高さ18メートル、八角形の煉瓦煙突

松本酒造煉瓦煙突は、京都府京都市伏見区横大路三栖大黒町にある明治後期(1898年から1912年)の煉瓦造の煙突で、平成25年(2013年)12月24日に国の登録有形文化財に登録された。高さは18メートルあり、松本酒造で登録された構造物のなかでもっとも高い。平成12年(2000年)に改修を受けている。

煙突は、松本酒造が建てたものではない。京都市の認定理由によれば、伏見に酒造場を構えた松本酒造は製薬会社の工場だった建物を買い取り、明治末期の煉瓦倉庫とこの煉瓦煙突を酒造場の施設として受け継いだ。工場の時代から数えれば、100年を超えてこの場所に立っていることになる。

建物ではないため、員数の単位は「棟」ではなく「基」で数える。

イギリス積の八角形

煉瓦の積み方はイギリス積である。煉瓦の長い面を見せる段と、小口(短い面)を見せる段を1段ずつ交互に重ねる積み方で、明治期の構造物に広く使われた。

基部の平面は直径2.2メートルの八角形である。腰のあたりには装飾的な帯状の部分を設け、単調な筒に区切りを付けている。現在は全長にわたってアングル材などの鋼材で補強されており、煉瓦の外側に縦横の金物が走る。

この補強は、煙突を立たせ続けるための処置である。見た目のうえでは煉瓦の肌を一部覆っているが、明治の煉瓦煙突を倒さずに残すという判断そのものを示している。

登録の理由と見どころ

登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。文化庁は、大黒蔵や煉瓦倉庫とともに河岸の歴史的な景観をつくっている点を評価している。

京都市は、高瀬川沿いに見える大黒蔵や煉瓦煙突を地域景観のシンボルと呼んでいる。低い瓦屋根が続く伏見の酒蔵の町並みの中で、垂直に伸びる煉瓦の筒は遠くからでも位置が分かる目印になる。

近くで見るなら、基部の八角形と腰の帯、そして補強の金物のあいだに見えるイギリス積の段の交互の並びに注目したい。

見学方法

松本酒造煉瓦煙突は敷地の中にあり、近づくことはできない。松本酒造は蔵見学を行っておらず、敷地も非公開である。

高さがあるので、敷地の外からでも見つけやすい。新高瀬川を挟んだ西側の堤防に立つと、大黒蔵の南寄りに煙突が立ち上がり、煉瓦倉庫と合わせた構図になる。撮影は堤防や公道からに限られる。

Q&A

Q松本酒造煉瓦煙突はいつ造られ、いつ登録有形文化財になりましたか?
A明治後期(1898年から1912年)に造られ、平成12年(2000年)に改修されています。平成25年(2013年)12月24日に国の登録有形文化財に登録されました。登録番号は26-0436です。
Q松本酒造煉瓦煙突の高さはどれくらいですか?
A高さは18メートルです。基部の平面は直径2.2メートルの八角形です。
Q松本酒造煉瓦煙突はもともと酒造場の煙突だったのですか?
A京都市によれば、松本酒造が伏見に移る際に買い取った製薬会社の工場の施設で、煉瓦倉庫とともに酒造場に受け継がれました。
Q松本酒造煉瓦煙突に金物が付いているのはなぜですか?
A煙突を保つための補強です。文化庁の解説によれば、現在は全長にわたってアングル材などで補強されています。
Q松本酒造煉瓦煙突はどこから見られますか?
A敷地は非公開なので、外から眺めることになります。新高瀬川の西側の堤防からは、大黒蔵や煉瓦倉庫と一緒に見られます。

基本情報

名称松本酒造煉瓦煙突(まつもとしゅぞうれんがえんとつ)
所在地京都府京都市伏見区横大路三栖大黒町7-1
指定区分登録有形文化財(建造物)、登録番号26-0436、登録基準「国土の歴史的景観に寄与しているもの」
指定年平成25年(2013年)12月24日登録
員数1基
寸法煉瓦造、高さ18メートル。基部は直径2.2メートルの八角形
所有者松本酒造株式会社
公開状況非公開(外観は敷地外から見学可)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)— 松本酒造煉瓦煙突
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009791
文化遺産オンライン — 松本酒造煉瓦煙突
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/279360
京都を彩る建物や庭園(京都市文化市民局)— 松本酒造
https://kyoto-irodoru.city.kyoto.lg.jp/fushimi/matsumoto_shuzo-n.html

最終更新日: 2026.09.26