苑の最奥に独立して建つ茶室棟

北村美術館四君子苑離れ茶席は、京都府京都市上京区梶井町の四君子苑のいちばん奥に独立して建つ茶室棟で、昭和19年(1944年)に完成し、平成13年(2001年)に国の登録有形文化財となった。木造平屋建で、屋根は瓦葺の一部を檜皮葺とし、建築面積は109平方メートル。四君子苑の登録建物のなかでは主屋に次ぐ規模をもつ。

棟の中には性格の違う二つの茶の空間がある。一つは2畳台目に中板を入れた小間で、「珍散蓮(ちんさんれん)」と名付けられている。もう一つは広間と次の間からなる座敷である。両者のあいだに水屋を置き、どちらの席にも点前の支度ができるようにした。北村美術館四君子苑離れ茶席は、少人数の侘びた茶と、人数の多い広間の茶を一棟でまかなう建物である。

登録の理由

北村美術館四君子苑離れ茶席の登録番号は26-0094、登録基準は「造形の規範となっているもの」である。文化庁のデータベースの解説がまず評価しているのは小間の構成で、相伴席(しょうばんせき)や貴人口(きにんぐち)を備えるなど技巧を凝らした構成を、創意に満ちた手法で巧みに処理していると述べる。

一方で広間については、地味な造りながら穏やかで上質な意匠と記している。小間では技を尽くし、広間では控える。一つの棟のなかで、見せる部屋と落ち着かせる部屋を描き分けたところに、棟梁北村捨次郎の力量が表れている。

見どころ ― 小間「珍散蓮」

珍散蓮は2畳台目の小間で、点前座と客座のあいだに中板を入れている。台目は通常より短い点前畳を指し、中板はそこに挟む細い板である。わずかな板一枚が、狭い室内に亭主と客の距離をつくる。

小間には相伴席が付く。主客に付き添う客の席を小間の内に設けることで、客の人数に応じて座の広さを調えられる。京都登文会の紹介は、この茶室が古田織部の好みを伝える燕庵(えんなん)に倣い、座を伸び縮みできるようにしたものとしている。貴人口は、身分の高い客が腰をかがめずに出入りできる障子の入口で、躙口とは別に設けられる。

京都登文会の紹介はまた、内部の意匠が襖の引手を除けば全体に平凡で地味にまとめられていると述べ、素材の味わいを生かす控えめな好みの表れと見ている。凝った構成と簡素な仕上げの組み合わせが、この茶室の性格を決めている。

見学方法

北村美術館四君子苑離れ茶席は、春と秋の四君子苑特別公開のときに見学できる。苑内は写真撮影ができない。寄付から延びる渡廊下の先、苑のいちばん奥に建つので、ほかの建物を経て最後にたどり着く位置になる。付属する外腰掛の前から近づけば、茶会の客と同じ順序でこの茶室に向き合える。

Q&A

Q北村美術館四君子苑離れ茶席の小間「珍散蓮」はどのような茶室ですか。
A2畳台目に中板を入れた小間で、相伴席と貴人口を備えています。京都登文会の紹介では、古田織部好みの燕庵に倣い、座を伸び縮みできる構成とされています。
Q北村美術館四君子苑離れ茶席はいつ建てられ、なぜ登録有形文化財になったのですか。
A北村捨次郎の手で昭和19年(1944年)に完成しました。技巧を凝らした小間を創意に満ちた手法でまとめ、広間を穏やかで上質な意匠とした構成が「造形の規範となっているもの」と評価され、平成13年(2001年)に登録されました。
Q北村美術館四君子苑離れ茶席の貴人口と相伴席とは何ですか。
A貴人口は身分の高い客が立ったまま出入りできる障子の入口、相伴席は主客に付き添う客のための席です。どちらも小間の構成に変化を与えています。
Q北村美術館四君子苑離れ茶席は見学できますか。写真は撮れますか。
A春と秋の四君子苑特別公開のときに見学できます。苑内は写真撮影ができません。
Q北村美術館四君子苑離れ茶席は四君子苑のどこにありますか。
A苑のいちばん奥に独立して建っています。寄付から東へ延びる渡廊下の先にあり、外腰掛が付属しています。

基本情報

名称北村美術館四君子苑離れ茶席
所在地京都府京都市上京区御車道通清和院口上る梶井町448-4
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成13年(2001年)11月20日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺一部檜皮葺、建築面積109平方メートル
所有者公益財団法人北村文華財団
公開状況春と秋の特別公開時のみ(苑内は撮影不可)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)北村美術館四君子苑離れ茶席
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002552
北村美術館 四君子苑のご案内
https://www.kitamura-museum.com/shikunshien.html
北村美術館 トップページ(四君子苑の公開と入苑要領)
https://kitamura-museum.com/
京都登文会(京都府国登録文化財所有者の会)北村美術館四君子苑
https://www.kyoto-tobunkai.org/catalogue/7.html

最終更新日: 2026.09.24