転用材を骨格とする橋
善通寺駅の跨線橋は、一・二番ホームの北端に接続し、旧讃岐鉄道の線路をまたいで乗客を渡す。鉄骨造で、橋長16メートル、幅員3.1メートル。大正11年頃(1922年頃)にさかのぼり、傍らのホーム上屋と同じ建設事業の一部である。
注目すべきは、その材料である。斜材で補強された橋脚と、五パネルの下路式プラットトラス桁は、鉄道レールで組まれている。しかもそのレールは、1889年に英国のBarrow Steelで圧延されたものである。輸入された鉄が、橋のなかで第二の役目を得たのである。桁の上には山形トラスが屋根を受け、階段部を含めた全体を縦板で覆う。
初期鉄道の材料の記録
1889年のレールの再用は、単なる倹約にとどまらない。橋を、香川における鉄道建設の最初期へ直に結びつける。讃岐鉄道が丸亀・琴平間を開業し、平野を越えて参詣客を運び始めたのが1889年であった。Barrow Steelに刻まれた年号は、線そのものが始まった年である。
この材料の来歴もあって、跨線橋は平成14年(2002年)、二つのホーム上屋とともに、歴史的景観の基準で登録された。初期の鉄骨跨線橋という形式だけでなく、開業時の輸入鉄材の物理的な痕跡をも保っている。
見どころ
鉄の部材をよく見れば、それが何であったかが読み取れる。走行レールの断面をもつレール材が、トラスの部材として用いられている。リベット留めと、桁の五パネルの構成は、下のホームからゆっくり見上げる価値がある。
縦板が階段と通路をどう包み、遠目には跨線橋とホーム上屋が一つの外皮を共有して見えるかにも注目したい。小さな駅ではあるが、転用された1889年のレールと、両脇の木造上屋との間に、この線がどう建設され始めたかの、際立って明瞭な記録をとどめている。
Q&A
- 跨線橋は何で造られていますか。
- 斜材で補強した橋脚と五パネルの下路式プラットトラス桁を、1889年に英国Barrow Steelで圧延されたレールで組んでいます。桁上には山形トラスが屋根を受けます。
- 1889年のレールはなぜ重要なのですか。
- 1889年は讃岐鉄道が丸亀・琴平間を開業した年です。転用されたレールが橋を線の開業に直結させ、初期の輸入鉄材の痕跡をとどめます。
- 橋の規模を教えてください。
- 鉄骨造で橋長16メートル、幅員3.1メートル。一・二番ホームの北端を結び、全体を縦板で覆っています。
- 建築と登録の時期を教えてください。
- 大正11年頃(1922年頃)の建築で、平成14年(2002年)7月16日に登録有形文化財となりました(登録番号37-0093)。
- レールの断面は見られますか。
- 下のホームから、リベット留めのトラスと、部材に用いられたレールの断面、五パネルの桁の構成を観察できます。
基本情報
| 名称 | JR善通寺駅跨線橋 |
|---|---|
| 所在地 | 香川県善通寺市文京町1-7-1 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(平成14年7月16日登録、登録番号37-0093) |
| 年代 | 大正11年頃(1922年頃) |
| 構造 | 鉄骨造、橋長16m、幅員3.1m、五パネル下路式プラットトラス(1889年Barrow Steel製レール転用)、縦板張り |
| 所有者 | 四国旅客鉄道株式会社 |
| アクセス | 土讃線 善通寺駅 一・二番ホーム北端 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース — JR善通寺駅跨線橋
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00002825
- 四国旅客鉄道(JR四国)
- https://www.jr-shikoku.co.jp/
- 善通寺市公式ウェブサイト
- https://www.city.zentsuji.kagawa.jp/
最終更新日: 2026.07.05