中尊寺とは:奥州藤原氏が造営した平泉の一山寺院

中尊寺は、岩手県西磐井郡平泉町平泉にある天台宗の寺院で、嘉祥3年(850年)に慈覚大師円仁が開いたと伝わり、12世紀のはじめに奥州藤原氏初代の清衡が堂塔を大きく整え、天治元年(1124年)上棟の金色堂がいまも境内に残る。

清衡が中尊寺を建てた目的について、寺は、11世紀後半に東北で続いた前九年・後三年の合戦で亡くなったものの霊を敵味方の別なく慰め、仏の教えによる平和な国をみちのくに築くことだったと説明している。鎌倉幕府の記録『吾妻鏡』によれば、最盛期の中尊寺には寺塔が40余り、僧の住まいである禅坊が300余りあったという。

文治5年(1189年)に奥州藤原氏が滅ぶと大きな後ろ盾を失い、建武4年(1337年)の火災では多くの堂塔と宝物が焼けた。それでも金色堂をはじめとする建物や美術工芸品が守り伝えられ、平成23年(2011年)には中尊寺を含む「平泉の文化遺産」が世界文化遺産に登録された。

「中尊寺」は山全体の総称でもある。本寺の中尊寺と、山内にある17の支院で構成される一山寺院で、寺格は別格大寺、天台宗の東北大本山とされる。このため境内の文化財も、所有者は金色院、大長寿院、願成就院、釈尊院、白山神社と建物ごとに分かれている。

中尊寺の境内に残る文化財建造物

中尊寺の境内には、国宝の金色堂と、重要文化財の建造物5件が残る。いずれも平泉町が中尊寺の文化財建造物として挙げているものである。

境内そのものも、昭和54年(1979年)に「中尊寺境内」として特別史跡に指定されている。関山の丘陵一帯の地下には、発掘調査で確かめられた大池や三重池、二階大堂などの跡が眠っており、中尊寺の瓦を焼いたと考えられる鈴沢瓦窯跡も指定範囲に含まれる。

  • 金色堂:天治元年(1124年)に清衡が上棟した、内外に金箔を押した阿弥陀堂。中尊寺創建当初の姿をとどめる唯一の建物で、須弥壇の中には奥州藤原氏四代の遺体と首級が納められている。
  • 金色堂覆堂(旧覆堂):金色堂を風雪から守るために建てられた覆堂。正応元年(1288年)に鎌倉幕府が建てたと伝わり、現在の建物は室町時代のものと考えられている。昭和の解体修理の際に現在地へ移された。
  • 中尊寺経蔵:藤原氏三代が奉納した写経を納めた経蔵。金色堂とほぼ同時期に建てられ、のちに一重の建物に建て直された。
  • 白山神社能舞台:中尊寺の北方の鎮守である白山神社の能舞台で、嘉永6年(1853年)に伊達藩が再建した。
  • 願成就院宝塔:峯薬師堂の向かって右傍らに立つ12世紀の石造宝塔。
  • 釈尊院五輪塔:仁安4年(1169年)の年号を刻む石造の五輪塔で、平泉町によれば年号のある五輪塔として最古のもの。

このほか、境内の宝物館である讃衡蔵には奥州藤原氏の残した文化財が3,000点あまり収められており、経蔵や金色堂にかつて安置されていた仏像・経典・調度の多くもここで見られる。

中尊寺の境内の歩き方

中尊寺は標高130メートルほどの、東西に長い丘陵の上にある。参拝の入口は麓の坂下で、ここから表参道の月見坂を上っていく。坂の両側には江戸時代に伊達藩が植えた杉が並び、樹齢は300年に届こうとしている。途中、右手が開けた場所からは、奥州藤原氏に縁の深い束稲山や北上川、衣川を見渡せる。

坂を上り切ると、一山の中心となる本堂がある。現在の本堂は明治42年(1909年)の再建で、本尊は丈六の釈迦如来。そこからさらに奥へ進むと讃衡蔵があり、その先が金色堂の一角になる。経蔵は金色堂のすぐ近くに建ち、旧覆堂もこの近くに移されている。秋には、大日堂から金色堂へ向かう参道沿いと経蔵の周りのイロハモミジやヤマモミジが色づく。

白山神社と能舞台は、中尊寺の北方を守る鎮守としてさらに奥にまつられている。金色堂の周りを見終えたら、足を延ばしてみたい。

中尊寺の拝観時間・拝観料・アクセス

中尊寺の境内は通年開放されている。金色堂、讃衡蔵、経蔵、旧覆堂の4か所は拝観券が必要で、1枚の拝観券で4か所すべてを拝観できる。拝観時間は、3月1日から11月3日までが午前8時30分から午後5時、11月4日から2月末日までが午前8時30分から午後4時30分。拝観券の発行は終了の10分前に締め切られる。

通常の拝観券は大人1,000円、高校生700円、中学生500円、小学生300円。30人以上の団体は1割引、障がい者手帳を提示すると半額になる。寺は境内全体を回るのに1〜2時間ほどを見込むよう案内している。

電車の場合、東京から東北新幹線で一ノ関駅まで約2時間20分、一ノ関駅でJR東北本線に乗り換えて平泉駅まで10分足らず。平泉駅から中尊寺までは約1.6kmで、路線バスや町内巡回バス「るんるん」の「中尊寺」停留所で降りると月見坂の入口に近い。

車の場合は東北自動車道の平泉前沢ICが最寄りで、平泉町営の第一駐車場(本堂まで約850m)と第二駐車場(本堂まで約700m)はいずれも普通車400円。本堂まで約240mの坂の上駐車場(普通車500円)もあり、坂を歩くのがつらい人にはこちらが近い。中尊寺にコインロッカーはないので、大きな荷物は平泉駅のロッカーに預けておくとよい。

参考文献

国指定文化財等データベース「中尊寺経蔵」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/111
国指定文化財等データベース「中尊寺境内」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/401/165
文化遺産オンライン 世界遺産「中尊寺」(文化庁)
https://online.bunka.go.jp/special_content/component/105
平泉の文化遺産 構成資産 中尊寺(平泉町世界遺産推進室)
https://www.town.hiraizumi.iwate.jp/heritage/asset/chusonji.html
平泉の文化財 建造物(平泉町世界遺産推進室)
https://www.town.hiraizumi.iwate.jp/heritage/property/kenzou.html
中尊寺について(関山 中尊寺)
https://www.chusonji.or.jp/know/index.html
中尊寺の歴史(関山 中尊寺)
https://www.chusonji.or.jp/know/history.html
境内のご案内(関山 中尊寺)
https://www.chusonji.or.jp/around/index.html
みどころ(関山 中尊寺)
https://www.chusonji.or.jp/around/highlight.html
参拝のご案内(関山 中尊寺)
https://www.chusonji.or.jp/worship/index.html
アクセス情報(関山 中尊寺)
https://www.chusonji.or.jp/worship/access.html
Chūson-ji Temple 英語版案内(関山 中尊寺)
https://www.chusonji.or.jp/language_en/index.html
アクセス(平泉観光協会 平泉ナビ)
https://hiraizumi.or.jp/info/access.html

最終更新日: 2026.10.05

基本情報

名称中尊寺
所在地岩手県西磐井郡平泉町平泉
所有者中尊寺山内各院・白山神社
指定国宝 1件・重要文化財 5件・史跡名勝天然記念物 1件
座標39.00175, 141.09990