教王護国寺五重塔とは
教王護国寺五重塔は、京都市南区九条町の東寺(教王護国寺)の境内東南に建つ江戸時代前期の木造五重塔で、寛永21年(1644年)に完成し、昭和27年(1952年)に国宝に指定された。
形式は三間五重塔婆、屋根は本瓦葺。文化庁の国指定文化財等データベースは総高を54.8メートルと記し、現存する木造塔として国内で最も高いとしている。東寺の公式サイトは約55メートル、東海道新幹線の南側の車窓から見える京都の目印と紹介している。
塔はもともと、仏陀の遺骨を納めるストゥーパに由来する建物である。東寺によれば、この塔にも空海(弘法大師)が唐から持ち帰った仏舎利が納められている。
空海の勧進から5代目の塔まで
東寺の公式サイトによると、空海は講堂に続いて塔の工事に取りかかったが、費用も人手も足りなかった。天長3年(826年)11月24日、空海は東山で見つけた塔の材木を運ぶための協力を朝廷に願い出ている。塔が完成したのは元慶7年(883年)で、空海の没後のことだった。文化庁の解説は、創立を天長年間(824〜834年)としている。
その後、塔は落雷などで4度焼失し、そのたびに再建された。現在の教王護国寺五重塔は5代目にあたる。文化庁の解説によると、寛永18年(1641年)に焼けたあと、同年12月から寛永21年(1644年)7月までかけて造営され、大工棟梁は中井大和守正純が務めた。再建は徳川家光の援助によるもので、文化庁は幕府による再建と記している。
なお、同じデータベースの年代欄は「寛永20」(1643年)となっており、解説にある完成の年とは1年ずれる。本記事は、解説の完成年と東寺の説明が一致する寛永21年(1644年)を採った。
国宝に指定された理由
教王護国寺五重塔は、明治30年(1897年)12月28日に古社寺保存法のもとで指定を受け、文化庁はこの日を重要文化財の指定年月日として記録している。昭和27年(1952年)11月22日に国宝となった。
文化庁の解説は、江戸時代の塔でありながら、和様の伝統的な手法で一貫している点を評価する。壇正積の基壇の上に建ち、縁をめぐらさず、各重とも方3間。組物は三手先で、柱間には間斗束を入れ、木鼻のような装飾的な部材を加えていない。
部材の寸法も太い。江戸時代初期の京都には、太い木割で古い形式に倣った建築が見られ、文化庁はこの塔をその中の傑作としている。高さとともに、均整のとれた姿が古都京都の象徴として評価されている。
初層内部と、塔の足元の見どころ
教王護国寺五重塔の、ふだん閉じられている初層の内部は、極彩色で彩られた密教の空間である。心柱は初層まで通り、東寺はこれを大日如来に見立てている。その四方を金剛界の四仏が囲み、さらに八尊の菩薩が並ぶ。四方の柱には金剛界曼荼羅が、四面の側柱には八大龍王が、壁には真言八祖の像が描かれる。
文化庁の解説は、初層の彩色について、江戸時代のものには珍しく派手すぎない点を挙げている。
外では、まず初層の軒下に目を向けたい。東寺の公式サイトは、塔の北西の隅にいる邪鬼の像を写真で紹介しており、隅の部材の下に据えられた小さな像を探すのも楽しみになる。
次に、少し離れて塔全体を見上げる。文化庁が評価する均整のとれた姿は、5つの屋根の重なりを一度に見渡せる距離から眺めるとよく分かる。有料区域内の池のほとりからは、水面越しに塔を眺められる。
教王護国寺五重塔の見学方法
教王護国寺五重塔の外観は、金堂・講堂と同じ有料区域の中から間近に見られる。境内の外、九条通の側からも塔の上部を望める。
初層内部は特別公開の期間だけ入れる。2026年は1月1日から3月18日まで(新春特別拝観と「京の冬の旅」)、4月25日から5月25日まで、10月31日から12月13日までが公開期間である。時間は午前8時から午後5時まで(受付は午後4時30分まで)、拝観料は金堂・講堂とあわせて大人1,200円(東寺公式サイト、2026年9月15日確認)。
初層内部の撮影可否は、現地の案内に従ってほしい。公開期間は年によって変わるので、訪ねる前に東寺の「特別展のお知らせ」で確かめたい。
Q&A
- 教王護国寺五重塔の高さはどれくらいですか?
- 文化庁の記録では総高54.8メートルで、現存する木造塔として国内で最も高い塔です。東寺は約55メートルと案内しています。
- 教王護国寺五重塔の中に入れますか?
- 初層の内部は特別公開の期間だけ入れます。2026年は1月1日から3月18日、4月25日から5月25日、10月31日から12月13日で、拝観料は金堂・講堂とあわせて大人1,200円です。
- 教王護国寺五重塔はいつ建てられたのですか?
- 最初の塔は元慶7年(883年)に完成しました。現在の塔は5代目で、寛永18年(1641年)の焼失後に造営が始まり、寛永21年(1644年)に完成しました。
- 教王護国寺五重塔の初層内部には何がありますか?
- 大日如来に見立てた心柱のまわりに金剛界の四仏と八尊の菩薩が並び、柱や壁に曼荼羅、八大龍王、真言八祖が描かれています。
- 教王護国寺五重塔が国宝に指定されたのはいつですか?
- 昭和27年(1952年)です。それ以前の明治30年(1897年)に重要文化財の指定を受けています。
基本情報
| 名称 | 教王護国寺五重塔(きょうおうごこくじごじゅうのとう) |
|---|---|
| 所在地 | 京都府京都市南区九条町 |
| 指定区分 | 国宝 |
| 指定年 | 昭和27年(1952年)国宝指定、明治30年(1897年)重要文化財指定 |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 総高54.8メートル(三間五重塔婆、本瓦葺) |
| 所有者 | 教王護国寺 |
| 公開状況 | 外観見学可(有料区域内)、初層内部は特別公開時のみ |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「教王護国寺五重塔」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/1834
- 東寺公式サイト「五重塔」
- https://toji.or.jp/guide/gojunoto/
- 東寺公式サイト「2026秋期特別公開」
- https://toji.or.jp/exhibition/2026_autumn/
- 東寺公式サイト「拝観のご案内」
- https://toji.or.jp/admission/
- 東寺公式サイト「よくあるご質問」
- https://toji.or.jp/faq/
- 京都観光Navi(京都市観光協会)「教王護国寺(東寺)」
- https://ja.kyoto.travel/tourism/single01.php?category_id=7&tourism_id=262
最終更新日: 2026.09.15