工場内で最も古い建物

JR多度津工場で現存する最も古い建物は、明治21年(1888年)にさかのぼる。四国に初めて鉄道が通った時代である。職場一五号は工場敷地の北端に建つ木造平屋建で、スレート葺の屋根をいただき、桁行は42.7メートル、梁間は12.2メートルを測る。

建物は明治21年に建てられ、大正末から昭和前期のいずれかの時点で現在地へ移された。移築の年は、その範囲でのみ記録される。明治22年(1889年)の讃岐鉄道丸亀・琴平間開業に始まる工場の歩みを、そのまま今に受け継ぐ存在である。

登録の理由と価値

内部では屋根が見どころとなる。小屋組はキングポストトラスで、筋違・火打梁・控柱を組み合わせて補強し、内部に柱を一本も立てずに全幅を架け渡す。車両を動かし、工具を振るうのに障りのない広い床は、まさしく修繕工場が求めたものだった。

四国の鉄道の始まりに根をもつ工場の中で最古の現存建築として、平成24年(2012年)、国土の歴史的景観に寄与するものとして国の登録有形文化財に登録された。

見どころと訪ね方

外から見れば、長く続くスレートの屋根と素朴な板壁は、装飾を持たない実直な工業建築として映る。価値は古さと連続性にある。1880年代の木造工場が、動き続ける工場の中に今も置かれている。

工場は稼働中の鉄道用地で、通常は自由に立ち入れない。一般公開は毎年10月の鉄道の日前後に開かれる「きしゃぽっぽまつり」で、当日は多度津駅から構内へシャトル列車が運転される。団体見学は事前申込で受け付ける場合もある。日程は年により変わるため、訪問前にJR四国の案内で確認したい。

Q&A

Qこの建物はなぜ重要なのですか。
A多度津工場に現存する最古の建物で、四国の鉄道の始まりに近い明治21年(1888年)の部材をもつためです。
Q構造の見どころは何ですか。
Aキングポストトラスにより内部に柱を立てず、鉄道の修繕に適した広い床を実現している点です。
Q最初からこの場所にあったのですか。
Aいいえ。明治21年に建てられ、大正末から昭和前期の間に現在地へ移されました。
Q見学できますか。
A稼働中のJR四国の工場内にあり通常は自由見学できませんが、毎年10月頃に構内が一般公開されます。

基本情報

名称JR多度津工場職場一五号
所在地香川県仲多度郡多度津町大通り甲1058-2
指定区分登録有形文化財(建造物)/登録 平成24年(2012年)8月13日
登録番号37-0386
員数1棟
建築年明治21年(1888年)/昭和前期に移築
構造・形式木造平屋建、スレート葺、建築面積523平方メートル。キングポストトラス、桁行42.7メートル・梁間12.2メートル
所有者四国旅客鉄道株式会社
公開状況稼働中の工場のため通常非公開。毎年10月頃に一般公開あり

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009390
文化遺産オンライン JR多度津工場職場一五号
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/273103
多度津町 町内の文化財一覧
https://www.town.tadotsu.kagawa.jp/soshikikarasagasu/kyoikuiinkaijimukyokusyougaigakusyuka/shakaikyoiku/2/565.html

最終更新日: 2026.07.03