旧平林家住宅(一星亭)とは
旧平林家住宅(一星亭、きゅうひらばやしけじゅうたく いちぼしてい)は、長野県東筑摩郡生坂村の中心部にある旧家の屋敷で、江戸時代後期の主屋から昭和前期の物置まで6件の建物が、令和元年(2019年)12月5日に登録有形文化財となった。所有者は生坂村で、これが村内で初めての国の登録有形文化財である。
ここは、法学者の加藤正治(1871年から1952年)が生まれた家として村に紹介されている。正治は明治4年(1871年)に生坂村で生まれ、ドイツとフランスで民事訴訟法や破産法を学んだのち、東京帝国大学法科の教授となり、晩年には中央大学の初代総長を務めた。犀水(さいすい)の号をもつ俳人でもあった。
名称の「一星亭」は、この家の呼び名である。生坂村の観光ガイドブックは、家を「平林(一星)家」と書き、正治の生家として紹介している。読みは文化庁のデータベースに従えば「いちぼしてい」で、「いっせいてい」ではない。
6件の登録
旧平林家住宅(一星亭)の6件は、令和元年(2019年)12月5日の第94回登録で、そろって登録有形文化財となった。登録番号は20-0554から20-0559までの連番で、いずれも「国土の歴史的景観に寄与しているもの」の基準による。文化庁のデータベースが示す年代と規模は次のとおり。
- 主屋:江戸後期、明治前期に増築、木造2階建、瓦葺、建築面積354平方メートル
- 東土蔵:天保11年(1840年)、土蔵造2階建、瓦葺、建築面積24平方メートル
- 西土蔵:安政3年(1856年)、土蔵造2階建、瓦葺、建築面積59平方メートル、北門付
- 南土蔵:安政6年(1859年)、平成20年代に改修、土蔵造2階建、瓦葺、建築面積20平方メートル、塀付
- 南門:江戸後期、木造、瓦葺、間口1.6メートル、左右に袖塀付
- 物置:昭和前期、木造平屋建、瓦葺、建築面積24平方メートル
データベースは江戸後期を1751年から1830年、昭和前期を1926年から1945年の幅で記している。建てられた年まで書かれているのは3棟の土蔵だけで、主屋・南門・物置は時期の幅でしか示されていない。主屋の建築面積は土蔵3棟を合わせた広さのおよそ3倍にあたり、屋敷の中で飛び抜けて大きい。
屋敷の配置
旧平林家住宅(一星亭)の主屋は、旧道沿いの敷地の中央に南を向いて建つ。主屋の北の背面には東土蔵と西土蔵が並び、文化庁の解説は、この2棟が旧道沿いに重厚な街路の景観をつくっていると評している。主屋の南西には南土蔵が南北に棟を通して建ち、主屋の南東の隅からは南門の門塀が東へ延びる。敷地の東の辺の北端には物置が建ち、その東の面は村道に面している。
主屋を中心に、北に2棟、南西に1棟の土蔵、南東に門、東に物置という構えである。文化庁は、南土蔵を主屋とともに往時の屋敷構えを伝える幕末の土蔵とし、物置を屋敷構えを形づくる施設と位置づけている。江戸後期から昭和前期まで、およそ150年にわたる建物が、ひとつの屋敷の中で役割を分け合っている。
主屋には、生坂村でかつて盛んだった葉たばこの生産の名残がある。土間の上を広い作業場とし、屋根の上に長い越屋根を載せた造りで、各棟の詳しい造りはそれぞれのページで扱う。
見学と行き方
旧平林家住宅(一星亭)は生坂村の所有だが、ふだんは公開されていない。村の教育委員会が保存と活用の準備を進めており、村の広報誌によれば、令和7年度(2025年度)には長野県の地域発元気づくり支援金を受けて、住民参加の環境整備やワークショップ、見学会、写生大会、案内看板の製作を行う計画である。令和7年(2025年)3月2日には「一星亭見学会」が開かれた。内部を見学したい場合は、広報いくさかや村教育委員会の案内で見学会の予定を確かめてほしい。
見学会の日以外は、敷地の外から眺めることになる。文化庁の解説では、東西の土蔵が旧道沿いの街路景観をつくり、物置は村道に面した東の辺に建つ。敷地の中へは立ち入らず、道から見るにとどめたい。
鉄道の最寄りはJR篠ノ井線の明科駅である。駅前から生坂村営バスの犀川線に乗り、「役場前」で降りる。時刻表では明科駅前から役場前までおよそ17分から20分で、日曜と祝日は運休し、土曜も一部の便が走らない。旧平林家住宅(一星亭)は役場前の停留所から直線でおよそ100メートル、道の駅いくさかの郷からは西へ直線でおよそ400メートルの位置にある(いずれも地図上の座標からの目安)。車の場合、生坂村観光協会は松本城から村まで約45分と案内している。
参考文献
- 国指定文化財等データベース 旧平林家住宅(一星亭)主屋(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00013109
- 国指定文化財等データベース 旧平林家住宅(一星亭)東土蔵(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00013110
- 国指定文化財等データベース 旧平林家住宅(一星亭)西土蔵(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00013111
- 国指定文化財等データベース 旧平林家住宅(一星亭)南土蔵(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00013112
- 国指定文化財等データベース 旧平林家住宅(一星亭)物置(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00013113
- 国指定文化財等データベース 旧平林家住宅(一星亭)南門(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00013114
- 文化遺産オンライン 旧平林家住宅(一星亭)主屋(文化庁)
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/380357
- 日本の近代化を進めた法学者 加藤正治(B&G財団 偉人マンガ、ふるさと紹介に旧平林家住宅(一星亭))
- https://www.bgf.or.jp/bgmanga/109/
- 生坂村観光ガイドブック(生坂村、2026年3月版、PDF)
- https://www.village.ikusaka.nagano.jp/kankou/pdf/guidbook202603.pdf
- 広報いくさか 2025年2月号(一星亭見学会の案内、PDF)
- https://www.village.ikusaka.nagano.jp/gyousei/kouhou/pdf/2025.02.pdf
- 広報いくさか 2025年6月号(令和7年度 地域発元気づくり支援金事業一覧、PDF)
- https://www.village.ikusaka.nagano.jp/gyousei/kouhou/pdf/2025.06.pdf
- 生坂村営バス 時刻表(生坂村)
- https://www.village.ikusaka.nagano.jp/kurasi/bus.htm
- アクセス(生坂村観光協会)
- https://www.village.ikusaka.nagano.jp/kankou/access.html
最終更新日: 2026.09.28
基本情報
| 名称 | 旧平林家住宅(一星亭) |
|---|---|
| 所在地 | 長野県東筑摩郡生坂村5497 |
| 所有者 | 生坂村 |
| 指定 | 登録有形文化財 6件 |
| 座標 | 36.42418, 137.92789 |