重田家住宅取合廊下 農家には稀な工夫

これほどの廊下をもつ農家はそう多くない。香川県まんのう町の重田家では、南面の広庭を挟んで、主屋の座敷部と長屋門とを覆いのある廊下がつないでいる。取合廊下である。明治10年(1877年)、屋敷が現在の姿になったのと同じ時期に建てられた。門と主屋を結ぶ屋根付きの通路は、働く農家よりも、格式ある家に多く見られる仕掛けである。

廊下は幅半間と狭く、桁行長は約8間におよぶ。真壁造で骨組みを見せ、白漆喰の壁をもち、桟瓦葺の切妻屋根を架ける。建築面積はわずか約15平方メートルで、登録された重田家の建物のうち最も小さい。しかし屋敷への働きは、その大きさに見合わぬほど大きい。

登録の理由と価値

取合廊下は平成15年(2003年)9月19日に登録有形文化財となり、10月17日に告示された。登録番号は37-0189。この細い建物が屋敷の性格に対してどれほどの働きをしているかを、登録は認めている。

廊下は庭塀としても働く。主屋と門の間を走ることで、南面の広庭を二つに分ける。東方は作業場として保たれ、西方は庭園として設えられている。ひと筆で、庭を横切る覆いのある道と、労働と余暇とを分ける線とを、一家に与えているのである。これほど意図して屋敷地を計画する農家は珍しく、その珍しい計画性こそ、登録が守ろうとしたものだった。

見どころ

上部の壁を見てほしい。白漆喰の上に、細い縦の桟で仕切った連子窓が設けられている。廊下に沿って光と風を通しながら、壁を確かな境界として保つ。廊下は、区切られた間から目を通させつつ、庭の二つの半分を隔てているのである。

次にその二重の役割を読む。廊下の一方には、農の屋外の仕事が行われた作業場、すなわちカドがひろがり、もう一方には、一家の設えた庭がある。廊下は道であると同時に塀でもあり、農村の家にあっては稀な組み合わせだ。南の庭に立てば、幅半間の一本の廊下が屋敷の南面全体をどう整えたかが見えてくる。住宅は今も私有であるため、公道からの見学となる。

Q&A

Q取合廊下は何をつないでいますか。
A南面の広庭を挟んで、主屋の座敷部と長屋門とをつなぎ、その間に覆いのある通路を設けています。
Qなぜ農家には珍しいのですか。
A門と主屋を結び、庭塀を兼ねる屋根付きの廊下は、働く農家よりも格式ある家に多い工夫だからです。
Q庭をどう分けていますか。
A南面の広庭を、東方の作業場と西方の庭園とに分けます。労働と余暇が別の場を占めるようになります。
Q連子窓とは何ですか。
A細い縦の桟で仕切った窓で、上部の漆喰壁に設けられています。光と風を通しながら、廊下を確かな仕切りの線として保ちます。

基本情報

名称重田家住宅取合廊下(しげたけじゅうたくとりあいろうか)
所在地香川県仲多度郡まんのう町山脇字上平534
区分登録有形文化財(建造物)
登録平成15年(2003年)9月19日登録、10月17日告示、登録番号37-0189
建設年代明治10年(1877年)
構造木造平屋建、瓦葺、建築面積約15平方メートル。真壁造、幅半間、桁行長約8間、連子窓付
員数1棟
公開状況個人所有。公道からの外観見学

References

文化庁 国指定文化財等データベース 重田家住宅取合廊下
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003632
まんのう町 文化財 重田家住宅主屋他5件
https://www.town.manno.lg.jp/site/bunkazai/4511.html
まんのう町 国の指定・登録文化財一覧
https://www.town.manno.lg.jp/site/bunkazai/list83-295.html

最終更新日: 2026.07.11