駅舎と結ばれた上屋

善通寺は旧讃岐鉄道の線路上にある。この地域を初めて旅人が横切った経路である。駅が仕えるまちもまた一個の霊場で、弘法大師の生誕地であり、四国八十八ヶ所75番札所・善通寺の門前でもある。一番ホームの上屋は線路西側の駅舎に接して建ち、大正11年頃(1922年頃)にさかのぼる。

木造で、およそ293平方メートルを覆う。際立つのは骨組みである。柱は角柱だが、上下で断面に変化を付ける。その頭部近くでは方杖が四方に広がって屋根と結ばれる。この方杖が、小屋組の上弦材と、それを端部で挟み込む下弦材を支える。

構造に織り込まれた工夫

巧みな一手は梁間にある。上屋は梁間を15.5フィートに広げ、西側の柱列を駅舎の側に収めてしまう。こうして上屋と駅舎は、並んだ二棟ではなく一体のものとして構えられる。この取り合いが、ホーム西側全体をひと続きの建築へと引き締める。

その一体性ゆえに上屋は登録された。平成14年(2002年)、歴史的景観に寄与する基準で、善通寺駅の三つの工作物とともに登録されている。大正初期のホーム大工仕事が、現役の田舎駅の一部として今も読み取れる点に価値がある。

見どころ

各柱が屋根と交わるあたりを見上げたい。四方に広がる方杖が、ここでの見どころとなる細部である。木だけで幅広く軽い屋根を安定させる、経済的な手立てである。柱をホームに沿ってたどり、その断面が根元から頭部へどう移り変わるかを見てほしい。

次に西を見て、上屋の柱が駅舎へ消え込む箇所を探したい。継ぎ目は控えめで、それを見つけると設計全体の意図がつかめる。ここでは、ホームの屋根と駅舎が一つのものとして構想されている。土讃線の列車が今も停まるため、骨組みは本来のとおり、日々の使用のなかで見られる。

Q&A

Qこの上屋の特徴は何ですか。
A木の骨組みです。断面に変化を付けた角柱と、四方に広がる方杖が屋根を支えます。梁間を15.5フィートに広げ、西側の柱を駅舎に収めています。
Qなぜ駅舎と一体に感じられるのですか。
A梁間を広げ、西側の柱列を駅舎側に収めることで、上屋と駅舎が並んだ二棟ではなく一つの構造として構えられています。
Q建築と登録の時期を教えてください。
A大正11年頃(1922年頃)の建築で、平成14年(2002年)7月16日に登録有形文化財となりました(登録番号37-0091)。
Q規模はどれくらいですか。
A木造の上屋がホーム上に約293平方メートルを覆い、方杖付きの角柱で組まれています。
Q善通寺はどんな土地ですか。
A弘法大師の生誕地で、四国八十八ヶ所75番札所・善通寺の門前町です。駅は参詣客とまちの人々の双方に用いられてきました。

基本情報

名称JR善通寺駅一番ホーム上屋
所在地香川県善通寺市文京町1-7-1
指定区分登録有形文化財(平成14年7月16日登録、登録番号37-0091)
年代大正11年頃(1922年頃)
構造木造、建築面積293㎡、角柱・方杖、梁間15.5フィート
所有者四国旅客鉄道株式会社
アクセス土讃線 善通寺駅 一番ホーム

参考文献

国指定文化財等データベース — JR善通寺駅一番ホーム上屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00002823
四国旅客鉄道(JR四国)
https://www.jr-shikoku.co.jp/
善通寺市公式ウェブサイト
https://www.city.zentsuji.kagawa.jp/

最終更新日: 2026.07.05