雙栗神社拝殿 ― 天明5年に建てられた割拝殿
雙栗神社拝殿(さぐりじんじゃはいでん)は、京都府久世郡久御山町佐山の雙栗神社にある天明5年(1785年)建立の木造平屋建の拝殿で、平成26年(2014年)4月25日に国の登録有形文化財に登録された。
規模は桁行3間・梁間2間で、建築面積は36平方メートル。屋根は瓦葺である。3つある柱間のうち中央を馬道(めどう)という通路にあて、左右にはそれぞれ広い板敷きの間を設ける。このように建物の中央を通路として割った拝殿を、割拝殿(わりはいでん)と呼ぶ。
馬道の奥には本殿門が立ち、その先に明応3年(1494年)頃の建立とされる室町時代の本殿が控える。雙栗神社拝殿は、室町の本殿の前に約290年後に加えられた参拝の場ということになる。建てられた天明5年、神社は椏本(あてもと)八幡宮とも呼ばれており、いまの社名に戻るのは明治15年(1882年)である。
登録の理由と価値 ― 三方を壁で閉じた割拝殿
文化庁の解説によれば、雙栗神社拝殿は割拝殿の形をとりながら、左右の板間の外まわり三方を壁で囲んでいる。この点が珍しく、類例の少ない形式とされている。
一方で内部は天井が高く、開放的な印象を与えると解説は記す。外からは壁で閉じた建物に見え、内側には高い天井の空間が広がるという対比が、雙栗神社拝殿の性格をかたちづくっている。
細部は簡素にまとめられている。柱の上には舟肘木(ふなひじき)を載せるだけで、中央の柱間では楣(まぐさ)の上に蟇股を置く。軒は垂木を一段だけ、間隔をあけて並べる一軒疎垂木(ひとのきまばらだるき)である。
登録の基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。同じ日には本殿門・玉垣・石鳥居もあわせて登録された。
雙栗神社拝殿の見どころ
雙栗神社拝殿の正面に立つと、中央の馬道が建物を奥まで抜けているのがわかる。その正面に本殿門が重なり、さらに奥に本殿が見える。拝殿・本殿門・本殿が一列に並ぶ配置は、ここから見るのがいちばん読み取りやすい。
見上げたいのは、中央の柱間の楣の上に置かれた蟇股である。舟肘木だけの簡素な組物のなかで、装飾が集まるのはこの一点といってよい。
建物の外まわりにも目を向けたい。左右の板間が吹き放しではなく壁で閉じられていることが、文化庁の解説のいう類例の少なさそのものである。
雙栗神社拝殿の見学方法
雙栗神社拝殿の外観は自由に見られるが、左右の板間に上がれるかどうかについて公式の案内は確認できなかった。蟇股を見るには、正面から中央の柱間を見上げるとよい。撮影の可否も案内が見当たらないため、撮る場合は参拝者の妨げにならないよう心がけたい。
境内への行き方と参拝の条件は、雙栗神社のページにまとめてある。
Q&A
- 雙栗神社拝殿はいつ建てられたのですか?
- 天明5年(1785年)です。平成26年(2014年)4月25日に、本殿門・玉垣・石鳥居とともに登録有形文化財に登録されました。
- 雙栗神社拝殿の「割拝殿」とはどういう形式ですか?
- 建物の中央の柱間を馬道という通路にして、左右に部屋を分けた拝殿のことです。雙栗神社拝殿は桁行3間のうち中央の1間が馬道で、左右に広い板間があります。
- 雙栗神社拝殿はどこが珍しいのですか?
- 割拝殿でありながら、左右の板間の外まわり三方を壁にしている点です。文化庁の解説は、これを類例の少ない形式としています。
- 雙栗神社拝殿の左右の板間に上がれますか?
- 公式の案内は確認できませんでした。外観は自由に見られ、中央の馬道の先には本殿門と本殿が見通せます。
- 雙栗神社拝殿の蟇股はどこにありますか?
- 中央の柱間、馬道の上に渡された楣(まぐさ)の上です。柱の上は舟肘木だけの簡素な組物なので、装飾はこの蟇股に集まっています。
基本情報
| 名称 | 雙栗神社拝殿(さぐりじんじゃはいでん) |
|---|---|
| 所在地 | 京都府久世郡久御山町佐山双栗55 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成26年(2014年)4月25日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 桁行3間・梁間2間、建築面積36平方メートル(木造平屋建、瓦葺) |
| 所有者 | 宗教法人雙栗神社 |
| 公開状況 | 外観は自由に見学可(境内は拝観料なし) |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「雙栗神社拝殿」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009997
- 文化遺産オンライン「雙栗神社拝殿」
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/208034
- 久御山町ホームページ「雙栗神社」
- https://www.town.kumiyama.lg.jp/0000000333.html
- 京都府観光連盟「延喜式内社雙栗神社」
- https://www.kyoto-kankou.or.jp/info_search/382
- 神社本庁「雙栗神社」
- https://www.jinjahoncho.or.jp/sys/11076
最終更新日: 2026.09.25