重田家住宅土塀及び石垣擁壁 景観をつくる屋敷の縁
香川県まんのう町の重田家は、家を載せる前にまず均さねばならない斜面の上にある。ここに登録された土塀と石垣擁壁は、その均しを担った工作物である。屋敷地の西辺には、石を斜めに積む谷積で高さ約1.5メートルの石垣が築かれ、その上に高さ2メートルほどの屋根付土塀が続く。地が落ち込む東辺には、斜面を受ける高さ約2メートルの石垣がさらに築かれている。
土塀は延長およそ40メートル、石造擁壁は約50メートルと記録される。明治10年(1877年)の築で、区分は建築物ではなく「その他工作物」だが、どの屋根にも劣らず屋敷を形づくっている。
登録の理由と価値
土塀及び石垣擁壁は平成15年(2003年)9月19日に登録有形文化財となり、10月17日に告示された。登録番号は37-0190。登録は歴史的景観におけるこの工作物の役割に基づくもので、ここではその役割がとりわけ明瞭である。
石垣の足元には水路が流れ、屋敷地を巡っている。その背後に長屋門と道具蔵が立ち上がることで、塀と水をめぐらせた縁は、古い防御的な家屋に結びつく環濠屋敷のような姿をこの屋敷に与える。重田家は武士ではなく農家であったが、その屋敷はこの輪郭を借り受けた。街道から見えるこの整った縁こそ、登録が守ろうとした歴史的性格を担っている。
見どころ
まず石積みそのものから。谷積では石を斜めに据えるため、目地は水平の段ではなく斜めの線を描く。斜面に適した技法で、西辺の石垣では、一つ一つの石が隣と噛み合って背後の地を受けとめる様子をたどれる。
次に水を追う。石垣の足元の水路は装飾ではない。屋敷地を排水し、その輪郭を定めたものであり、ただの境界を、この場所に性格を与える濠のような枠へと変えている。西辺の石垣の上の屋根付土塀は、放っておけば土を洗い流す雨に対して瓦で覆われ、石・水・塀からなる重なりの縁を完成させる。住宅は私有であるため、この縁は公道からたどることになる。もともとその効果が感じられるよう設計された場所も、そこである。
Q&A
- 谷積とはどのような石積みですか。
- 石を斜めに据え、目地が斜めの線を描く積み方です。傾斜地に適しており、ここでは屋敷地の西辺に用いられています。
- 塀や石垣の規模はどのくらいですか。
- 土塀は延長約40メートル、石造擁壁は約50メートルです。西辺の石垣は約1.5メートル、東辺は約2メートル、土塀は2メートルほどの高さです。
- なぜ環濠屋敷のように見えるのですか。
- 石垣の足元を水路が巡り、その背後に門と蔵が立つため、濠を備えた環濠屋敷のような縁になります。重田家は農家でした。
- 土塀にはなぜ屋根があるのですか。
- 瓦の屋根が雨から土塀を守るためです。屋根がなければ土は洗い流されてしまいます。屋外で土塀が保たれるのは屋根があるからです。
基本情報
| 名称 | 重田家住宅土塀及び石垣擁壁(しげたけじゅうたくどべいおよびいしがきようへき) |
|---|---|
| 所在地 | 香川県仲多度郡まんのう町山脇字上平534 |
| 区分 | 登録有形文化財(その他工作物) |
| 登録 | 平成15年(2003年)9月19日登録、10月17日告示、登録番号37-0190 |
| 建設年代 | 明治10年(1877年) |
| 構造 | 土塀、延長約40メートル。石造擁壁、延長約50メートル |
| 員数 | 1基 |
| 公開状況 | 個人所有。公道からの外観見学 |
References
- 文化庁 国指定文化財等データベース 重田家住宅土塀及び石垣擁壁
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003633
- まんのう町 文化財 重田家住宅主屋他5件
- https://www.town.manno.lg.jp/site/bunkazai/4511.html
- まんのう町 国の指定・登録文化財一覧
- https://www.town.manno.lg.jp/site/bunkazai/list83-295.html
最終更新日: 2026.07.11