金刀比羅宮を向いて建つ駅舎

琴平駅に降り立つと、南西の金刀比羅宮の方角へ正面を向けた木造の建物がまず目に入る。この本屋が建てられたのは大正11年(1922年)、阿波池田方面への延伸に合わせて駅が現在の榎井の地へ移った年である。琴平の駅としては三代目にあたり、以後この姿が受け継がれてきた。

平面は明快で余裕がある。桁行27.2メートル、梁間11.8メートルの木造平屋建の待合室に、寄棟造の瓦屋根を架ける。正面中央には切妻の車寄を張り出して到着客を迎え、待合室の北側には切妻造の別棟を設けて事務室とする。建築面積は584平方メートルに及ぶ。

登録の理由と価値

本屋は平成24年(2012年)、駅構内の他の四棟とともに登録有形文化財となった。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。希少な材料によるのではなく、大正初期における名社への鉄道の玄関口という景観を、ほぼそのまま保っている点に価値がある。

細部に見どころが集まる。軒下には金刀比羅宮の印である丸金印が小さな飾りとして配され、鉄道と参詣先の霊山とを結びつけている。長い待合室には大ぶりの半円窓が並び、正面にゆったりとした表情を与える。平成28年(2016年)にJR四国が改修を終えた際は、外観を1922年当時の姿へ戻すことが目指された。

訪れて見たいところ

駅舎に入る前に、まず駅前広場から全体を眺めたい。本屋は横長の構成の落ち着いた中央にあたり、背後には長大なプラットホーム上屋が延び、その先に鉄骨の跨線橋が立ち上がる。切妻の車寄が控えめに入口を示し、半円窓が壁面に一定の律動をつくる。

軒をくぐるときには頭上の丸金印を、そして同じ意匠がホームの鉄骨にも繰り返されているのを探してみたい。特急を含む土讃線の全列車が停車する現役の駅であり、展示物ではなく日々使われている建物である。改札を出れば、本宮まで785段の石段が始まる参道までは平坦な道が続く。

Q&A

Q駅舎はいつ建てられましたか。
A現在の本屋は大正11年(1922年)の建築です。阿波池田方面への延伸に合わせ、駅が現在地の榎井へ移った際に建てられた三代目の駅舎です。
Q今も駅として使われていますか。
Aはい。特急を含む土讃線の全列車が停車する現役の駅です。平成28年(2016年)に外観が1922年当時の姿へ復原されました。
Q丸金印とは何ですか。
A金刀比羅宮の印で、輪の中に「金」の字を配した意匠です。軒下やホームの鉄骨に飾りとして用いられ、鉄道と参詣先の宮とを結びつけています。
Q建物の規模を教えてください。
A木造平屋建で、桁行27.2メートル、梁間11.8メートル。寄棟造の瓦屋根に切妻の車寄が付きます。建築面積は約584平方メートルです。
Q駅から金刀比羅宮までは近いですか。
A参道までは平坦な道で近く、そこから本宮までは785段の石段が続きます。

基本情報

名称JR琴平駅本屋
所在地香川県仲多度郡琴平町榎井字横瀬860他
指定区分登録有形文化財(平成24年8月13日登録、登録番号37-0378)
年代大正11年(1922年)
構造木造平屋建、瓦葺、建築面積584㎡
所有者四国旅客鉄道株式会社
アクセス土讃線 琴平駅(全列車停車)

参考文献

国指定文化財等データベース — JR琴平駅本屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00009382
四国旅客鉄道(JR四国)
https://www.jr-shikoku.co.jp/
琴平町公式ウェブサイト
https://www.town.kotohira.kagawa.jp/
Wikipedia — 琴平駅
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%90%B4%E5%B9%B3%E9%A7%85

最終更新日: 2026.07.05