建つ米蔵も同日に第08-0101号として登録されており、2棟は個別の発見としてではなく、一組として登録簿に入った。

真壁にはこの種の建物が数多い。市の登録文化財マップは、1999年度(平成11年度)からの登録を102棟と数える。町並みを一体として保つために登録制度を使う、という市の方針の結果である。小林商店店舗はそのマップの41番にあたる。

見どころ

まず屋根を見たい。この種の店舗は切妻造をとり、軒の上に壁の三角形を見せることが多い。小林商店店舗は街路側も背後の座敷部分も寄棟造で、瓦の面が四方に落ちる。結果として建物は高く見えず、低く落ち着いて見える。商家町の並びの中では静かな輪郭である。

軒下では下屋の出に注目する。正面をひととおり覆う深さがあり、これがガラス戸を実用に耐えるものにしている。夏の日射しと吹き降りの雨、その両方を下屋が受け止める。

それから、敷地全体が視野に入るところまで下がってみる。北端に店舗、南端に米蔵。2棟が瓦屋根と板壁の切れ目のない線を道に向けている。両者が登録された理由はこの連続性にあり、正面に立つよりも、30歩ほど離れたほうがよく見える。

もう一点、ゆっくり見る価値があるのは奥行きである。真壁の敷地は間口が狭く奥が深い。小林商店店舗の座敷部分も道からかなり奥へ延びており、間口が控えめでありながら建築面積が93平方メートルに達するのはそのためである。

見学の方法とアクセス

小林商店店舗は個人の所有で、内部は公開されていない。桜川市は散策マップにはっきりと書いている。登録文化財はゆっくり歩きながら外観を楽しんでほしい、敷地・建物への立ち入りは遠慮してほしい、と。ここまでに書いたことはすべて公道から見える。

公道からの撮影を禁じる掲示は出ていない。ただし店先であると同時に住まいでもあるので、カメラは建築へ向けたい。

最寄り駅はJR水戸線の岩瀬駅で、市の観光案内はタクシーで約20分としている。桜川市バス「ヤマザクラGO」も岩瀬駅と真壁を結び、運賃は1乗車200円均一。南から向かう場合は、つくば駅からつくば市バスで筑波山口まで約50分、そこで桜川市バスに乗り継いで約20分となる。

車では真壁高上町駐車場(桜川市真壁町真壁279-1)が使える。普通車65台分で予約は不要。そこから北へ徒歩10分ほどである。市のマップはこのあたりを飯塚コースとして、本コースに約20分を足す区間に位置づけており、小林商店店舗はその最初の一軒にあたる。

人出が最も多いのは、毎年2月4日から3月3日までの真壁のひなまつりの期間である。登録建造物のすべてが参加するわけではなく、この建物が参加するという公表もない。町が混み合う時期として受け取り、内部を見られる機会と考えないほうがよい。

Q&A

Q小林商店店舗の内部は見学できますか。
Aできません。個人の所有で内部は非公開です。桜川市は登録文化財について、外観を街路から楽しみ、敷地・建物には立ち入らないよう案内しています。
Q小林商店店舗はいつ建てられ、いつ登録されましたか。
A建築は昭和3年(1928年)です。登録有形文化財としての登録は平成15年(2003年)7月1日付で、官報告示は2003年7月17日、登録番号は第08-0100号です。
Q小林商店店舗へは公共交通でどう行きますか。
AJR水戸線の岩瀬駅が最寄りで、タクシーで約20分です。桜川市バス「ヤマザクラGO」も岩瀬駅と真壁を結び、1乗車200円均一。つくば駅から筑波山口経由で向かうこともできます。
Q小林商店店舗の近くに駐車場はありますか。
A真壁高上町駐車場(桜川市真壁町真壁279-1)が普通車65台分あり、予約は不要です。そこから北へ徒歩10分ほどです。
Q小林商店店舗では何を見ればよいですか。
A寄棟造の屋根、店先を覆う深い下屋、そして昭和初期の年代を示すガラス戸と戸袋です。南隣の米蔵と合わせて、途切れない歴史的街路景観をつくっています。

基本情報

名称小林商店店舗(こばやししょうてんてんぽ)
所在地茨城県桜川市真壁町飯塚171-2
指定区分登録有形文化財(建造物)、登録番号 08-0100
指定年2003年7月1日登録、2003年7月17日告示、第37回登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積93平方メートル
所有者個人。茨城県教育委員会による。文化庁データベースの所有者欄は空欄。
公開状況公道からの外観見学のみ。内部は非公開で、敷地内に立ち入ることはできない。

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース:小林商店店舗
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003378
文化庁 国指定文化財等データベース:小林商店米蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003379
茨城県教育委員会 いばらきの文化財:小林商店店舗ほか1棟
https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/bunkazai-registered-6442/
桜川市:桜川市真壁伝統的建造物群保存地区
https://www.city.sakuragawa.lg.jp/education/bunkazai/city_bunkazai/kuni_bunkazai/page003423.html
桜川市:真壁の町並み(アクセス・駐車場)
https://www.city.sakuragawa.lg.jp/tourism_guide/learn/page000455.html
桜川市:真壁のひなまつり
https://www.city.sakuragawa.lg.jp/tourism_guide/play/page002066.html
桜川市:桜川市バス「ヤマザクラGO」の運行について
https://www.city.sakuragawa.lg.jp/kurashi/koutsu/page005762.html

最終更新日: 2026.09.07