旧小原家住宅とは

旧小原家住宅は、岩手県花巻市東和町谷内にある18世紀中頃の茅葺の農家で、昭和44年(1969年)12月18日に重要文化財に指定された。文化庁の指定名称は「旧小原家住宅(岩手県和賀郡東和町)」で、括弧内は指定当時の町名である。東和町は2006年に花巻市と合併し、いまの住所になった。読みは「きゅうおばらけじゅうたく」。

小原家の由緒や建てた年を記した資料は見つかっておらず、建築年代は間取りと構造の手法から推定されている。母屋は桁行16.3m、梁間9.6mの寄棟造で、南側に桁行5.8m、梁間5.7mの馬屋が突き出す。上から見るとL字になる、この地方で「曲屋(まがりや)」と呼ばれる形である。

建物はもともと別の場所にあった。所有者が新しい家を建てる際に町が譲り受け、市のパンフレットによれば昭和51年(1976年)に旧谷内小学校の跡地へ移して復元した。いまは花巻市が所有している。

旧小原家住宅が重要文化財とされた理由

曲屋は、人の住む母屋に対して直角に馬屋を張り出した住まいである。盛岡藩(南部藩)では江戸時代に馬の飼育が盛んに奨励され、馬を家の中で大切に養う暮らしからこの形が広まった。そのため「南部曲屋」の名で知られる。

旧小原家住宅の値打ちは、その曲屋が生まれる過程を建物そのものが示している点にある。花巻市の説明では、最初は馬屋の突き出さない「直屋(すごや)」として建てられ、19世紀中頃の嘉永年間(1848〜1854年)の改造で南側に馬屋が取り付けられて曲屋になったと考えられている。

文化庁の解説も同じ見方をとる。一般的な曲屋より一回り小さいが柱や梁は太く材も良いこと、構造に直屋そのままの部分が残ることを挙げ、曲屋がどう発生したかを知る有力な手がかりになる家だとしている。外回りに壁が多く、上屋の太い柱がきちんと並ぶ点も、この地方の民家の特徴をよく示すという。

旧小原家住宅の見どころ

小さな馬屋の張り出し

まず南側の正面に回り、母屋と馬屋の大きさを比べてみたい。母屋の幅16.3mに対し、突き出した馬屋は5.8mほどしかない。後の時代の曲屋では馬屋の部分がもっと大きく張り出すことが多く、旧小原家住宅の控えめな突き出しは、曲屋としては古い段階の姿とされる。屋根は母屋から馬屋へそのまま茅でつながり、L字の角で葺き回されている。

土間と馬屋、炉のある部屋

中に入ると、広い土間(ニワ)の先に馬屋(マヤ)が続き、人と馬が一つ屋根の下で暮らした間取りがよく分かる。床上はダイドコロ、ジョウイ、ナカナンド、ウラザシキ、ナカマ、オモテザシキに分かれる。ジョウイの囲炉裏には自在鉤と、串を挿して魚などを乾かすベンケイが下がっている。

炉やカマドから上る煙は、部屋を暖めるだけでなく、梁や茅を燻して虫や腐れから守る役目も果たしてきた。黒く光る柱と梁を見上げると、太い材が使われていることが実感できる。

直屋に戻された伊藤家住宅との対比

旧小原家住宅から南南東へ直線で約8km、田瀬湖の南の山あいには伊藤家住宅がある。こちらは修理の際に後から足した馬屋を外し、建てた当初の直屋の形に戻された例で、旧小原家住宅とは逆の方向から曲屋の成り立ちを見せている。

旧小原家住宅の見学方法

旧小原家住宅は4月15日から11月15日まで公開されており、開館時間は午前9時から午後4時、毎週月曜日は休館、入館は無料である(花巻観光協会の案内による)。冬の間(11月16日から翌年4月14日まで)は閉館する。問い合わせ先は花巻市文化財課(電話0198-45-1311)。

内部での撮影の可否を示した案内は見当たらなかった。室内を撮りたい場合は、現地の係員に確かめてからにしたい。

鉄道ならJR釜石線の晴山駅が最も近く、旧小原家住宅は駅から南東へ直線で約2.4kmの位置にある。路線バスの案内はないため、晴山駅や土沢駅からタクシーを使うか、車で訪れるのが現実的である。

Q&A

Q旧小原家住宅はいつ建てられたのですか?
A建てた年を記した資料はなく、間取りと構造の手法から18世紀中頃と推定されています。南側の馬屋は、19世紀中頃の嘉永年間(1848〜1854年)の改造で付け加えられたと考えられています。
Q旧小原家住宅が重要文化財に指定された理由は何ですか?
A直屋から曲屋へ改造された跡を残し、南部曲屋がどのように生まれたかを知る手がかりになる民家だからです。昭和44年(1969年)に重要文化財に指定されました。
Q旧小原家住宅の公開期間と開館時間、入館料は?
A4月15日から11月15日まで、午前9時から午後4時に公開されています。月曜日は休館で、入館は無料です。冬季は閉館します。
Q旧小原家住宅へは電車で行けますか?
A最寄りはJR釜石線の晴山駅で、直線距離は約2.4kmです。路線バスの案内はないため、駅からはタクシーか、最初から車で訪れるのが便利です。
Q旧小原家住宅で見られる「曲屋」と「直屋」はどう違うのですか?
A直屋は母屋が一直線の長方形の家、曲屋は母屋に馬屋を直角に張り出したL字の家です。旧小原家住宅は直屋として建てられ、のちに馬屋を足して曲屋になりました。

基本情報

名称旧小原家住宅(岩手県和賀郡東和町)
所在地岩手県花巻市東和町谷内6区37番
指定区分重要文化財
指定年昭和44年(1969年)
員数1棟
寸法桁行16.3m、梁間9.6m(南面突出部 桁行5.8m、梁間5.7m)
所有者花巻市
公開状況4月15日〜11月15日に公開(午前9時〜午後4時、月曜休館、入館無料)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)旧小原家住宅(岩手県和賀郡東和町)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/106
文化遺産オンライン 旧小原家住宅(岩手県和賀郡東和町)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/184256
花巻市 国指定文化財
https://www.city.hanamaki.iwate.jp/bunkasports/bunka/1019886/bunkazai/1002090.html
花巻市 文化財関連出版物の紹介(花巻の萱葺き民家)
https://www.city.hanamaki.iwate.jp/bunkasports/bunka/1019886/bunkazai/1002084.html
花巻市 パンフレット「旧小原家住宅」(PDF)
https://www.city.hanamaki.iwate.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/002/084/kayabuki2.pdf
花巻観光協会 旧小原家住宅
https://www.kanko-hanamaki.ne.jp/spot/article.php?p=168

最終更新日: 2026.10.05