ホームの端から端まで延びる上屋

旅客上屋一号は、線路を挟んで本屋と向き合う島式ホームを覆う。その長さは際立っている。木造の構造が端から端まで127.4メートルにわたって延び、梁間はわずか5.5メートル。屋根が細い帯となってホームを南北に走る。station全体と同じく、大正11年(1922年)の建築である。

上屋は木造で、切妻造のスレート葺。小屋組は、垂木を左右の梁で挟み込む挟み梁の変形トラスとする。開放されたホームに長く軽い屋根を架けるための、理にかなった構法である。建築面積は1,087平方メートルに達し、駅の屋根付き構造物のなかで最も大きい。

参詣客の群れに応えた規模

琴平は並の田舎駅ではなかった。金刀比羅宮への鉄道の終着であり、祭礼の日にはホームが参詣客であふれた。これほど長い上屋は、その往来への答えでもある。到着した旅人が宮へ向かう前に集う、屋根のあるホームの長さを確保したのである。

この地に駅が開いたとき、一号は香川県内で最大の旅客上屋であった。その規模こそが登録の眼目である。平成24年(2012年)、歴史的景観に寄与する建物として登録され、大正初期の参詣客でにぎわう駅がどう整えられていたかを記録している。

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この構造物の面白さは、全長にわたって繰り返される反復にある。ホームを歩けば、柱が一定の歩幅で遠ざかり、頭上のトラスが規則正しく続いて、やがて先端が一点に縮んでいく。

小屋組の下で立ち止まり、垂木がどう支えられているかを見上げたい。各垂木を挟む二本の梁は下から見え、隠さない大工仕事がそのまま残る。ここに立つと駅全体の構成もつかめる。上屋は本屋と向き合い、ホームが交わる南端では鉄骨の跨線橋が締めくくる。

Q&A

Q上屋の長さはどれくらいですか。
A木造の構造が桁行127.4メートル、梁間5.5メートルにわたって延びます。建築面積は約1,087平方メートルで、琴平駅の屋根付き構造物のなかで最大です。
Q小屋組の特徴は何ですか。
A挟み梁の変形トラスです。各垂木を二本の梁で挟み込む形式で、下から見上げると確認できます。長く開放的なホームに軽い屋根を架ける実用的な構法です。
Qなぜこれほど長い上屋が必要だったのですか。
A琴平は金刀比羅宮への鉄道の終着で、祭礼の日には参詣客が押し寄せました。この地の開業当初、県内最大の旅客上屋でした。
Q建築と登録の時期を教えてください。
A大正11年(1922年)の建築で、平成24年(2012年)8月13日に登録有形文化財となりました(登録番号37-0380)。
Q上屋の下は歩けますか。
A現役のホームを覆っています。小屋組の下からはトラスがよく見え、南端ではホームを結ぶ鉄骨の跨線橋を望めます。

基本情報

名称JR琴平駅旅客上屋一号
所在地香川県仲多度郡琴平町榎井字横瀬857-1他
指定区分登録有形文化財(平成24年8月13日登録、登録番号37-0380)
年代大正11年(1922年)
構造木造平屋建、スレート葺、桁行127.4m・梁間5.5m、建築面積1087㎡
所有者四国旅客鉄道株式会社
アクセス土讃線 琴平駅 島式ホーム上

参考文献

国指定文化財等データベース — JR琴平駅旅客上屋一号
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00009384
四国旅客鉄道(JR四国)
https://www.jr-shikoku.co.jp/
Wikipedia — 琴平駅
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%90%B4%E5%B9%B3%E9%A7%85

最終更新日: 2026.07.05