墨書が年月日を語る仕込蔵

武重本家酒造及び武重家住宅四号蔵は、長野県佐久市茂田井の旧中山道沿いにある造り酒屋・武重本家酒造の大正6年(1917年)の仕込蔵で、平成12年(2000年)9月26日に国の登録有形文化財に登録された。土蔵造2階建、瓦葺、建築面積は185平方メートル。所有者は武重本家酒造株式会社である。

二号蔵の北方、その背後に並んで建つ。東西に棟を通した切妻造桟瓦葺の土蔵で、桁行12間半、梁行4間半、およそ23メートルに8メートルの規模をもつ。一号蔵、二号蔵と同様に、二号蔵との間に階段室を納める。

この蔵の年代は推定ではない。地棟、つまり棟を支える梁の下面に墨書があり、大正6年4月30日に上棟したことが分かる。明治元年(1868年)に十二代武重徳左衛門が始めた酒造は、創業から半世紀を経た大正6年に、三棟目の大型仕込蔵を必要とする規模に達していた。

登録の理由と価値

登録基準は「造形の規範となっているもの」である。一号蔵、二号蔵、四号蔵が北へ順に並び、その間に階段室を挟む配置は、造り酒屋が段階的に規模を広げた過程をそのまま建物の列として残している。武重本家酒造及び武重家住宅四号蔵は、その列の最後に加わった最も新しい仕込蔵である。

上棟の年月日が墨書で確定している点は、建築史の資料として重要である。江戸後期や明治中期といった幅のある推定年代の蔵が多い屋敷の中で、四号蔵は日付をもつ基準点になる。

現在もこの蔵で酒が醸されている。当家は創業以来、蔵に棲む天然の乳酸菌を酒母に取り込む生酛造りを守り、蓼科山の伏流水を用いる。土蔵の厚い壁は夏でも室温を22度以下に保つと蔵元は説明し、文化財の中で酒を熟成させている。

見どころ

四号蔵は屋敷の最も奥にあり、通りからは見えない。酒蔵開放の日に醸造区域へ入れば、一号蔵、二号蔵の北に並ぶ長い切妻の蔵が武重本家酒造及び武重家住宅四号蔵である。桁行12間半は三棟の中で最も長く、東西に延びる屋根の線がそれを示す。

内部に入れたなら、天井を見上げて地棟を探したい。墨書は棟木を支える梁の下面にあり、見学者の位置から読めるかどうかは分からないが、大正6年4月30日と記された梁が頭上にあることを知って見上げる天井は、ただの天井ではない。

階段室は二号蔵との間に納まり、二つの蔵の二階を結ぶ。仕込蔵の二階は麹や酒母を扱う場で、蔵人はこの階段を毎日上り下りする。開放日に階段室の位置を確かめれば、三棟の蔵がどのように一つの工場として働いているかが見えてくる。

見学方法とアクセス

武重本家酒造及び武重家住宅四号蔵は屋敷の北端、二号蔵の背後にあって旧中山道からは見えない。内部を含めて見学できるのは、春分の日前後の酒蔵開放と、予約制の試飲会に蔵の案内が付く場合に限られる。開放日には仕込みの現場を歩き、生酛造りの酒を試飲できる。

武重本家酒造の建物は住まいと醸造場を兼ねており、内部は原則として非公開である。敷地に入れるのは事務所と売店の営業時間、平日の午前8時から午後5時までに買い物で訪れる場合で、土日祝日と年始、旧暦の盆は休業となる。仕込蔵を含む内部を見られるのは年に一度、春分の日前後(例年3月20日から21日ごろ)の酒蔵開放のときで、試飲もできる。2026年の開放日には佐久平駅からチャーターバスが出た。予約制の試飲会に蔵の案内が組み込まれることもあるので、公式サイトの案内を確認したい。

アクセスはJR北陸新幹線の佐久平駅から千曲バス望月・芦田方面行きで「茂田井入口」まで行き、そこから徒歩約2分。バスは平日のみのため、週末は佐久平駅からタクシーか車で約30分、約15キロの道のりになる。上信越自動車道の佐久インターチェンジか湯の丸インターチェンジからも車で約30分。旧中山道の通りからの撮影に制限はないが、敷地内では行事の際にスタッフの案内に従って撮影したい。

Q&A

Q武重本家酒造及び武重家住宅四号蔵はいつ建てられましたか。
A大正6年(1917年)です。地棟の下面の墨書により、大正6年4月30日に上棟したことが分かっています。
Q四号蔵の大きさはどれくらいですか。
A桁行12間半、梁行4間半、建築面積185平方メートルの土蔵造2階建で、一号蔵、二号蔵に続く三棟目の大型仕込蔵です。
Q武重本家酒造及び武重家住宅四号蔵は今も使われていますか。
Aはい。現役の仕込蔵で、生酛造りの酒が今も醸されています。所有者は武重本家酒造株式会社です。
Q四号蔵は見学できますか。
A通常は非公開です。春分の日前後の酒蔵開放の日に仕込蔵を見学でき、試飲もできます。予約制の試飲会に蔵の案内が組み込まれることもあります。
Qなぜ登録有形文化財に登録されたのですか。
A「造形の規範となっているもの」という基準で、平成12年(2000年)9月26日に屋敷の30棟とともに登録されました。上棟年月日が墨書で確定した大型の仕込蔵として評価されています。

基本情報

名称武重本家酒造及び武重家住宅四号蔵
所在地長野県佐久市茂田井字東町2179他
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成12年(2000年)9月26日登録
員数1棟
寸法土蔵造2階建、瓦葺、建築面積185平方メートル(桁行12間半、梁行4間半)
所有者武重本家酒造株式会社
公開状況非公開(稼働中の酒蔵兼私邸)。平日午前8時から午後5時に売店へ立ち入り可。春分の日前後の酒蔵開放で内部見学・試飲

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁) 武重本家酒造及び武重家住宅四号蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001802
佐久市ホームページ 茂田井間の宿
https://www.city.saku.nagano.jp/kanko/kanko/spot/nakasendo/motaiainoshuku/motaiainoshuku.html
武重本家酒造株式会社 公式サイト
https://takeshige-honke.jp/
信州たてしな観光協会 武重本家酒造株式会社
https://shirakabakogen.jp/spot/takeshiga_honke_syuzo

最終更新日: 2026.09.10